趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.145 映画 山田洋次「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は映画 山田洋次「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」についてです。
これで「男はつらいよ」シリーズ30本鑑賞。50本あるうちの30本ならだいぶこのシリーズの世界観もわかってきました。
もちろんこの映画の主人公は寅さんですが、段々観ていくうちにこの映画は女性の人生を描いているシリーズではないでしょうか。
50作分の女性の人生。
寅さんはあくまで進行役。
マドンナで作品の色が変わります。明るかったり暗かったり。
今回のマドンナはいしだあゆみさん。
幸薄そうないしださんの雰囲気がものすごくこの作品を暗くしているよう。
けどこの暗さがまた情念がこもっていて良いんです。
男はつらいよシリーズでも屈指の色っぽいシーンがあります。
旅先では調子のいい寅さんがまたいざデートとなるとてんでダメで、そのダメさ加減がまた印象的です。
片岡仁左衛門が人間国宝の陶芸家として出てきて旅で意気投合しますが、寅さんとお爺さんというパターンは大体面白く好きですね。
とにかく今回はいしださんの暗さというか情念に絡みとられそうな寅さんが面白い一本です。
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物語は、京都にて老人の下駄の鼻緒を直した事をきっかけに、彼の家に呼ばれる。
その老人は人間国宝の陶芸家だった。
その陶芸家の工房に住み込み女中の未亡人マドンナ(いしだあゆみさん)に出会う。
すっかり夢中になった寅さん。しばらく京都に滞在する。
ある日陶芸家の独立した弟子が来て挨拶するが、彼はそのマドンナと結婚の約束をしていたが、親が資金を出してくれる違う娘さんと結婚することを報告にきた。
そんな振られても煮え切らないマドンナの態度を見て陶芸家は叱責する。
寅さんが陶芸家を訪ねると、マドンナは実家に帰ったと。
風の向くまま旅に出ようとする寅さんに、マドンナの住んでいる丹後の方に吹かないだろうかと、大事な美術館に展示されるような茶碗を渡して頼む。
丹後までマドンナを訪ねに行くと、帰りの船がなくなり一番泊まっていくことに。
寅さんに惹かれるマドンナ、消極的な寅さん。
結局逃げるように柴又に戻った寅さんは恋の病で寝込んでしまう。
そんな寅さんの元にマドンナが訪ねにくる。
密かにマドンナから紙を渡された寅さんは鎌倉でデートすることに。
緊張するあまり、甥っ子の満男をデートに同行させる。
いつもの調子が出ず、満男ばかりに話しかけてしまい、デートは失敗に。
途中で別れ、マドンナはとらやに電話をかけ、京都に帰ると。
寅さんもまた旅に出る。
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まあ振られるのは「男はつらいよ」ではよくあるが、ここまでデートに失敗して振られるのも珍しい。
それも女性の方がかなり積極的だったのに。
いしださんの影のある雰囲気とデートの失敗で、この作品自体がかなり暗い。
でもその暗さが本当に魅力的。
印象的なのは、このシリーズで一番色っぽいシーンだが
実家の丹波に帰ったマドンナを訪ねにきて、帰りの船がなくなり一番泊まることに。
晩御飯も楽しく、良い感じでお酒を飲む。しなだれるマドンナ。
船屋の二階、旅の男(寅さん)の寝間に未亡人(いしだあゆみ)が忍び込む。
よくある色っぽいシーンだが、ここで寅さんは寝たふりをする!!!
マドンナが寅さんのことを好きなのはわかっている。
けど、手を出さずに、また女性に恥をかかせないように寝たふりをする。
旅のときの寅さんはかっこいい!話も調子良く面白い。
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けど東京に戻ってから、本気のデートの時に甥っ子の満男を連れて行き、会話もできない寅さんは、そりゃ振られるでしょう。
こんな寅さん、ここまで女性にアタックされながら、女性に恥をかかせちゃダメです。デートに甥っ子連れてくるなんて。
ダメなんだけど、そのダメさ加減が本当に良い。
今回の作品は楽しく爆笑の部分は少ないが、男のダメさ加減が見れて良かったです。
満男(子供の頃の吉岡秀隆さん)は寅さんのデートについて行くなんて、いろいろと勉強になったでしょう。まあこの年代の時はわかっていないと思うけど。
今日はここまで。
風の吹くまま気の向くままってやつだよ。
道の真ん中でよ、こうやって指にツバキをつけるだろう。
で、こうやって出すわけだよ。
ふっと風が吹いてきたなって方へ一緒につられて
フワフワフワフワっと行っちゃうわけだよ
/「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」より
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