第5話 再び…マレーシア?!

3月某日ー

卒業旅行から早1か月。

私と友人夏子は、再びマレーシアの地に足を踏み入れた。

もわっとする空気が私たちを迎える。

ああ、帰ってきたのだ。マレーシアに…


なぜまたマレーシアに来たのか。

それは1か月前にさかのぼる。

卒業旅行からの帰りの飛行機で、隣に座っている夏子と、マレーシアの思い出に花が咲いたのだ。そして、私も夏子も、ペペとショーンに消化不良にな部分があることに気が付いた。これで終わらせたくない、そんな思いがあったのだ。

そして日本に戻り2人で出した結論は、もう一度マレーシアに行くというものだった。4月になれば2人とも就職してしまい、なかなかいくチャンスがない。行くなら今のうちなのだ。

親はもう一度行くというとびっくりしてあきれていたが、自分のバイト代で行くというと了承してくれた。

というわけで、時を戻そう。

帰国してから、夏子とショーンは頻繁にメッセージのやりとりをしていたようだ。もう一度行くというと、「僕の部屋に泊まったらいいよ!」と言われたが、丁重にお断りした。どんなグイグイさだ、ショーン。

一方私はというと、思い切って一度電話をしてみたが、よくわからずつながらなかった。だから、ショーンが言っていない限りペペは私が来ることを知らない。

空港には、ガイドさんが迎えに来てくれているはずだ。前回の卒業旅行と同じツアー会社で、今回は10日プランだ。前のガイドさんがかなり良かったので、同じ人を期待したが…別の人だった。ちょっとがっかり。

ホテルも前の卒業旅行と全く一緒の…ペペ達の働いているレストランのすぐそばのやつだ。あえてそこを選んだわけではないが、同じプランなので自然とそうなった。

さて、ガイドさんが空港に迎えに来てくれ、ホテルに到着し、一息つくともう時間は午後11時を回っていた。明日、ペペとショーンに会いに行こうと思っていたが、もしかしたら、まだいるかな…?とちょっと期待が出てきて、思い切ってレストランに見に行くことにした。今思えばかなり無謀な行動だ。

ホテルを出てすぐレストランの灯りが見えた。あぁ、まだやっているみたいだ。2人はいるかな?

近づいていくと、目ざとくショーンが私たちを捉え、走ってきた。そして、すごいビッグハグでウェルカムをされた。日本人なのでハグは慣れていない。ちょっと押し返してしまったかもしれない(笑)いちいち欧米か、ショーン。

店は閉店していたようだが、後片付けで何人かいたようだ。みんな私たちをじろじろと観察している。そりゃそうか。いきなり夜中に日本人が来るなんてびっくりするよな。この店はミャンマー人比率が高いようだ。

ペペはその場にいなかった。しかし少しすると物凄いラフな格好で登場したのだ。後で知ったのだが、ペペはレストランの上に住んでいるらしい。そして、私たちを見つけると、戸惑いと笑顔を交互に見せて、どこかへ行ってしまった。

あれ、私が来たのが嬉しくないのか?と、勘違い上から目線の発想をしている間に、閉店している店では私たちの歓迎会の準備が始まっていた。イスとテーブルを円形にして、お酒や食べ物があれよあれよと言う間に置かれていく。

そんな準備が終わったころに、ペペが再び登場した。まさかの、キメッキメの恰好で。どうやら、着替えに行っていたらしい。かなり乙女である。

ともかく歓迎会のスタートである。

ペペ達は私たちを温かく迎えてくれ、歓迎会はかなり盛り上がった。ペペは、しれっと私の横を陣取り、やれ食え、やれ飲めとすすめまくってきた。ミャンマー人はどうやらおもてなしがすごいようだ。

そんな歓迎会も気がつくと3時になっていた。もうそろそろ帰らなければ。ペペ達も、そろそろ帰ったほうがいいと心配している。

また明日会おうと約束をして、夏子はショーンと、私はペペとなぜか握手をした。と思ったら、ペペがいきなり私の手の甲にチュッとしたのだ!

「ちょっとぉ!!」

「えへへっ」

と、どこかで見た青春ドラマのようなワンシーンを繰り広げながら、私たちのマレーシア旅行第2弾が始まった。

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