カスタマーサクセスのVPを退任します
こんにちは。SmartHRのVP of Customer Successの稲船です。
2019年1月にSmartHRに入社して、まもなく丸5年になります。
個人的に区切りとなりそうなタイミングを迎えたので振り返る目的でこれを書いています。もしよければ少しお付き合いください。
私は2023年12月末をもち株式会社SmartHRのVP of Customer Successを退任し、来年から別の役割を担うことになりました。(退職はしません)
この記事は私の個人的な内容が中心になりますが、カスタマーサクセスのキャリアやマネジメントに関心がある方には少しお役に立てる情報があるかもしれません。
VP of Customer Successのサクセッション
SmartHRは2024年1月で1,000名を超える組織となりました。
そしてビジョンと事業成長を実現するため、組織構造を大きくアップデートします。詳しくはこちらのnoteに書かれていますので、興味のある方は併せてお読みください。
この組織構造のアップデートではビジネスサイドのセールスやカスタマーサクセスといった機能(職種)を管掌するVPロールが廃止され、事業部を管掌する新たなロールが置かれることになります。それに伴い、私はこの年末をもって VP of Customer Success を退任することになりました。
2022年7月 VP of Customer Successという役割を担うことになったとき、「この役割を確立して3年後に後任に継承(サクセッション)すること」が自分の役目であると捉え「そうするつもり」で今日までやってきました。
しかし、考えていたサクセッションプランとは異なり、1年半で私の役割は「後任の誰かひとり」ではなく「新しい組織と多くのみなさん」に引き継ぐということになりました。こういった変化が想像を上回る速さで起こることがスタートアップの面白いところだなと思います。
皆さんに支えられて
私は前職時代の2016〜2018年にかけてカスタマーサクセス組織の立ち上げやマネジメントを行ったのち、2019年1月にメンバーとしてSmartHRに入社しました。当時、会社は100名、カスタマーサクセスのチームは12名でした。そしてこの5年で、カスタマーサクセスは140名を超える組織となりました。
このフェーズのカスタマーサクセスとして、メンバーからチーフ(課長)、マネージャー(部長)、そして最後にVPを担わせていただきましたが、周りのみなさんの力や助けがなければ、ここまで来ることはできませんでした。
マネージャーやVPとなっても私の判断ミスやマネジメント力の不足によって、組織やみなさんにご迷惑や負担を掛けてしまったこともありましたが、多くの方に助けていただき、ここまで務めることができました。
本当にありがとうございました。
カスタマーサクセスは事業成長のドライバー
カスタマーサクセスはプロダクトの多角化が進行したり事業規模が拡大しても、お客様を安定的にサポートしながら提供価値を最大化し続けなければなりません。プロダクトや事業の進化にカスタマーサクセスが追いつけずに、事業成長を鈍化させてしまうというような状況は決して許されません。
私はこのような状態に陥ることがもっとも怖く、常にプレッシャーを感じてきました。カスタマーサクセスは安定をもたらす土台でありながら、事業成長のドライバーであり続ける必要があるからです。
そのため、顧客対応方針やオンボーディングなどのプロセス、KPIやそれを達成するための役割、組織構造、オペレーションなどを「作っては直し、直しては壊し」を繰り返し、先手先手で自ら変化させていく必要がありました。昨年から今年にかけては顧客規模と組織の拡大に対応するための組織づくりやマネジメントチームの強化、事業目標に直結した数字目標をCSMが持つ取り組み、マルチプロダクト戦略を実行するカスタマーサクセスへのアップデートに取り組んでいます。
これらを組織として実現していくためにカスタマーサクセスのマネジメントとして何をすべきかを「常に手探りで、もがきながらやってきた」というのが実情です。少し振り返るだけでも、もっと上手くできたんじゃないかと思うことがたくさんあります。
(もし機会があれば2周目に挑戦したいなという想いもあります。)
カスタマーサクセスのマネジメントのキャリア
このように私は、カスタマーサクセスのプレイヤーとしてスペシャリストを目指すのではなくマネジメントのキャリアを歩みました。
事業規模が拡大し、メンバーからマネージャー、そしてVPへと役割を代えるにつれ、カスタマーサクセスの醍醐味である顧客接点を持ちづらくなり現場感が薄れ、判断の拠り所にしていたものから遠ざかっていく感覚があり「もう現場には戻れない」という怖さがありました。
一方、組織運営の課題やマネジメントのタスクが膨大で、それをクリアするための私個人のスキルが不足していたこともあり、全てのリソースをマネジメントに割り当てなければこの役割をこなせなかったという現実がありました(いや、こなせてなかったかもしれません)そういったこともあり、私は覚悟を決めてこの役割に専念してきました。結果的には組織における「役割と責任は何か」を身をもって知る良い経験となりました。
個人的には、これからカスタマーサクセスのマネジメントに挑戦される方には、できる限り自分で担当するお客様を持ち続けることをお勧めしますが、いつかは完全にマネジメントに専念するフェーズが来ると思います。
カスタマーサクセスのマネジメントは常に「顧客視点」と「事業視点」を高いレベルでバランスさせることが求められるので、両方の視点を持ち続けられるようにしていくことが大切だと考えています。
私の新しい挑戦が始まります
2024年から私はSMB(Small and Medium Business)市場を受け持つグロースマーケット事業本部にて事業全体のプランニングとイネーブルメント、そしてカスタマーサクセスに関わり事業の中長期の成長にコミットします。
プランニングとイネーブルメントはキャリアにおいて初挑戦で、ゼロから学ばなければならないため、この領域にご知見のある方から学ばせていただく機会を積極的に作りたいと考えています。もし「教えてあげるよ」という優しい方がいらしゃいましたら泣いて喜びます。ぜひよろしくお願いします。
カスタマーサクセスも引き続き関わりますが、この領域は未来を担う皆さんに積極的に引き継いでいきます。また、カスタマーサクセスのマネジメント人材の発掘や育成において私の経験が組織とみなさまのお役に立てるのではと考えています。
一つの節目は迎えましたが、これからもカスタマーサクセスをベースに事業と組織の成長、そしてお客様の成功に貢献できるよう仕事に向き合っていきます。
おわりに
カスタマーサクセスに出会い、私の人生は大きく変わりました。
働く意味を実感することができ、自分自身の存在価値を少しだけ認められるようになりました。多くの方から声をかけていただけるようになりました。
カスタマーサクセスという仕事と、それを担う機会を与えてくれた前職の株式会社ベーシック、そしてSmartHRと仲間の皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いします。
また、SaaSやカスタマーサクセスに携わるみなさま。
いつも交流と学びの機会をいただきありがとうございます。
これからも引き続き情報交換や交流の場を持ちたいと思っていますので、お気軽にお声がけいただけたらとても嬉しいです。
それでは、今日はこのへんで。