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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.352 映画 山田洋次「男はつらいよ 寅次郎忘れな草 」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 山田洋次の「男はつらいよ 寅次郎忘れな草 」(1973/日)についてです。


「男はつらいよ」シリーズで一番多く出ているマドンナのリリー(浅丘ルリ子)と寅さんが初めて会う作品。

リリーはいつもの可愛いマドンナとは違って、売れない場末の歌手で彼女自身も寅さんと同じ堅気ではない女性。だからこそお互いわかり合い惹かれ合う。

兄妹のさくらより、寅さんのことがわかる人かも。

わかりすぎて仲良くもなるが、わかりすぎて喧嘩して離れてしまうことも。

ともかく、今作はあの寅さんの永遠のマドンナであるリリーの物語の第一弾。



物語は、寅次郎は満男のお土産にピアノが欲しいと言われオモチャのピアノを買って行ったら大騒ぎになりまたすぐに旅に出る。

北海道の網走でレコードの売をしていると、ドサ周りの歌手リリーに出会う。

お互いに泡のような人生だと、同じ境遇で、意気投合する。

別れ際に再会を約束し、葛飾柴又の車寅次郎だと伝える。

寅さんはフーテンの生活ではダメだと、職安で紹介された酪農家のところで働く。

重労働の酪農に寅さんはついていけなく、寝込んでしまい、さくらに迎えに来てもらう。

柴又へ戻った寅さんをリリーが訪ねてくる。

とらやの皆は暖かくもてなす。

気をよくしたリリーは寅さんを羨ましく思い、惹かれていく。

ある日母親と喧嘩したリリーは深夜にとらやに押しかけてクダを巻く。

たしなめる寅さんに喧嘩をふっかけとらやから飛び出してしまう。

翌日リリーのアパートへ尋ねるともう引っ越ししてしまった。

寅さんも旅に出る。さくらにもしリリーがとらやを尋ねたらもてなしてくれと頼む。

季節は変わり、とらやにリリーから手紙が来て、お店の女将さんになった書いてあり、さくらが尋ねると、寿司職人と結婚していて「この人より寅さんの方が好きだった」と言う。



なぜリリーが出る「男はつらいよ」作品は魅力的なのか。

リリーが出るのは第11作、第15作、第25作、第48作 - 第50作。

一番多い。

ドサ周りの売れない歌手。派手で美人で、気が強くて優しい。タバコもお酒も嗜む。

たくさんのマドンナの中で、一番堅気ではないマドンナ。

最も寅さんに似た状況なので、一番寅さんのことがよくわかる。

よくわかるから、近すぎるから、理解者でもあるが、恋人にはなりきれず

永遠に惹かれあう”同士”。

本当なら結ばれてほしいけど、このシリーズでは結ばれませんでした。

浅丘ルリ子さんは渥美さんの死期が近づいて来た時山田洋次にリリーと寅さんを結婚させてくださいと頼んだらしい。

でもリリーさんと寅さんは心では繋がっていたのでしょうね。

今日はここまで。





「わたしたちみたいな生活ってさ、普通の人とは違うのよね。
それもいい方に違うんじゃなくて、なんてのかな、あってもなくてもどうでもいいみたいな。つまりさ、あぶくみたいなもんだね」
「うん、あぶくだよ。それも上等なあぶくじゃねえやな。
風呂の中でこいた屁じゃねえけども、背中の方へ回ってパチンだ」
/「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」より




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