趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.026 読書 夏見正隆「スクランブル―イーグルは泣いている」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は読書 夏見正隆さんの「スクランブル―イーグルは泣いている」についてです。
本屋さんでシリーズ化しているものを探していたら偶然見つけた本です。
無性に長いシリーズものを読みたくなったんです。
前評判もわからず、裏の解説のところに青春群像ドラマ!とあるじゃないですか。
若干ライトノベルな印象がありましたが、まあ読んでみないとわかりません。
また633頁の分厚さにも惹かれました。
はい、大正解!確かに、ん?と思う部分も多々ありますが、それが大したことに思えなくなるほど面白かったです!
恥ずかしい話ですが、最後涙が出てきたほどです。
航空自衛隊のF15イーグルを巡る青春ドラマ。
ものすごく読み易く面白くてスラスラと2日で読んでしまいました。
ご都合主義の部分が多々見られそこの部分は青年向けの印象、
人物描写や恋愛が絡むシーンは読んでいて恥ずかしくなってしまいました。
そして銀行の人や政治家や官僚さんをもうそこまで悪く描くの?と言うほどとことんひどく描いています。
だからこそ純粋にパイロットたちはキラキラして美しいですが、リアリティがw
その反面、現役パイロットが書いているので、スクランブルや操縦シーンのリアリティは半端なかったです。
その圧倒的な戦闘シーンの描写がこの小説の魅力!
それなら映画トップガンのようかと言われると、ここは自衛隊のお話、
とことん憲法に縛られ、しがらみに縛られ、がんじがらめの自衛隊。
何もできない、威嚇もできない、発砲もできない、ナイナイづくしで
それがまたこの物語を面白くしていく。
いや〜久々に夢中になるほど結局徹夜して読んでしまいました。
物語は国籍不明の戦闘機が日本の領海に侵入した、
急遽航空自衛隊のイーグルがスクランブルをかけたが
警告しても無視され、選挙を控えている時期に威嚇射撃もできない
嘲笑うかのように謎の戦闘機は基地の上空を通過し去ってしまった。
その航空自衛隊に彼女が別の人と結婚してしまった青年が目指す。
そして銀行をクビになった女性も偶然に自衛隊パイロットに出会い航空自衛隊を目指す。
若者たちが厳しい訓練を経て念願の航空自衛隊に配属になった時、
またあの謎の戦闘機が日本に侵入してきた。
スクランブルをかけたイーグルは憲法でがんじがらめの中撃つことも出来ない中どうやって日本を守るのか!
はっきりいって、もう漫画のような展開です!
そんな敵国の戦闘機が侵入することは多くても、攻撃してくることは、まだ今の段階ではないです。
ある作家は芸術は戦争を止められないが炭鉱のカナリアのように警告はできると。
このような物語ありえない話ですが、自衛隊の在り方など考えるきっかけになるかもしれません。
まあともかく戦闘シーン、ドッグファイト、コックピットの描写はものすごくリアルなので、痺れます。
後半泣いたシーンは、感動で泣いたのではなく、
あまりにも手出しができない自衛隊が可哀想になり哀しくなりました。
今日はここまで。
芸術とは社会全体の表現にほかならないもので、社会が危険な状態になったとき、芸術家は率先して炭鉱のカナリアのように声を上げるべきである/カート・ヴォネガット