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葬儀屋の仕事

 昨日の続きになるが、20代で一瞬「葬儀屋をやりたい」と思ったが、友人の「誰でもできる仕事じゃない・・・」という一種の差別的な話を聞いて、私は一旦、葬儀屋経営の話は諦めていた。
 しかし独立心の強い性格から、33歳で会社を辞め、ある特殊商品の卸売業を始めた。卸先は自分で開拓、東京や埼玉のメーカーや問屋をメインに商売を始めた。
この仕事は今でも引き続きやっているが、内容が特殊だけに競合も少なく、一度作った商品を何年も売り続けている。仕入れのために一人で中国へ行き積極的に売り上げを伸ばした時期もあったが、50歳前にしてある理由から卸売業の売り上げを下方修正することになった。
その原因は本題からそれるのと、専門的な話になるのでここでは割愛する。

フランチャイズの葬儀屋

そんな中、下方修正した卸売業ともう一つ何か仕事をかけ持たなくてはならなくなった私は、インターネットで「フランチャイズ店募集サイト」を見つけ、検索を始めた。「弁当屋」「コンビニ」「合鍵の作製」珍しいところでは「航空写真の営業」なんかもあった。
 この検索を始めて、わたしは20年以上前に「葬儀屋やりたい」と思った気持ちを思い出していた。必死に探したがこのサイトに出てくる葬儀業は大手葬儀社のフランチャイズばかり、それらはいずれも場所や建物、設備、スタッフなどなど合わせて初期費用だけで数億円かかる内容ばかりだった。
しかし諦めずに探す中、「わずかな投資で一人でできる葬儀屋」というものがあった。早速、説明会の予約を取り、数日後、妻と二人で大阪駅前のホテルの喫茶店で担当者とお会いして、内容を確認した。

誰でも簡単にできる

その席で担当者が盛んに言っていたのは「簡単にできる」
こうも言っていた。「うちの入会者には70歳から葬儀を始めた人もいる」
「ほう・・・」私は目から鱗だった・・・
しかし20年前から引っかかっていた友人から聞いた話の内容もこの際に聞いてみた「葬儀屋って特定の人しかできないんじゃないの?」
担当者は「もしそうだったらこんなフランチャイズの募集せんでしょ」
苦笑いしながら言う
「それもそうやね」私も笑い返す
「でもあなたがお住いの地域は古い町だから、東京や大阪よりは業者の縛りは多いかもしれない」
「???」
担当者は続ける「でも逆にそれがチャンスかもしれませんよ、大阪なんかはある意味、業者が多すぎて頭打ちになりかけている」
業界のことは詳しくないが、何となくそのニュアンスは理解できた。

業界、新規参入のカギ

このフランチャイズ商売のカギは、「式場を持たない」「人を雇わない」という2つにかかっているらしい。
①多くの葬儀社は会館の建設に多額の費用を投じているので「葬儀代を高く設定しなくてはならない」
そこで式場を持たずに市営斎場を利用することで、コストを削減が最大にできる。
②既存の葬儀社は、すべて自社で行うことで、利幅を増やそうとしている。しかし一方で葬儀という仕事は、不定期で計画性の立たない仕事、仕事の入らない時期の人件費の捻出に困っている葬儀社も多い。
そこで人を雇わずに一人(私の場合は妻と二人)でやる。故人の搬送、花、司会進行などはその都度、全て専門の業者に任せる。
 「この二つを徹底することでお客さんに喜ばれる低価格のお葬式を提供できますよ」という説明だった。

なるほど、妻と話し合い、入会を決めた。

続く

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