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【ライフハック】借上社宅制度【節税対策】

経営戦略コンサルタントのちょーすです。

従業員の節税対策として有効な借上社宅制度について解説します。

従業員は会社から支給される毎月の給料から、税金(所得税・住民税)と社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料)が差し引かれた金額を手取り(可処分所得)として受け取っています。

そのため、給料自体を増やす事も大切ですが、それ以上に差し引かれる額を抑える(節税する)ことによって、可処分所得を増やすことが可能です。

一般的な所得控除については、こちらにまとめているので、ご参考下さい。

今回は控除額を増やすのでは無く、形式上の所得額を減らすことで、税金と社会保険料を節税する方法になります。

借上社宅制度

従業員が既に居住しているまたは新規に居住する賃貸物件について、企業とは別の社宅業務代行業者が貸主との間で賃貸借契約を締結し、企業はその物件を社宅業務代行業者から社宅として借り受け、それを従業員に提供する「転貸」というスキームとなります。

従業員は企業から給与を支給されますが、その前に企業が家賃を天引し、その一部が給与所得から控除されます。

これにより、元々は可処分所得の中から支払っていた家賃ですが、給与支給前から直接控除される家賃の一部が経費に組み込まれ、結果的に給与所得が見かけ上減るので、個人に掛けられている税金と社会保険料が減るという仕組みです。

家賃の概ね半額程度を企業側が福利厚生として行う住宅手当等はありますが、住宅手当は借上社宅制度とは全く別物です。(企業によっては併用も出来ます。)

社宅業務代行業者が間に入るので、イニシャルコストとランニングコストが掛かりますが、それを福利厚生として企業側が負担するようにしている企業もあります。

企業側としても経費計上出来るので、企業も従業員も節税出来るウィンウィンのサービスです。

メリット・デメリットを簡単にまとめてみました。

メリット

【従業員側】
税金・社会保険料が低減されることで手取り給与が増える
連帯保証人が原則不要となる
保証料の負担が低減される
契約・更新・解約・入居中のトラブルは社宅業務代行業者が窓口となる
退去時の原状回復の費用を社宅業務代行業者が交渉し適正化出来る
契約時の敷金預入負担がなくなる
火災保険も社宅業務代行業者が指定する保険になり、個人での手続が不要且つ割引適用される
新規物件の場合、社宅業務代行業者を通じると仲介手数料が割引される
【企業側】
会社の損金算入となり利益を圧縮出来る
社会保険料をかけずに従業員の手取り給与を増やせる

デメリット

【従業員側】
給与支給額が少なく見えるため、ローン審査等の際に不利になる場合がある
社会保険料が少なくなるため、将来の年金・給付金等の受給額が減額となる
【企業側】
従業員が自己負担すべき額の最低限が決まっている
最低賃金を下回らないように注意する必要がある

節税スキーム

スキームを整理してみました。

家賃は同額で住宅手当が無くとも、家賃の一部が課税所得から除外されることで、所得に応じた税金・社会保険料が低減され、結果的に可処分所得が増加します。

もしこれが住宅手当として支給されると、その手当分が課税所得としてみなされるため、税金・社会保険料が増え、住宅手当分がそのまま可処分所得に上乗せされず、圧縮されます。

借上住宅制度を活用する際には、月額賃金がおよそ17万円を下回ってしまうと、東京都で平日8時間労働の企業であれば最低賃金を割り込んでしまうため、注意が必要です。

節税効果を期待したものの、最低賃金を割り込んでしまい、労働基準法・最低賃金法違反になってしまうと元も子もないです。

まとめ

企業側の負担ではなく、むしろメリットがありつつ、従業員としてもメリットがある仕組みです。

一点、デメリットにも記載していますが、社会保険料の控除が少なくなる反面、将来受給出来る年金等が減少することが挙げられますが、個人的には既に崩壊しかけてる社会保障制度なので、可処分所得として受け取り、自分で運用するようにしていこうと思います。

是非、企業経営をされている方で従業員の手取りを増やしたいと考えている方は昇給等をされる前に一度、検討されてみても良いかもしれません。

税金の制度は、何も知らないままでいると、自然と多めに払うようにできています。 

知らないで多く払っている税金のことを「無知による納税」と言いますが、しっかりと勉強して必要な税金は国民の義務なのでもちろん支払い、支払わなくても良い税金はしっかりと節税しましょう。