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よるのみちくさ

時刻は午前二時 誰もいない夜道
くすんだうろこがはがれた
わたしはもういない 焦がした痛みたち
くるんでつぶしてしまった

ぐったりと流れていく砂時計から真珠が落ちた
憂鬱なオリオン座がテトラポットに腰かける

なんでもあるよね なんにもないよね
背中合わせも悪くはないよね
なんとかなるよね なんともないよね
ろうそく消してシャボン玉に乗る

時刻は午前二時 帰り道にひとり
こらえた涙が流れた
わたしのすぐそばで転んだ痛みたち
踊って笑って沈んだ

深緑の無線機から誰も聴かないたぬきのラジオ
のんきなウサギたちがじゃんけんぽんで駆け上ぼる

これだけあるよねこれほどあるよね
ひとりぼっちとかけっこしたよね
ここまで来たけどここから行くよね
待ち合わせたら月を押し上げる

時刻は午前二時 行き場のない吐息
愛しい時間にさよなら
わたしは取り戻す よどんだひかりたち
磨いて背負って走った

時刻は午前二時 誰もいない夜道
時刻は午前二時 誰もいない夜道


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