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【その指導、子どものため?おとなのため?ユニセフ「子どもの権利とスポーツの原則」実践のヒント】 書評#56

みなさん、いつもお世話になっております!
本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。

自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

※書影(画像)は、版元ドットコム様から頂戴しています。いつも、ありがとうございます!


基本情報

公益財団法人 日本ユニセフ協会「子どもの権利とスポーツの原則」起草委員会(編)
明石書店 出版
2020年6月1日 第1刷発行

全145ページ
読書所要期間1日

私が本書に出会うきっかけ

私は仕事上、子どもの権利について考える機会がある。
いろいろ調べているとユニセフがスポーツの分野において「子どもの権利とスポーツの原則」というものをつくったと知り、さらに調べるとこれに関する本があることがわかり、即購入したものである。

この本の本質・言いたいこと

本書の本質は、冒頭のプロローグにしっかりと明確化されていると考えている。

要するに、アスリートを目指してハードな練習を積む方々から、スポーツが苦手と思う方々まで、全ての子どもたちが楽しんでスポーツに触れ、人間としての成長を支えるための考え方がまとめられたこの「原則」を、実例やアスリート等の対談を通してわかりやすく伝えようとするものであると感じている。

もちろん、本書を通じて、私たち大人自身も、子どもの成長を支援する主体としてだけでなく、一人の人間として大きくアップデートできる内容である!

スポーツに特化した内容であるが、決してスポーツに関わる人間だけでなく、あらゆる分野の方々にとっても、子どもの権利についてスポーツを通じて理解することができる大変有効なツールであると考える。

とにかく、大人たちが必見の書なのである!!

私が感じたこと

1点目 〜指導者(大人)はなぜ、選手(子ども)を殴るのか?

力の暴力だけでなく、言葉や性の暴力などを含め、なぜ大人は子どもに対して力を行使する必要があるのだろうか?
そうまでして、なぜ言うことを聞かせたいと思うのだろうか?
そもそも、言うことを聞かせたいと思って暴力が発動するのだろうか?
これまで自分がそうされてきたから、当然にそうすると言う単純反射的な行動なのか?
力による一時的な現状変更は、果たして子どものためになるのだろうか?
一時的な現状変更でしかない、もっと言えば現状は変更できないという認識を持っているのだろうか?
そしてそもそも、”子どものため”という概念がないからできる芸当ではないだろうか?
自分が良き指導者であり続けたい、自分の期待に反する行動により自分の価値が低下することを恐れているのか?

まだまだ書ける。
疑問は尽きない。

こうした大人は、はっきり言ってスポーツに対する誇り現状に立ち向かう勇気が足りない大人のすることだ。

子どもにスポーツの楽しみ、もっと言えば生きる楽しみを教えられれずに、自分が自分自身の力で現状を変える勇気を持たずに、それに向かう努力もせずに、いったい何を子どもたちに提供できるというのか!

提供できるのは、心や身体への傷のみである。

2点目 〜部活動で自主性を育む!

部活動に自主性!?
昭和生まれの私にとって、ぶっちゃけ寝耳に水の話である。

バスケットの強豪中学のこれに関する話が出てきた。

練習メニューは、子どもたちが自分たちで決める!
部活終了時間は厳守で、決められた時間にキッチリ終える!

そんな部活動、しかも強豪校が本当にあるのか!!!?

信じられない・・・

強豪校は、だいたい長時間の練習、そして厳しい指導者から徹底して与えられる練習というのが定番だと思っていた。

確かに、自分自身の経験から振り返れば、「今日はいったい何を練習するのか?またいつもと同じ感じだろうか?」といった、見通しのなさとマンネリ感、そして一方的に与えられた感に対し、不安と不満足感があったことを思い出す。

自分たちで決めることができれば、見通しを持って、しかも納得のいく練習に効率良く向き合うことができると考えられる。

そしてこのプロセスは、将来大人になってから、というよりも今すぐにでも活きる重要なものを磨き上げることができるだろう。
それは、コミュニケーションである。

みんなで決めるには、細かな、そして密なコミュニケーションが必要となる。このコミュニケーションは、仕事や日々の生活にとって欠かすことのできないもの
これを子どもの頃から鍛えることで、その人らしさ・魅力となることは間違いない!

なんて素晴らしいことか〜!!

むすびに(まとめ)

久しぶりに鳥肌が立つほど衝撃的な言葉に出会ったので引用したい。

学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない。

本書P 56(元フランスサッカー代表監督 ロジェ・ルメール氏)

なぜ鳥肌が立ったのだろう。

私は、子どもに何か教える立場ではないのに、強い危機感を抱いたのか。
あるいは、子育てというある種教える立場である人間としての強い反省か。

確かに、学ばなければ教える側のスキルや考え方が陳腐化していく。
するとやがて、子どもの方がこれらを持っている状態になるということもあり得る。
それはそれで良いことと考えられなくもないが、人間対人間として対等な信頼関係を損ねる可能性があり、「子どもの最善の利益」から遠ざかっていくことになるだろう。

「子どもの権利」

なんて重要な考え方・概念なんだろうか!!!


以上です。

あまりにも面白すぎて、あっという間に読んでしまいましたーー!!

書きたいことがまだまだありすぎるーー!!
これでももう2,000字超え。

野球界の球数制限、甲子園の問題、各種目でいまだにあるセクハラの問題、そしてアスリートの考え方の凄さなどなど、全部書いていたらキリがないというくらい充実した、そして大いに考えさせられた本でした!

以前に読んだ本で、「ダブル・ゴール・コーチ」という本があります。

この本は、内容的にコーチング寄りですが、全くもって”子どもの権利”としての視点が底通しています。
こちらもぜひおすすめです!

本書もそうですが、子育て論としてもめちゃくちゃ良いです!

いやぁ、めちゃくちゃ勉強になった〜
楽しかった〜

本日も、誠にありがとうございました!

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