【書評】9割の社会問題はビジネスで解決できる | 田口一成
—この記事はこんな人にオススメ—————
・ソーシャルビジネスってなんだ?
・社会問題を1つでも多く解決したい
・誰かの役に立ちたい
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こんにちは。
突然ですが、ソーシャルビジネスという言葉をご存知ですか?
私は本書で初めて聞きました。
ソーシャルビジネスとは・・・
ソーシャルビジネスが扱うのは、「儲からない」とマーケットから放置されている社会問題です。
P.34より引用
貧困や難民、フードロスなど社会的に問題となっているものですね。
そういった問題を解決しつつ、経済も回していこうというのがソーシャルビジネスです。
誰かがやらなければいけいないけのは分かっているけど、儲けにはならないし・・・ と足踏みしてまう分野に対して挑戦している企業のお話です。
よくあるサクセスストーリーというよりは、創業者である著者の熱い想いが伝わってくる一冊です。
【9割の社会問題はビジネスで解決できる】から得られるもの
どのようにして、社会問題をビジネスとして成立させたのか。
会社立ち上げから現在、そして未来に向けての挑戦が書かれています。
***ソーシャルビジネスしかやらない***
本書の舞台となるボーダレスグループはソーシャルビジネスしかやらない企業。
グループとして40社存在しているそうですが、その全てが何かしらの社会問題を解決するための企業です。
40社もあれば1個や2個は利益を優先しそうな気がしますが、そういった企業は皆無。
それぞれが志高く、社会問題を解決するために働いてるのは凄いことだと思います。
ボーダレスグループとして新しい企業を立ち上げる際には、各社の社長が集まって社長レビューが行われるそうです。
その中で利益やマーケット優先になってないかなどを徹底的に見られ、全員のOKが出るまで、レビューが繰り返し行われる。
そういった徹底的な仕組みがあるから、利益優先しようという企業は1つもないんだと思います。
***恩送りというシステム***
ボーダレスグループには独自のシステムがあります。
それが「恩送り」というもの。
これは何かというと、それぞの会社で出た利益をグループ全体のお財布に入れるのです。
新しくボーダレスグループとして企業する人たちは、共通の財布から起業資金を出してもらいます。
このシステムの凄いところは、最初にもらった起業資金を返済しなくて良いんです。
その金額なんと1,500万!
これだけ見ると、起業資金だけもらって逃げちゃいそうと思うかもしれませんが著者いわくそんな人は今までにいないとのこと。
先輩社長からもらった資金を無下にはできないということなんでしょう。
さらに凄いのが、最初の1,500万を使い果たしてしまい赤字となった場合は事業の修正案が承認されると追加で1,500万が支給されます。
起業家にとっては嬉しいことですよね。
そして、利益が出たら今度は後輩社長のために共通の財布に利益を還元していく。
受けた恩を次の代につなげていく。
とても素晴らしいことだと心から思いました。
***みんなで決める***
グループにとって大事なことを決めるときは、各社の社長が集まって決めるそうです。
1つでも反対意見があればやり直し。
ボーダレスグループの創業者である著者にも決定権はないとのこと。
通常であれば99%の社員が反対しても社長や会長がGOサインを出せば、それで決まってしまいます。
グループの舵取りを全員で行う。
そうすることで、1人1人に責任感と当事者意識が芽生えてくるのだと思います。
僕たちは一人ひとりが自分の意思で動いていて、一人ひとりが主役です。
P.61より引用
組織の中にいると個人というものが薄れがちですが、一人ひとりが主役となれるのは素晴らしい。
個人が生き生きすると会社全体が活発になり、明るく働きやすい会社になるイメージ。
そして、著者が最終的に目指しているのは以下のような組織とのこと。
僕たちが作ろうとしているのは、「リーダーシップ」による統合ではなく、みんなで助け合う仕組み「エコシステム(生態系)」です。
P.336より引用
本当に1人1人を大事にしているという印象を受けます。
本書の概要
ソーシャルビジネスのみを行う会社の集まり。
「ボーダレスグループ」について書かれています。
冒頭でも書きましたが、ソーシャルビジネスは貧困やフードロスなどの社会問題を解決するビジネスです。
このビジネスの難しいところはマーケットがない、または狭いということ。
ビジネスでやる以上、ちゃんと利益も出して未来に繋げたい。
そのために何をしてきたのか、これから先は何をしていくべきなのかを熱く語っています。
よくあるビジネスの成功本ではなく、著者のソーシャルビジネスにかける熱い想いが全編にわたって書かれています。
本書を読んでいると「社会問題をなくしたい」という趣旨の言葉が複数回出てきますが、それが嘘ではないことがうかがい知れます。
ソーシャルビジネスにおいて、1番大事なのは利益の追求ではなく問題の解決。
そのためには起業時から綿密な計画が必要。
ボーダレスグループでは、専用のシートがあり、それを作成することでビジョンや目的がハッキリする仕組みが作られています。
問題を抱えている側と解決する側の双方がWin-Winにならなければ意味がない。
そんな思いを胸にグループとしてさらなる発展を目指していくそうです。
何度も書きますが本当に熱い方で、その熱量に圧倒されます。
著者について
著者についても触れておきましょう。
ボーダレスグループの創業である田口一成さんです。
本書の中に出てきますが、創業者という地位を2025年に引退するとのこと。ソーシャルビジネスで社会問題を解決するスピードを加速させるために政治の世界へと活動の場を移すそうです。
そうはいっても田口さん自身が政治家になるというよりは、更新を育てて一緒に活動してもらうというイメージです。
田口さんのように本気で、社会問題と向き合う政治家や活動家が増えたら世の中はどんどんよくなるだろうなと思わせてくれます。
まとめ 〜ビジネスの力は無限大〜
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
いかがだったでしょうか?
社会問題という非常に難しい分野で、成果をあげ続けているボーダレスグループ。
身近にある社会問題に対して何かしたいけど、どうしたらいいのか分からない。
そんなふうに思っている方はボーダレスグループの門を叩いてみてはいかがでしょうか?
ソーシャルビジネスは、凄い可能性を秘めています。
ここでポイントのおさらいです
・ソーシャルビジネスしかやらない
・恩送りというシステム
・みんなで決める
それでは、失礼します。
おまけ:本の情報
タイトル:9割の社会問題はビジネスで解決できる
著者:田口一成
ISBNコード:978-4-569-84913-3
発行日:2021年6月10日
発行所:株式会社PHP研究所
目次
はじめに
第1章:「社会問題を解決するビジネス」を次々と生み出す仕組み
第2章:この“仕組み”がどうやって生まれたのか。その実験の歴史
第3章:「社会問題を解決するビジネス」のつくり方
第4章:ビジネス立ち上げ後の「成功の秘訣」
終章:一人ひとりの小さなアクションで、世界は必ず良くなる