【読書感想文:最強脳(アンデシュ・ハンセン著)】どんな運動でも脳に効く!
最強脳ー『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業ー(新潮新書、2021)
の感想文です。以下、本書の引用は「*」で表します。
以前、同じ著者の「スマホ脳」に感銘を受け本書を手に取りました。
本書は、スマホ脳を読んだ親が「子供の脳に良いことは何か」という問い合わせを多数受け取ったことから、親子で読めるよう執筆したものだそうです、。
そして、本書2ページ目に本書の結論があります。
脳トレをはじめとして、脳を鍛えるトレーニングが色々考案されましたが、本書で書かれているのは、「運動」一択です。
記憶力、集中力、発想力の強化、ストレス、ADHDへの対処
これら全てについて、運動することで強化、改善が期待できる、ということです。
本書はとても優しい構成、文章になっていて、子供でも理解しやすい内容となっていると思います。
本書から自分が得た知識の中で、
運動の定義
発想力の強化
記憶力の強化
について書きたいと思います。
1. 運動の定義
まずは運動の定義です。本書の各章末尾に、関連項目に関する推奨される運動のやり方が掲載されています。それらのほぼ全てに当てはまるのが、
その運動で脈拍が上がる(心臓がドキドキする)こと
1回の運動時間は30分程度で良い(後述のミドルレベル以上)
最低、週2〜3回はすること
です。具体的な運動も紹介されていて、「散歩(早歩き)」「ジョギング」「雑巾掛け」など、色々紹介されています。家事なども運動として活用しようとしているのが本書のいいところかな、と思います。
いつもの、犬の散歩をもっと早歩きにする
家事をスピーディにする
そういうことを意識するだけで脈拍が上がり、時間を設けなくても「運動」ができます。
また、本書は基礎体力に応じて、ミニマムレベル、ミドルレベル、マックスレベル(P195 *)が紹介されていて、マックストレーニングになると、インターバルトレーニングや筋トレを加えることが推奨されています。本書によれば、これをやるとオリンピック級の脳を手に入れられるとか。
運動強度に比例して脳も強くなるということでしょうか。
今までの概念とは違いますよね。
2. 発想力の強化
次に発想力についてです。後述の記憶力についても同じですが、
ので、座っているより動いていた方がひらめく可能性が高いのです。
有名な話がスティーブ・ジョブスが歩きながらミーティングをすることがあった、というものですが、科学的に理にかなっていたんですね。
ただ、運動の強度が上がり体力を消耗すぎると、脳の活動は鈍ります。これは、脳よりも身体に血液が送られるため、と著者は考察しています。(*)
ここで、自分的に物凄い一言がありました。
基礎体力があれば、ある程度運動強があっても体力が消耗しないので、血液が脳に送られる時間が長くなり、結果発想力が高くなる時間をより長く確保できる、ということと思います。一昔前だったら信じていません。発想力にも運動。これからの合言葉になりそうです。
3. 記憶力を強化する
記憶力も、発想力と同様の理由により、運動でその強化が期待できます。血液が、短期記憶をつかさどる海馬に送られ、記憶を助けてくれるのだそうです。
ここで追加されるのが、脳細胞間の繋がりを強化する物質が運動により分泌される、ということ。これはおそらくBDNFのことと思います。
つまり、運動により、
が促されるということです。
では、記憶と運動の最も良い関係はというと、
運動の最中(*)
とのことです。暗記などは歩きながら覚えたりする(*)ことが推奨されていますし、運動後、血液の流れが活発なうちに勉強を始める、ということも推奨されています。
まとめ:
以前、「脳を鍛えるには運動しかない」という本を読んで、運動の効果について驚かされ、日常に取り込んできました。
本書は、これに新しい知見と具体例を追加し、かつ運動を始めやすくしてくれる、良書と思いました。
ご本人が自己成長したい!という人にももちろんおすすめですが、お子さんの勉強などについて毎日お考えの親御さんにも、非常におすすめできる一冊です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。