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BtoB企業の基本的なサイト構成とステークホルダーについて。

製品サイトを独立させる9つのメリット

BtoBのWebサイト提案では製品ジャンルごとに独立した製品サイトにできないか…と一度は考えます。採用サイトと同じように企業サイトから独立させると考えると分かりやすいかもしれません。

製品やサービスがひとつのジャンルに収まるなら、まだ企業サイト内でもやりようはありそうです。例えば「めっき」という技術ジャンルのみが対応領域であれば、企業サイトでも対応は可能です。めっきのような技術系BtoBは自動車も建機も飛行機も医療も市場として内包しているので、分ける意味があまりありません。

でも、例えば、製品領域が「自動車部品」「建機部品」「飛行機部品」と別れていて、特に「営業戦略的に自動車部品の案件を増やしたい/Webマーケで成果を出したい」となったら、ぼくは自動車部品製造での独立したWebサイト制作とその後のWebマーケ支援を提案すると思います。

技術系BtoBではなく、製品系BtoBであれば、製品サイトを分けるメリットはある。とぼくは思っています。

製品サイトを独立させるメリットは下記の9点です。

製品サイトを独立させるメリット
・目的とペルソナの明確化
・KPIの明確化
・コンテンツの強化
・集客力の強化
・制作費の集中&圧縮
・領域限定による責任者の明確化
・領域限定による決定速度の強化
・総務広報系から営業系へ管轄移行
・広報ツールから営業ツールへ移行

BtoBの独立系製品サイトについては改めてまとめたいと思ってますが、大まかにそんな風に提案しています。

製品ジャンルが複数あり、その中でもAジャンルの営業強化として、具体的にWeb活用に取り組みたいと思ってられるBtoB企業様からは結構スムーズに共感いただけます。課題にマッチしてるので。

企業サイトはどうするの問題

で、これを進めていくと浮上するのが「企業サイトはどうするの問題」です。製品サイトや採用サイトが独立していき、デザインも新しくなって運用も活性化していくに比例して、企業サイトは取り残された感があります。

旧来は企業サイトに全てが内包されていましたが、その役割は終わりつつあります。でも、ぼくはそれは良いことだと思います。製品ジャンル毎の技術者、就活生&転職希望者のようにステークホルダーが明らかに違うのに、ひとつのサイトに収めようとしていたことに無理があるので。

それは企業側の都合であって、ユーザー側にはほぼ意味がありません。企業のWebサイトの最適化が進んでいると思っています。

それでは、「BtoBにおける企業サイトのステークホルダーは誰か?」と改めて考えるとぼくは下記の4人だと思っています。

BtoBにおける企業サイトのステークホルダー
・顧客(既存客、見込客、休眠客)
・株主
・就職希望者
・地域住民
・社員さんとそのご家族

意外と見落とされがちなのが「地域住民」と「社員さんとそのご家族」です。

ステークホルダーとしての地域住民

特に長野県のような地方都市で会社を経営していく場合、地域住民の方々との友好関係はとても大切だと思っています(その重要性は一言でいえません。笑)
また、企業が所在する地域は採用確保の源泉でもあります。採用サイトを作る際に、ぼくはあまり採用担当者さんによる「求める人物像」を信用していません。
よくある「明るくて、素直で、前向きな人がほしいです」といった求める人物像をお聞きできても使い道がないからです。

なので、顧客オフィスを歩いて20代の社員さんと会う度に、隙あらば「なんでこの会社に入ろうと思ったんですか?」と聞きます。言いづらそうだったら、端っこに連れて行きます。笑

そうすると、長野県BtoBの場合、多くて80%、少なくとも50%の20代社員さんは「家から近かったから…」と申し訳なさそうに教えてくれます。申し訳ないなんて全然思う必要ないのに。大切な決め手です。

仕事には「やりがい」とか「夢」があるべきと大人が言い続ける弊害で、本当の動機を言いづらくしている環境があるかもしれません。採用サイト制作ではここが要注意です。皆がキラキラした目でキラキラした人生を送っている訳がない。ぼくがそうですから。

採用サイトでやるべきことは、本当の「選ばれる理由」をきちんと見つけ、きちんと伝え、それにバリューを感じる人とちゃんと出会うことです。

話が採用サイトにズレましたが、長野県BtoBの場合、「家から通える会社にいきたい」という就活生ニーズは無視できない重要要素です。
それを考えた際にも、企業サイトのステークホルダーとして地域住民は外れません。5年後、10年後に入社してくれるかもしれない源泉であり、その家族がいるのですから。

なので、採用サイトを作る際は「よくわからないプロモーションに予算かけるくらいなら、会社から半径20kmに会社案内の折り込みチラシをやってください。できれば毎月継続してやってください。余力があれば看板広告もやってください」と言っています。
実行してくれた会社はまだなくて悲しいですが…

また話がズレました。採用サイトには思い入れがあるので止まらなくなります。このnoteは企業サイトのステークホルダーについてでした。

ステークホルダーとしての社員さんとそのご家族

企業サイトのステークホルダーで、忘れられがちになるのが「社員さんとそのご家族」です。Webサイトを通じて、自社の方針や覚悟を知る社員さんは結構あります。

Webマーケ支援という仕事柄、顧客経営層とのMTGはよくあります。経営陣は5年、10年後を見据えて、段階的な改善・変革・転換をプランします。当然の話ですが。もちろんWebサイトとその活用も、中長期計画にそったプランをします。これも当然の話です。

