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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.047 読書 夢野久作「ドグラ・マグラ」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は夢野久作の「ドグラ・マグラ」についてです。

日本探偵小説三大奇書と言われている伝説の本。

やっと読了しました。

それも2年もかけて。

自分は普段カバンに入れて普通に読む本と、もう一つ別枠で1日2ページづつ少しづつ読む本があるんです。

難しい本はこの方法で読んでいるんです。

どんなに難しくても2ページならなんとかギリギリ集中力を切らさず読めるんです。

この本「ドグラ・マグラ」と「薔薇の名前」と「カラマーゾフの兄弟」はこの方法でゆっくりと。

それで、「ドグラ・マグラ」は上下巻ありまるまる2年かかりました。

何度も苦痛になり、やめようと思いましたが、これで諦めたら一生読まないだろうと思い頑張って続けました。

「この本を読んだ人は、精神に異常をきたす」と都市伝説がありますが、

まああまり深く理解しなかったので、精神は大丈夫でしたw



さてこの本、もちろんまったく理解できず、

訳のわからない不思議なものを体験したと言う感覚だけが残りました。

スチャラカチャカポコ、ブウウーーーンと言う擬音とともに。

途中なんとなくわかりそうになっても、次から次へ謎が重なり、

登場人物が本当のことを言っているのか、嘘を言っているのか

はたまた現実なのか、夢なのか、

精神がおかしくなっているのか

もしかして作者がおかしくなっているのか・・・・。

ものすごい博識の情報の中に、嘘か本当かわからない情報まであり

物語の筋も何重にも入れ子構造になっていて、その中の論文「胎児の夢」「脳髄論」「キチガイ地獄外道祭文」などあり、

またこの「ドグラ・マグラ」の作中に「ドグラ・マグラ」という小説があり

全体的にメタフィクションという形になっている。

1935年にこのような複雑な構造の小説を作り上げる夢野さんの才能は恐ろしい。

しっかりと理解しながら読むと、確かにおかしくなる感じがし、

次第に理解せず、ただただこの物語を並走しようと努力しました。



物語は、うまく書けませんがw

記憶を失った主人公が自分の過去を探す話

ある法医学者の若林教授からある殺人事件に関わっているかもしれないと言われ

記憶を取り戻すことが手がかりになると。

そして死んだはずの天才医学者正木教授がやってきていろいろな話をします。

隣の部屋には私の妹だという美少女が泣いています。

訳のわからないまま、私の記憶は一向に思い出せません。

若林教授から私は正木教授の実験材料だと言われます。

記憶を呼び起こすためにいろいろな実験をしますがそれでもダメです。

正木教授の部屋にあった遺稿を読むと呉一郎という青年が母親と従兄弟を殺して

正木教授が心理遺伝という現象を利用した何者かに操られていたと。

死んだはずの正木教授が現れ、部屋の窓から外の開放治療場を見ると自分にそっくりの一郎がいる。

もうここまでにしておきましょう。

物語の筋を話してもあまり意味をなさず、ここからどんどんと謎が重ねられ

結局最後まで答えは出ません。

もう完全に迷宮にはまり込みます。

多分この本はその”迷宮”感こそが魅力のような気がします。


一番印象的なのは美女の死体が腐敗して白骨化していく過程を描いていく絵巻物が重要なモチーフとして出てきます。

調べてみると「九相図」と言い死体が朽ちていく過程を九段階に分けて描いた仏教絵画が実際にあることに。

それと美人幽霊画の松井冬子さんが現代の九相図を書いていたような記憶が。

この絵巻物が1000年かけて”心理遺伝”し主人公を狂わせて殺人に追いやることになります。

結構その描写は印象的です。

死体に異常な偏愛をする映画などがあるが、結構先駆けなのでは。

あと表紙の米倉斉加年さん絵がとっても好きです。

幻想的で淫靡でそして美しい。

黒い角川文庫で隠しているのが良いw




はい、とにかく訳のわからない小説、

訳のわからないように綿密に(10年かけて書かれたそうです)計算された恐ろしい小説、

あらゆる学問、心理学、精神医学、夢、法医学、殺人心理学、遺伝学などをこれでもかと詰め込んだ百科事典のような小説。(実際百科事典を参考にしながら書いたそうです)

入れ子構造、小説内小説、のメタ小説。

感想を書いていても結局あまり理解できませんでした。

ただすごく変なものを読んだという達成感はあります。

日本探偵小説三大奇書の残りの2つ

小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』、中井英夫の『虚無への供物』も読んでみます!



今日はここまで。



胎児よ胎児よ何故踊る 母親の心がわかっておそろしいのか

/「ドグラ・マグラ」より

















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