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佐久間宣行さんの作品に採用サイトの突破口があるのではという仮説。

  • ダサいことを真剣にやるから面白い

  • 仕事についてや人生の悩みを日常的に語ってみる

  • 好きなものへの情熱を真剣に語る

  • 他者や相方を正面から褒めてみる

これらを今の時代に合わせたパッケージで新たなエンタメジャンルとして魅力的に再提示してくれているのがTVプロデューサーの佐久間宣行さんだと思っています。『ゴッドタン』のマジ歌選手権やお笑いを存分に語れるバー、『あちこちオードリー』の一連のトークテーマ、星野源と若林正恭の『LIGHTHOUSE』、さらば青春の光・森田と若槻千夏の『褒めゴロ試合』、NOBROCKTVの『ティモンディ高岸に励まされたら誰でも元気になるのか選手権』など枚挙にいとまがありません。

ゴッドタン
あちこちオードリー
LIGHTHOUSE
褒めゴロ試合
NOBROCKTV

最高だった『相方褒めネタ選手権』

つい最近ではゴッドタン特別編 アイフル presents『コンビ愛確かめ選手権』が最強でした。特に「相方褒めネタ選手権」が最高の発明で、爆笑しながらグッときてしまう。相方に褒められてるときの表情がいいんです。トム・ブラウンとラブレターズなんてちょっと泣いてしまいました。

コンビ愛確かめ選手権

真剣さや情熱、仕事や人生についての悩み、身近な人への賞賛といったテーマはこれまでどちらかといえばスカす対象だったり正面から扱うのはダサいという扱いだったと思います。少なくともエンタメでは。それは今も無くなった訳ではないのですが、だからこそ正面から扱うことで生じるギャップを利用してエンタメとしての面白さを生み出している。演者との信頼関係や全体構成、編集能力が問われる手法なはずなので、形式だけ真似しても同じ面白さは出せないだろうし、そこが佐久間さんの手腕なんだと思います。

企業の採用コンテンツと相性がよいのではないだろうか

で、何を言いたいかというと、「これらの方法論は企業の採用コンテンツと相性がいいのではないか」という仮説です。特に「好きなものへの熱意を真剣に語る」「他者や相方を正面から褒めてみる」はそのままコンテンツになり得る。企画がいいので余計なイントロを入れずにテーマにすぐ入れるのもいい。上司が部下を褒める動画でもいいですが、それだと「評価」になってしまって面白くない。ポイントはふだん言われない「褒め」を正面から浴びて不用意にゆるんでしまう表情や隠しきれない喜びなので。用意された/読まされている/予定調和な言葉にもうあまり価値はありません。採用サイトは予定調和と厚化粧の巣窟みたいな存在なので、学生や求職者に提示するコンテンツとしてそこを打破する機能が求められます。

こんな動画は撮れないだろうか

例えば下記のようなやり方が考えられます。

  • 部屋に椅子を2つ用意する

  • 社員さんに座ってもらう

  • 5分の時間制限で10の質問をする

  • それぞれ交互に答える(ひとり持ち時間15秒)

  • 焦ってもらえるようにタイマーを置く

  • 途中で「相手の良いところを褒めてください」「感謝の言葉を伝えてください」と質問する

  • どうせ最初はうまく答えられないけど放置

  • 次の質問に移る

  • 後半は連続して「相手の良いところを褒めてください」「感謝の言葉を伝えてください」を質問する。怒涛の連続質問

  • 最後の一つか二つは良い回答と表情が撮れるはず

座ってもらう2人組として上司と部下、同僚同士、社長とルーキー、開発と営業など組み合わせは無数です。別にリッチで立派な動画にならなくてもいいんです。不用意に褒められて無防備な表情になった社員さんが最高の素材なので。そもそもこの企画を実行して採用サイトに掲載できた時点で「良さそうな会社」ですよね。他のコンテンツもちょっとその気で見てもらえるかもしれません。

「良さそうな会社かも」と1ミリでも興味を持ってもらうために

どのみち、これからの採用活動において地方中小企業は「勝てるどころかリングにすら上がれないゲーム」を強いられるので、どこかでストロングポイントを作らなければお話になりません。給与でも負ける。待遇でも負ける。労働環境でも負ける。そんな試合でもやらなければなりません。やるからにはどうせ嘘ばっかりなんだろと思われる採用サイトの状況を打ち破り、「良さそうな会社かも」と1ミリでも興味を持ってもらう必要があります。嘘をつくことなく。

地方中小企業の採用サイトを機能させるのならば、「嘘をつかない」「好意をもってもらう」の2点が必要条件になると思っています。すごく難しいですが。その困難さの解決のヒントになるのが佐久間宣行さんが作る作品群なのではなかろうかと妄想しています。妄想なのでまったく根拠はありませんが。でも、佐久間さんが作るコンテンツには人の心を動かす何かと共感をうむ同時代性がある。そこから学ぼうとすることは無駄ではないと思います。少なくとも誰からも信じてもらえない採用サイトをただ作ってしまうより学生や求職者の役に立つかもしれない。最近はそんな風に考えています。

追記

元気が出ないときにNOBROCKTVの『ティモンディ高岸に励まされたら誰でも元気になるのか選手権』を見返しています。大島由香里さんの心に響いているシーンを見るといつもグッとくるんですよね。伝えること&褒めることのパワーを肌で感じます。全ての大人たちにお薦めです。

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