2019/8/11 「帰ってくる場所」
虫の鳴く声と遠くで踏切の音がして、電車の走る音が聞こえてくる。外では心地よい風が吹いていて、草木の香りが風に乗って私の頬をなでる。
この町に帰ってくると、感情が動く前に私の体中が喜んでいるような気がするのは、きっと気のせいではない。特徴的な観光地があるわけでもなく、見渡せば田んぼ、田んぼ、その隣もまた田んぼ。高校生の頃は学校で配られる県のパンフレットに友人たちとケチをつけたものだ。
3年前、この町を出た。そこから全く違う土地へと移り住んだ。最初はかなり戸惑った。新し