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商品はそれを愛している人から買いたい。

「田舎から出てきた右も左も分からない女の子を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯を奢ってもらえるようになれば、(牛丼は)絶対食べない」

https://www.businessinsider.jp/post-253254

マーケティングのTIPSだのノウハウだのは基本どうでもいいと思っている派です。自社の商品やサービスの価値を信じて愛してそれを伝えようとする気持ちと姿勢が本当に大切だと思っているので。だから、今回の吉野家取締役の発言はショックでした。戦略とかマーケティングとか以前の話で。商品はそれを愛している人から買いたい。

その意味において今回の吉野家は致命的だと思います。失言といった領域ではないので。「自社商品と顧客に誇りをもっていない。何なら馬鹿だと思っているし、してやったりと思っている」というマインドを伝えてしまった。低価格帯商品だからこそ、たとえ幻想であったとしても「吉牛だからこそ」のプライドを死守し、顧客と共有しなくてはならないのに。「安いから食べている」ではなく、「好きだから食べている」の文脈を顧客と一体になって醸成しなくてはいけないのに。これまで積み重ねた共同幻想を自らぶち壊してしまった。

共同幻想は貨幣と同じでシステム化できたら強靭だけど、元々が実態のないものだから一度揺らぐと立て直しに膨大なコスト(時間と労力)がかかります。もちろん一人の社員の発言に過ぎないけれど、幻想崩壊なんてそれで充分だったりする。

今回の件で、多くの顧客は「騙されていたんだ」だと思うでしょう。企業としてこれは非常に痛い。でも、そう思われても仕方がない発言だと思います。

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