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高二長女と吉本ばなな『TUGUMI』

風呂上がりの高二長女が歯を磨きながら「お父さんさあ。吉本ばななの『TUGUMI』って本、前にもらったじゃん」とモゴモゴ言ってきた。

ぼく「うん」
長女「あれ、読んだんだよ」
ぼく「ふーん」
長女「あの主人公のつぐみがさあ、どんな顔してどんな声なのか全然想像できなかった」
ぼく「うっそ。お父さんも藍と同い年くらいに読んだんだけど、映画化されたときの牧瀬里穂のイメージで超読んでた」
長女「何それ。全然わかんない」
ぼく「まあ、顔も声も想像できないっていうのも読み方の一つなんじゃない」
長女「ふーん。でも、つぐみの彼氏は想像できるんだよね」
ぼく「え。お父さんはそっちが全然想像できない」
長女「ぜったいイケメンだよ」
ぼく「そりゃあ、そうだろうけど(笑)。どんなイケメンなのよ」
長女「えっとねー。ちょっと明るい髪でねえ。犬みたいにかわいいイケメン」
ぼく「全然わからん(笑)。つぐみで国旗が描いてあるタオルを枕カバーにしたって話があったじゃん」
長女「あったあった」
ぼく「お父さん、大人になっても嫌なことがあったらあれを思い出すんだよね」
長女「え、なんで」
ぼく「そんなイメージで書かれてたからかなあ」
長女「ふーん」
ぼく「お父さんは『キッチン』も好きだよ。初めて読んだときはビックリした」
長女「ふーん。本棚にあったよね。読んでみよう」

ぼくが吉本ばななを夢中になって読んでいたのも高校時代。それから二十年たって、高校生の自分の娘と同じ本の感想をお喋りすることがあるなんて。

やっぱり本は、小説は、ちょっと、何というか、特別な何かなんですよね。
不思議なくらい。

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上記の『TUGUMI』はコロナで長い休みに入った長女から「何か面白い本を教えて」の一言で、ブックオフで色々仕入れた一冊だったのですが、ちょうど一年前のことだった。

「何を、いつ読むか」は本人のタイミングで。読むも読まないも個人的体験だから本って面白いですよね。


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