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体成分改善に効果的な運動頻度は?

運動は健康増進やダイエットなどの体成分改善に必要不可欠です。

運動の必要性を分かっていても、
「どのような運動をすれば良いのか?」「週に何回運動をするのか?」
具体的に計画を立てる際につまずく人も多いかと思います。

毎日がむしゃらに運動を行えば、運動の効果はすぐに出てくるのでしょうか?

今回は体成分改善と運動頻度の関係性について確認してみましょう。

体成分改善の目標と運動の関係

頻度について話す前に、体成分改善の目標と適切な運動について簡単に確認してみましょう。

一般的に運動は有酸素運動と筋トレ(無酸素運動)で分けることができ、有酸素運動は体脂肪量の減少に、無酸素運動は筋肉量の増加に効果的と言われています。

しかし、どの運動も片方だけに効果があるわけではなく、より効果的であるという考え方が正しいと言えるでしょう。

従って、体脂肪量と筋肉量のどちらも改善を目的としている場合は有酸素運動と筋トレの割合を調節しながら自分の目標に適した運動計画を立てる必要があります。

また、運動と食事管理を並行しながら体成分の変動を定期的に確認し、有酸素運動と無酸素運動の割合やトレーニング部位を変えるなどの工夫も重要です。

勿論、運動を日常化することは良いことですが、だからと言って毎日高強度の筋トレを続けるのが良いとは言い難いです。

筋トレの場合、毎日行うと疲労ばかりが蓄積されてかえって筋肉量を減らす結果となる恐れもあります。

そのため、運動効果を高めるためには適度な休息を入れることで筋肉を超回復させなければなりません。

※ 筋肉増加と休息の関係について詳しく知りたい方は、InBodyトピックの「疲労と回復のメカニズム」もご覧ください。

では、体成分の改善に有効な運動頻度は次の中どれでしょうか?

① 週5日
② 週3日
③ 週2日

ここからは上記3つの運動頻度の理論とその効果について説明します。

➀ 週5日プランの理論と効果

週5日プランは平日運動し、週末に休息日を取り入れる方法です。

週5日プランの特徴は「トレーニング部位を分けて計画を立てる」ことです。

運動部位を分けることで前日に鍛えた部位は休ませ、その間に他の部位を鍛えることで筋肉の回復時間の確保と運動の継続を両立させるという理論です。

次は週5日プランの計画例です。

【週5日プランの運動計画例】
月曜日: (背中と上腕)背筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋
火曜日: (胸と腹部)胸筋・腹筋
水曜日: (肩)広背筋・三角筋・ローテーターカフ
木曜日: (大腿と下腿)大腿四頭筋・ハムストリングス・ヒラメ筋
金曜日: (腰部)腸腰筋・大殿筋
土曜日: 休息
日曜日: 休息

これはあくまで一つの例で、部位の分け方を変えたり、5日のうち1日は有酸素運動にしたりなど自由に構成できますが、「ほぼ毎日」「違う部位を運動する」がポイントです。

このように、週5日プランでは体を5つに分けて毎日違う部位を鍛え、一度鍛えた部位は残り6日にかけてゆっくり回復させるという理論を基にしています。

この方法は一見、毎日違う部位を鍛えながら十分な休息も取れる効率的な方法のように考えられます。

しかし、最近の研究ではこの方法は思ったより筋肉量を増加させないことが分かりました¹⁾。

特定部位の筋肉量を増やすためには同じ部位の筋トレを週2回行う方が望ましいという研究結果が報告されたのです。

勿論、週5日プランが運動を習慣化させて健康増進に役立つことは間違いありませんが、筋肉量を増やすことが主な目的である場合は他の方法を検討したほうがいいかもしれません。

➁ 週3日プランの理論と効果

週3日プランは普段の生活が忙しく、運動できる日を多く確保するのが難しい人にとって、選択しやすい方法でしょう。

また、運動があまり好きでない人でも週5回プランに比べると、週3回プランの方はあまりストレスを感じずに継続できます。

毎日運動すると計画を立てた後に運動計画を守れなくなって、そのまま運動を諦めてしまった経験がある方は少なくないでしょう。

しかし、週3日プランであれば多少計画がずれても本来の計画を修正して対応できるため、諦めずに続けやすくなります。

週3日プランの特徴は、上半身または下半身でより鍛えたい部位を週2回運動するスケジュールを組んだり、「全身筋トレ-有酸素運動-全身筋トレ」のような組み合わせを作ったりすることで、効率的に体を鍛えられることです。

しかし、週3日だと体成分を改善させるには運動頻度が少ないと感じる方や、高強度で運動する必要があるのではないかと心配される方がいるかもしれません。

大学生における週3日プランの効果を検討した研究²⁾では、運動強度に関係なく週3日の運動が除脂肪量を有意に増加させており、体成分を改善させるには週3日でも十分であることが示されました。

このように、週3日プランは体成分の改善効果もありながら、あまりストレスを感じずに持続できる方法と言えます。

➂ 週2日プランの理論と効果

週2日プランというと体成分改善の効率的な運動頻度としては不十分で、その効果は良くて健康維持程度だろうと思われるかもしれません。

週5日が厳しすぎて続けられるか心配になる頻度であれば、週2日は運動することを忘れてしまいそうなほど少ない気もします。

週2日プランは体成分を改善する効果があるのでしょうか。

週2日プランの効果を検証した研究³⁾では、週2日プランを20週間行い、体成分の変化を確認しました。

その結果、筋肉量が有意に増加する結果が示されています。ただ、この研究には重要なポイントが一つあります。

それは「全身運動をした場合」に体成分が有意に改善したということです。

週5日プランの説明で述べたように、筋肉が成長するためには週2回同じ部位を鍛える必要があり、週2日プランでこれが全身にかけて行われていたため体成分が有意に改善したと考えられます。

つまり、週2日の頻度で筋肉量を増やしていくには、1日で全身の筋肉を鍛えられる筋トレや全身運動を組まないとその効果を期待できないかもしれません。

終わりに

運動頻度に関わらず、定期的な運動は体成分改善の効果が期待できます。

これは週何日運動をするかではなく、”継続すること” が重要であることを示します。週5日運動すると意気込んでも、仕事が忙しいなどの理由から途中で諦めてしまっては何も得られません。

週2日でも継続することで、いつかは “体成分改善” というゴールに辿り着けるでしょう。

他人のやり方を無理してマネすることより、自分のライフスタイルに適した方法を探して続けることが大事です。

まずは今のあなたに適している運動頻度を見つけて、運動を継続していきましょう。

参考文献
1. Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW. Effects of Resistance Training Frequency on Measures of Muscle Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2016 Nov;46(11):1689-1697.
2. Thomas MH, Burns SP. Increasing Lean Mass and Strength: A Comparison of High Frequency Strength Training to Lower Frequency Strength Training. Int J Exerc Sci. 2016 Apr 1;9(2):159-167.
3. Calder AW, Chilibeck PD, Webber CE, Sale DG. Comparison of whole and split weight training routines in young women. Can J Appl Physiol. 1994 Jun;19(2):185-99.

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