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忘れがちなひきだし

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忘れがちなテキストをしまっておく場所です。
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2022年4月の記事一覧

商品はそれを愛している人から買いたい。

マーケティングのTIPSだのノウハウだのは基本どうでもいいと思っている派です。自社の商品やサービスの価値を信じて愛してそれを伝えようとする気持ちと姿勢が本当に大切だと思っているので。だから、今回の吉野家取締役の発言はショックでした。戦略とかマーケティングとか以前の話で。商品はそれを愛している人から買いたい。 その意味において今回の吉野家は致命的だと思います。失言といった領域ではないので。「自社商品と顧客に誇りをもっていない。何なら馬鹿だと思っているし、してやったりと思ってい

大人の教室。ネイティブな好奇心。

行きつけのヘアサロンで髪を切ってもらいながら、「人はいつからオジサン&オバサンになるんでしょうか。いつからダサい格好でも平気になっちゃうんでしょうか」といつもお洒落なオーナーに訊ねたら、「好奇心を失ったときじゃないでしょうか(にっこり)」と優しく教えてもらって胸がズキーンとなりました。好奇心大事。たぶん興味関心とも言い換えられる。 ちなみにその時ぼくは上から下までオールユニクロでした。ユニクロが悪いんじゃなくて、「ユニクロでいいや」というマインドがよくない。 「この服が好き

面白がる視点を持つと楽しく過ごせる。

月に一度集まってただお喋りするゆるい集いがあるのだけど、これがしみじみと居心地がいい。テーマもないのに平気で3~4時間お喋りしている。何で居心地がいいんだろうなあ…と思うに参加メンバーの人柄としかいいようがない。誰かを貶めるような人たちじゃないし、自己顕示欲がそもそも少ない。 面白がるのが上手 共通しているのは、面白がるのが上手なところ。参加者たちの社会的属性(経歴、住所、仕事、家族構成)はほぼ知らないし、月に一度会うかどうかだけの関係性だけど十分楽しい。 樹木希林の「お

「大人なんて信用できないぜ」という気分を捨てきれないまま気づけば大人になってしまった。

世代論は好きじゃないけど、共通体験によるハイコンテクストは世代の土台になるとは思っています。 「HPが残り1でスライムにあった気分」 「精神と時の部屋かよ」 ぼくと同世代にはこれで通じるんだから。ファミコン、漫画はおれたちの文脈だぜ!分からない奴はお呼びじゃないぜ!と心の底で思っていたのです。この40年。言わなかったけど。 それがハッと気づいてみたらゲームは全然やらないし、動画コンテンツはほぼ見ません。TikTokすら見ていない。何ならラジオを聴いている。今の10代20

人を支配するな/支配されるな。

生後8ヶ月の長女が保育園に入るときに「お子さんへの教育方針があったら教えてください」という記入欄があって、そんなことを考えたこともなかったので妻と話し合って「18歳まで生き延びさせること」と決めた。子どもは3人授かったけれど、全員それで通している。 長男の高校入学で保護者が一人ずつ教育方針を発表する謎な時間があって、そこでもそう話した。他の保護者さんは苦戦していたので決めておくと便利だ。 大学入学した長女が一人暮らしとなって家を出て、子ども3人のことをぼんやり考えていると、

信濃町の92歳のおばあさんから聞いた人生ダイジェスト。

Facebookから「10年前にこんな投稿していたよ」と通知。読み返したら、当時の記憶が蘇ってきました。面白い話だったのでnoteにも再録します。ぼくはこんな風にお年寄りの話を聞くのが好きだし、趣味です。単純に面白いんですよね。 信濃町の92歳のおばあさんから聞いた話(2012年4月)今日は打ち合せで信濃町へ。帰り道、トラックが突っ走る道路の中央をまっすぐ行く手押し車のお祖母さんがいたので、車を停めて一緒に脇による。「いつもあそこの石垣に座って一休みするんだ」ということでし

チョップしたOLとチョップされたおじさんの話。

東京の小さな広告代理店で働いていた20代の頃の話。 その日は仕事が遅く、帰宅しようと電車に乗ると満席で社内も混み気味。みんな疲れてウトウトしている。ぼくもつり革に掴まってボンヤリ車窓を眺めていると、急に「わ!」と大きな声。 見ると、ほくの隣でつり革に掴まってウトウトしていたOLさんが前の席で眠っていたおじさんのすだれハゲ頭にキレイにチョップしていた。たぶん、つり革から手が離れてそのままおじさんの頭にチョップしたのだ。 二人とも何が起きたのか咄嗟に分からず、目を見開いたま