わたしをゆすって起こすのは 誰 もう少し 寝かせて おかあさん ずうっと一緒に 夢の中で 眠っていようよ どうして ぼくのことを 抱きしめるの どうして 人は ちゅうを するの ちゅうのしかた おかあさんから おそわった ぼくは お母さんの ちゅうを 娘に 教えた 娘は 僕の髭なんて気にもせず 小さな唇を できるだけ大きくとがらせて ぼくに ちゅうをした なんの味も なんの匂いもしない 透きとおった ちゅうだった おかあさん 遠くにいったのは あなたではない ぼ
わたしは 水に触れたかった ただ それだけだった 水面に手を伸べ 水滴が ぽちゃんと聞こえて ひと波紋 さざなみ連なり ゆらゆらと 吹きよす風が 背中押す 大波 小波 ひっくり返ってあっぷっぷ 天地のひっくり返ったは 水面をひと撫で 海の底 たったのひと撫で さようなら
雨音がすべてをかき消している間に ふたりきりで泣こう グラスに涙を注ぎあって 朝になるまで飲み交すの 遠くの雷鳴が世界を寝かしつけている間に ふたりきりで喘ごう 用もないのに名前を呼びあって 気がついたら眠っているの 吹きかかる生温かい寝息と 纏わりつく栗色の細い髪の 鬱陶しさと愛おしさ
可愛い可愛い自分が可愛い あぁ誰よりも自分が大好きで仕方がない あの人の気持ちなんて知るもんか 都合の良い解釈で相手を丸めこんで 自分自身さえ騙くらかしてしまおう はじめからそれが正解だったかのように お前が悪い 俺は悪くない お前は壊れてる 俺はまとも お前は使えない 俺は価値ある人間 藍色だの葡萄茶色だの芥子色だの そんなものは知らない 黒い絵の具で塗り潰せばいいじゃない めんどくさくてしょうがないな 可愛いよ、美しいよ、素敵だよ 綺麗なお花を摘んであげる 心配しな
消えた父さん思い出し 母さんの膝に泣き縋る 道路を走る 日本家屋 雨降る 子どもたちの街 なにに追われて 震えているの できることなら 救いたい わたしは わたしを抱きしめて 肩を支えて 歩いてく ひとりぼっちの 夢の旅 夢のなかでは ひとり旅 あんなに愛しい恋人も ここでは忘れ ただ彷徨う 不安になって キスをした わたしはなにを 探すのか なにに追われて 震えているの できることなら 醒したい わたしはわたしの額を撫で 大丈夫だよと 言い聞かす ひとりぼ
その鳥を捕らえたつもりなのか けれども鳥は 窓外を自由に羽ばたいている 白樺の枝に軽々とその身を乗せ 空っぽの鳥籠を血眼で監視するきみを哀れんでいる 瑠璃色の羽を嬉しそうに嘴で整え 黒々とした瞳を潤ませている 澄みきった声が りりりと響く 天の裂け目から降り落ちる 救済の鈴の音 鳥籠を棄てろ 鳥籠を棄てろ 鳥籠を棄てろ そこへ 投げつけられたひとつの鋭い石が まっすぐに鳥を叩き殺す 窓外の世界は消滅し 鳥籠が きみを捕らえた
淡い黄色の光り放つ 泡は夢 溶けかかった氷の薄膜が 瞬きのたびに弾けて 私は微睡みの中に また吸い込まれてしまうのだ
INAEです。 昨年、自宅で録音をしてみたいと思い、初めて手にしたインターフェイスがAudientのiD14(2-in/4-out)でした。 インターフェイスって何なの？というレベルから始まった私ですら録音ができています。これから録音をされたい方、安心してください。 インターフェイスというのは「接触面」「境界面」という意味の英語ですが、その名の通り、私たちが放つ音(アナログ)をデジタルに変換して、電脳世界に送り込んでくれる箱です。この箱の中で小人たちがアナログを頑張って