ですが、それが全て社員さんに浸透しているとは限りません。というか、ほぼ浸透していません。あるあるですよね。現場の方は日々の仕事がメインだし、今日の、今週の、今月の予定が重要項目です。5年、10年後なんて日常的に入り込む余地はあまりありません。

でも、それは仕方のないことです。だから、会社は日常業務とは別に、知ってもらう機会を色々作っています。全体集会や、全社会議がそれにあたります。

しかし、それで終わりだと伝わりきりません。だからこそ、中長期計画は部門ごとに分解され、日常業務に落とし込まれます。大切なことです。でも、日々の忙しさの前では共通目的が薄れてしまうという「あるある」課題が発生します。

その課題に有効なのがWebサイトでの扱い方です。
社内に掲げた中長期計画はいつでも目に見えるものに、しかも、社外に公開されたものになっているかで、社員さんへの「伝わり方」「認識のされ方」「話題のされ方」は大きく違います。

中長期計画浸透のポイント
・いつでも誰でも見れる
・社外への公表

この2点がポイントです。

製造系BtoBのZ社様の事例

Web活用支援をしている製造系BtoBのZ社様の事例をご紹介します。

Z社様では中期計画の柱のひとつとして、新技術Qを数億円かけてを導入しました。その計画と目的、投資について、社内には数年前から共有されていました。でも、多くの社員さんは「自分にはあまり関係ない」と思っていたようです。

ぼくはZ社様のWebマーケ支援を担当しており、中期計画にそって運用しています。
なので、新技術Qが導入された際には専用のページを作り、コンテンツをいくつも書き、トップページを改変してファーストビューで新技術の動画をドーンと載せました。
リード獲得を目的とした施策としては当たり前です。

しばくして顧客のWeb担当者様から、「新技術QをメインにしたWebサイトに改変して、メールでもお客様に案内し始めたのをみて、『営業の主軸をQにすると会社が本気で思っていることが分かった』という声が社員さんたちから出てきました」と教えて頂きました。
ぼくにとっても予想外だったし、学びでした。

会社の中長期計画をWebにきちんと反映させることで
・いつでも誰でも見れる
・社外への公表
この2点が実行されます。

これが意外にも社員さんに「本気でやるぞ」というメッセージとして伝わる効能があるということを知りました。特に、「社外への公表」が大きな意味を持つようです。納得でした。

これを機に、Z社様では『VISION』の名で社内の座談会コンテンツを年に1回Web掲載するようになりました。中長期計画に関わる人たちが集まり、振り返りと今後の展望を話してもらっています。
このコンテンツ、Z社の社長が重視するようになったのが意外で、毎年夏が過ぎる頃には「稲田さんそろそろ…」と急かさせるようになりました。「Web活用は社員さんに向けても大切なことだ」とぼくも新たな学びだったし、顧客も実感したという事例です。

ステークホルダーとしてのご家族

「BtoBにおける企業サイトのステークホルダー」で社員さんが大切な理由を書きましたが、そのご家族も実はとっても大切だと思っています。

これについても書くと長くなるので、事例をひとつ。
あるBtoB企業様で採用サイトを作ったところ、社員さんたちが「お父さんの会社だよ」とお子さんに見せてくださったという話をポツポツ聞きました。

働き方改革や環境改善など、社員さんへのフォロー体制は企業にとって最重要テーマになっていますが自分の家族やお子さんに見せたくなるWebサイトであることも、地味だけどとっても大切なことなのではないか…と思うようになりました。

会社が提供するWebサイトが社員さんとご家族とのコミュニケーションの場になるなんて、すごく価値のあることじゃないですか。とぼくは思いました。

製品サイトはターゲットが違うので、ご家族が見てもチンプンカンプンですが、企業サイトならそれができます。「社員さんのご家族は企業にとって大切なステークホルダーである」という視点を持ってくれさえすれば。

まとめ:BtoB企業のサイト構成とターゲット

長々と書きましたが、企業サイトの新しい役割についてぼくはそんな風に思っています。
もちろん比較検討段階に入った顧客に見てもらうことも企業サイトの大切な役割も大切だし(製品サイトは情報収集段階の顧客です)、株主用のIRという側面もあります。やれることは沢山ある。

企業サイトは不要なのではなく、新しい役割を明確にして活用していきたいと思っています。

「BtoB企業のサイト構成とターゲット」の基本形は下記のようになると現時点では考えています。皆さんはいかがでしょうか。

BtoB企業のサイト構成とターゲット
・企業IRサイト|4つのステークホルダー
・製品サイト |顧客・見込客・休眠客
・採用サイト |就活生・転職希望者・家族

また変わっていくかもしれませんが。でも、変化に対応できるのがWebの一番の長所だと思っています。

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長野県BtoB企業の皆さまへ

ぼくが所属している株式会社JBNでは「BtoB企業への成果貢献」を目的とした戦略策定・Webサイト制作・Web運用支援・Webマーケティング支援を一気通貫で行なっています。

「営業活動にWebを活かしたい」「属人的営業から組織的営業に移行したい」とご検討のお客様はお気軽にお問い合わせください。

稲田英資について

株式会社JBNで戦略策定とWebマーケティング支援を担当しています。
BtoB企業の成果に貢献するWeb活用について、Twitterで日々ツイートしていますので、よかったらご覧ください。

Web制作/Webマーケティングについて

Web制作とWebマーケティングについてまとめています。よかったらご覧ください。


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