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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.077 読書 柚木麻子「ランチのアッコちゃん」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は読書 柚木麻子さんの「ランチのアッコちゃん」についてです。

柚木さん2冊目。

またしても料理と仕事が絡む女性が主人公の物語。

4つの短編集。

第一話は自分のお弁当と女上司のランチを1週間取り替えよう!という話。

もう設定が面白過ぎ!それでも嘘くさくないところが柚木さんの腕の見せ所。

と言ってリアルに偏っているわけでもなく、地に足がついた女性たちだからこそ共感を生むのでしょうか。

映画でも人間を描くときは料理シーンを入れるといいと聞きますが、

柚木さんの物語も美味しそうな料理ばかりで、

だからこそ読んでいてプラスな気持ちに元気になれます。

これからも柚木さんの本を読み続けようと思います。



物語は4つ。

第一話は地味な派遣社員の主人公。毎日お弁当を持ってくるが

ある日女上司のアッコさんから、自分が毎日ルーティンで食べているランチと1週間交換しようと強引に提案される。

毎日お昼にお弁当を渡し、紙に指示された場所へ行き、ランチを食べにいく。

その体験を通して、さまざまな体験と人々に出会い、主人公は成長していく。

第二話は一話目と同じ主人公が数年経ち、会社も変わり正社員と派遣社員の間でバレンタインを会社で渡すべきかどうかという問題の間に挟まれて悩んでいる。

そこへ前回お世話になったアッコさんに外で会い、彼女も前の会社を辞め新しい仕事をしている。また強引に彼女の夜の移動販売(外でポトフの販売)の手伝いをすることに。

その移動販売を通して、いろいろな人や出来事から、今の悩みを解決していく。

第三話は主人公はOLで渋谷で合コンに出席している。

昔はバリバリのコギャルだったが、今はその素性を隠してお淑やかだったと嘘をついている。

合コン会場でトイレに行くと、自分の学校と同じ制服の子が入ってきて、その後に
昔担任だった先生も追っかけてくるが、女の子に逃げられてしまう。

先生と一緒にその女の子を探すために渋谷の街に。

次第に先生と話しながら昔の自分、本来の自分を思い出していく。

第四話は主人公は会社の社長、性格は明るいが失敗をたくさんする仕事ができないOLが退職した。

しかし、一年後彼女がその会社の屋上でビアガーデンを開くことに。

話を聞くと、仕事ができないと思っていたOLは、いろいろなアイディアを持っていて、人間関係もよく、

ビアガーデンも次第に人気に。

面白くない社長も、次第に彼女の仕事ぶりに、興味を持つようになる。



4作とも楽しく読め、女性が主人公で、料理小説と仕事小説の半々という感じ。

上司のアッコさん、高校時代の先生、前の会社の社長と、いろいろと教えてくれる先輩がいて、

またそれを素直に受け止める主人公の女性たち。

物事は幅広い体験からこそ学べる。見聞を広げようというメッセージが伝わる。

そして料理は生きる喜び、元気な源になる。

ポトフ食べたくなっちゃいました。

今日はここまで。



「知ってる?一人で食事するより、誰かと一緒に食べた方が長生きするのよ」
「それ、よく聞きますけど、どうしてなんですか?」
「誰かと一緒に食事する時って、品数が増えることが多いし、温かい汁物も一緒にとるようになるじゃない。だから、消化が良くなるの。時間をかけてゆっくり食べることになるでしょう。自然とよく噛むようになるから食べ過ぎなくて済む。良いこと尽くめよ」
/P.90「ランチのアッコちゃん」より




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