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創造性と面倒な作業は2つで1セット

どんな業務でも仕事の大小を問わず「創造性」が求められます。ただポイントはその仕事が完了するには「作業」も必要なんですよね。体感的には1:9の割合です。作業が9です。作業は面倒くさいです。4月から社会人ルーキーになった人の中には「もっと創造的な仕事がしたいんだ!」と戸惑っている方もいるはずです。でも、創造性と作業はセットです。コインの表と裏みたいに。クオリティを上げるために必要なことだったりします。「面倒くさいぞ。世の中の大事なことってたいてい面倒くさいんだよ。面倒くさいっていう自分の気持ちとの戦いなんだよ」と有名な映画監督も言っています。宮崎駿です。あの創造性の塊のような人が言っているんだから説得力がすごいですよね。

「自分はもっと創造的な仕事がしたいんだ!」と思うことは悪いことではありませんが、創造性のみで成立する仕事はほぼ存在しないと知っておくことは大切です。閃きやアイデアはスタートラインでありゴールに到着するまではとにかく足を前に進ませるしかありません。その過程で鍛えた足腰がいずれ役に立つこともあるし。

「創造性と作業はセット」に無自覚だといつまでも存在しない青い鳥を追いかけてしまうのでルーキーは特に気をつけたいところです。もちろん作業を飛躍的に解消するイノベーションは存在します。できればぜひそれらの解決を目指してください。その実現はとても面倒くさいかもしれませんが価値のある作業だと思います。

「どんな業務にも創造性はある/創造性と作業はセット」の事例として、TVプロデューサー佐久間宣行さんの「ドラマの小道具用の弁当をAD時代に作らされた話」は分かりやすいと思います。ADの仕事ってつまんなくて嫌だな…と思っていた佐久間さんがどんな気づきを得たのか。少し長いですが引用します。社会人ルーキーの方にお薦めのエピソードです。

佐久間宣行氏:そうですね。「この仕事が何につながっているのか」をちゃんと共有することがけっこう大きいと僕は思います。それは僕の体験からもそうなんですけど、ドラマのADをしていて「ADの仕事って本当につまんなくて嫌だな」と思ってた時期に、ドラマの小道具で「女子高生のお弁当作ってこい」って言われたことがあって。(略)
深夜ドラマでスタッフがまったくいなくて。本当にふざけんなよと思ってたんですけど。でも作らなきゃしょうがないから、大学時代アルバイトしてた居酒屋の厨房を借りて作り始めたんですけど、それってサッカー部のマネージャーが先輩に告白するためのお弁当だったんですよ。
その時に、よく考えたら自分の作ってるお弁当が、「これ、サッカー部のマネージャーが作る弁当じゃないな」って途中で思って。作ってるものを1回やめて、もっとかわいいお弁当にして。台本にはないんですけど、サッカーボールのおにぎりを作って現場に持っていったら、監督がそれを見て台本を変えてくれたことがあったんですね。
「この弁当いいから、この弁当中心にここのシーン変えようよ」ってことがあった時に、どの仕事も自分の好きな、やりたかった演出につながってるって気づいたんですよ。それから僕はADの仕事への態度が変わったんですけど。
こういう経験をどのスタッフにも話します。あなたがやっているこの仕事は、この部分にテレビで寄与してて、この番組のここの部分の能力を磨くのに近い。結果、君がやりたい、例えばこのお笑いバラエティのここの部分に伸びてくると。

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