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Webサイトにおける目的とその成果は「こうありたい状況への変化」を語るもの。

顧客企業の課題解決のためにWebサイトを制作する際は目的設定が超重要ですよね。ただ、べき論にならないようにぼくはすごく気をつけています。事業に貢献するための目的設定とべき論は似て非なるものだと思っています。ここの違いは説明が難しくて人によって感じ方が違うと思うのですが。

ぼくの場合、目的は必ず成果とセットで語られるものであり、成果とは状況の変化を指します。もちろん数値的なKPIはあるのですがそれは変化を把握するための指数であって。状況の変化とは「AAの目的を達成したら、営業部の動き方がBBに変わっているはず」「◯◯の目的に近づいたら、ユーザーとの関係性が◯◯に変化しているはず」ということです。

Webサイトはどこまでいっても「場」でありインフラです。その場に立って日々働いている人や、インフラとして往来している人たちの状況をより良くするためのものです。だから、Webサイトにおける目的とその成果は「こうありたい状況への変化」を語るものではなくてはならないと思っています。

これは個人的なテーマですが、ぼくはWebサイトというプロダクト(制作物)ではなく、Webサイトで生まれるシーン(場/状況)に興味があります。Webサイトの真価が発揮する最大の特徴はそこにあると思っているからです。

https://note.com/jbn_director/n/na8cd223275cb

たとえば立派な橋を作ることができたとして。どこに出しても称賛される橋で、業界評価も高いとしても、その橋を使う近隣住民の生活が便利になっていなかったら意味がないですよね。べき論は「橋とはこうあるべき」という議論に陥りやすい。橋を語る際には必要でしょうが、主題は近隣住民の生活です。べき論は主語をすり替えてしまう弊害があります。主語がすり替わると本来手段に過ぎないものがどんどんのさばってきます。

Webサイト制作やプロジェクトの推進において「手段が目的化してしまうリスク」はまるで生活習慣病のように身近な存在です。手段が目的化してしまう弊害を誰もが知っているのに気づけばその罠にはまっている。気をつけていたはずなのに沼から抜けられなくなっている。ものづくりにありがちなリスクです。怖い。一番の解決策は何より近寄らないことですが、そのためには嗅覚が必要です。危険な匂いを感じたらとにかく近寄らない。その場から離れる。リセットする。

ぼくの場合、危険な匂いは「べき論」です。自分が関わる案件でもそんな芽は出ていないか、うっかり自分が発していないかをすごく気をつけています。Web制作もものづくりである以上、べき論の罠はいつだって口を開けています。自分は大丈夫なんてとても思えない。だからこそ、「◯◯とはこうあるべき」という話をしそうになったら慌ててUターンしてダッシュでやり直すことが大切です。べき論が始まってしまったら抜け出すのが超厄介なので。近寄らないこと。すぐ離れること。リセットすること。いつも意識しています。

「どんな橋であるべきか?」ではなく、「これを作ったらどんな状況に変わるのか?それはどのようなステップで変化するのか?変化する状況に参加する人々はどのように増えていくのか?」を語ること。共有すること。大勢でイメージすること。目的設定というとお題を掲げて完了のように思ってしまいますが、ぼくは未来を妄想することだと思っています。こうありたい未来への妄想を多くの人と共有して、そこに向かう参加者を増やしていくこと。

Webサイトにおける目的とその成果は「こうありたい状況への変化」を語るものですよね。ぼくはそう思っています。

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386 Web制作会社の未来。(稲田)2023/6/16

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