世の中は狭い、群馬はもっと狭い。#1

この間、家に帰ってきて車を降りようとしたとき急に電話が鳴った。

電話の相手は中学時代、前橋のクラブでチームメイトだった友人だった。

基本的に電話に出るのが苦手(電話を掛けるのはもっと苦手)な僕だが、1年近く会ってなかった友人からだったので、なにかあったのではないかと心配になって珍しく通話ボタンを押した。

「もしもし、さっき踏切のところ運転してた?」

友人から発せられた言葉を瞬時には理解できなかった。運転してたけど、踏切ってどこのだ?家の近くには踏切があるけど前橋で働いてるはずの彼がまさかあそこを知るはずないだろう。どこの踏切なのか聞いてみた。

「桐生の踏切。〇〇町の。」

そう、まさに家の近くの踏切だった。話を聞くと、どうやら友人は仕事で僕の家の近所に来ていて帰社する途中に僕とすれ違ったようだった。

家に帰ったらなにしようとか、さっき食べた明太釜玉うどんおいしかったなとか、明日何時集合だっけとか、そろそろバイトのシフト決めなきゃとか、僕にとっては大事だけど他人からしたらどうでもいいことを真顔で考えながら運転してたのを見られてたのである。モニタリングされていたのである。とっても恥ずかしかった。これからは誰とすれ違ってもいいように、いつでも気を抜かず血の気の通った顔で運転しようと心に誓った。

そんなことより、電話を通して一足早く社会人として働く同い年の友人を大人に感じてしまった。お客さんの家が近くにあってさ。会社に戻るとこでさ。と、言われると、もうひとりで仕事してるんだ、かっこいいなと思った。それと同時に、半年後には僕も彼のような社会人として仕事ができているのだろうか、不安になった。

先日内定先から社会人の心得を学ぶ通信教材課題が届いた。内定式でも社会人になる準備を進めてくださいと言われた。そうだ、僕はもうすぐ社会人になるのだ。友達からの何気ない電話で、まだ社会人になる準備が全くできていない自分に気づけた。電話を掛けてきてくれてありがとう。

社会人への切り替えを進めよう。

社会人になったらめちゃくちゃ電話取らされるんだろうな。嫌だなぁ。やるしかないんだけど。笑

#エッセイ #生活 #大学生 #社会人 #群馬

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