第4話 ショッピングと帰国
人身売買疑惑もなくなったことだし、私たちはショッピングを楽しむことにした。
マレーシア…もう10年以上前になるが、当時のマレーシアの物価は日本人にとってとても安く感じた。しかも、服も思ったより可愛いものが多い。アクセサリーやリゾートワンピース、サンダルなど、奇抜なものではなく、日本人好みのものが結構ある。ただ、注意してほしいのは縫製の甘さだ。買う前から、縫製が結構甘いのだ。日本の服などは滅多なことではなかなか破けないけれど、マレーシアのものは一回洗濯しただけでボロボロになってしまうこともある。安さに惑わされず、買うときには縫製もチェックするべきである。
…また話がそれてしまった。
当時はそんなこと考えてもいないから、「安ーい!」「かわいーい!!」と色々買ってしまった。リゾート風のワンピースやサンダルは、マレーシアではすごく可愛く思えたのに、帰国してみると、なぜか何かが違う感じなのだ。まあそもそも、リゾートワンピなんか日本の日常生活に使わないし。
彼と彼の友達…そろそろ名前を出そう。彼はペペ。彼の友達はなぜか英語の名前でショーンと言った。
彼と彼の友達は、私たちにプレゼントをたくさんしてくれた。リゾート風のアクセサリーだ。ミャンマー人の特性なのか?え、もういらないけれど…と思うくらいたくさんプレゼントをしてくれるのだ。しかも私にはなぜか特別多めに。戸惑いながらも私たちはありがたくプレゼントを受け取った。
他にもふざけて笑わせてくれたり、色々案内してくれて楽しかった。ペペはイヤホンを片方貸してくれ、自分のお気に入りの音楽を聞かせてくれたりもした。ちょっと甘酸っぱい感じがする。と思うと、その曲をいきなり耳元で大声で歌い出した。私は甘酸っぱい通りこして恥ずかしくなった。え…この人なんでこんな街中で本気で歌っちゃってるの?でも本人は至って真面目に歌うもんだから、歌い終わるまで我慢した。
このとき心から、この人おもろい!と思った。標準語風に綴っているが、私は根っからの関西人だ。おもろい人は大好きである。
途中、ペペの友達ショーンと私の友達夏子がいい感じに喋っているのを見逃さなかった。
楽しいショッピングの時間はあっという間で、彼らはそろそろ仕事の時間、と帰っていった。今日の夜便で私たちは日本に帰国する。
色々案内してくれたお礼にと、ペペにTシャツ、ショーンに香水を買って送ることにした。今思えばなんてちょろい女たちだったのだろうか。でもおもてなしの国から来ているものとしてお礼するのは当たり前である。
最後の晩餐もペペの店に行く。私たちは通いすぎだな…。そこで開店準備をしているペペとショーンを見つけ、プレゼントを渡した。
「あ…ありがとう」
ペペはそうはにかむと、プレゼント包装を解くでもなく奥に持っていってしまった。あれ、その場で開けてくれないのか。変なところに文化の違いを感じる。
そのあと、ペペは私たちに最後の晩餐をご馳走してくれた。4人なのに、こんなに食べられるわけないだろうと思うくらい注文される。ペペはおもてなしが過ぎるのだ。今後、至るところでこのペペの過剰なおもてなしが発揮される。
一応というか念のためというか、ペペと電話番号を交換した。今後使うことがあるのかは知らないが。その横で、ちゃっかり夏子とショーンも交換していた。今はラインやメッセンジャーで気軽にやりとりできるが、当時はそんなのもがなかった。便利な時代になったものだ。
そんな感じで、私たちのマレーシア旅行第一弾は終了した。第一弾…?そう、この話はまだまだ続くのだ。次回は第二弾について。
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