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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.157 映画 山田洋次「男はつらいよ 噂の寅次郎」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 山田洋次さんの「男はつらいよ 噂の寅次郎」(1978/日)についてです。

「男はつらいよ」シリーズ第22作目。自分が鑑賞したシリーズ32本目。

マドンナは大原麗子さん、博の父として志村喬さんも出てきます、泉ピン子も裏マドンナ的に。

なんと、とらやに職安から紹介で大原麗子さんのような美人が働きにやってくる!

寅さんが帰ってきて大騒動に。

本当にこの時の大原さん圧倒的な美女で、寅さんじゃなくてもおかしくなってしまいそう。そんな人が家に来て一緒に働くなんて。

その違和感、訳あり感がなんともまた物語を魅力的にしている。

そんなしっとりとした影のある大原さんを、映画の最初と最後は明るく元気な泉ピン子さんの存在が、より引き立てる構造になっている。

なんだかこの年代「男はつらいよ」はいろいろなパターンをやってきたが、今回は原点回帰のような話でした。

しっくりくる。



物語は、寅次郎が彼岸なので墓参りに柴又に戻ると、タコ社長が行方不明になり、もしかして自殺したのではと心配すると、酔っ払って帰ってきた社長と大喧嘩してまた出ていく。

旅先で泉ピン子に会い、失恋した彼女のマシンガントークを聞くハメに、散々な思いをした後、偶然バスの中で博の父親(志村喬)に会い、温泉宿で一緒に出かける。宿で「今昔物語」の話になり「いくら美人でも死んでしまえば骸骨」と人生の儚さを聞かされ、反省して柴又に戻る。

そこへとらやに職安から紹介で働きにきた女性(大原麗子)がやってくる。
寅さんは人妻と聞きがっかりするが、今離婚調停中と聞き俄然元気になる。

その女性は次第に優しく気遣ってくれる寅さんに心を開いていく。

「寅さん、好きよ」と言うまでに、とらやの皆は心配になる。

ある日マドンナ(大原麗子)の引っ越しを寅さんが手伝いにいくと、彼女の引っ越しの運搬をしていた従兄弟を紹介される。

その従兄弟は朴訥とした雰囲気の青年。高校で教師をしている。

また別の日、その青年がとらやに尋ねにきて、マドンナが帰ってくるのを待っていたが、寅さんに伝言と預金通帳を渡す。

マドンナが帰ってきて寅さんはその青年の気持ちを伝えて、マドンナに早く追っかけていけという。

恋のライバルに譲るという失恋をした寅さんはまた旅に出る。

汽車の中で、映画の最初に出会った泉ピン子に会い、結婚した話を聞き、その元気さに呆れる寅さんでした。



この映画はやはり大原麗子さん。

圧倒的な美人のマドンナだが、少し影がある感じ。

「男はつらいよ」シリーズでも屈指の美人。

映画の最初で偶然一緒になった博の父(志村喬さん)が「今昔物語」を寅さんに聞かせ「美人も死ねば骸骨だ」と言う。

そう言えば偶然にも最近小説で「ドグラ・マグラ」で美人が腐っていく絵巻「九相図」の話が頭の中にあった。

そして大原麗子さんは当時日本を代表する美人女優。
あの美貌とハスキーボイスな甘い声に魅了されました。
彼女が出たサントリーレッドのコマーシャル
「少し愛して、なが〜く愛して」がとても印象深い。
ただこのCMもなんだか少し影(過去いろいろなこと)がある感じもする。

大原さんは絶世の美女でしたが、プライベートはあまり明るくなく、2回の離婚を経て、大病もして、晩年は孤独死と言われている。死後3日経って発見された。

今昔物語と孤独死が妙にリンクして複雑な感じを味わってしまいました。

でもフィルムの中の大原さんは影があるが、それでも凛と立つまさに女優という存在でした。



そして今回もまた寅さん、自分よりふさわしい男性が現れると、スッと譲ってしまう、優しさなのか小心者なのか、まさに”男はつらいよ”な感じでした。

けど従兄弟と結婚って、法律上はいいけどなんだか近すぎてどうなんでしょうと思ってしまいます。まあ大原麗子なら仕方がありませんが。

今日はここまで。



「わかっているのよ、あの人の気持ち」
「だったら本人にそう言ってやんなよ、どんなに喜ぶか」
「そんなこと言ったって」
「私ね・・・」
「ん、明日聞くよ」
「早く行かねえと間に合わないぞ。な」
「そう、じゃあ、また明日ね」
/「男はつらいよ 噂の寅次郎」より









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