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カミール⑤夜中2時の大乱闘…と婚約者の涙

さてバリバリに酔っぱらってカミールの家に着いてしまい、タクシーも去ってしまった。

このまま部屋に入るなど、嫌な予感しかしない。私はなんとか力を振り絞って帰ろうとした。しかし頭が痛すぎて座り込んでしまうのだ。


カミールはここぞとばかりにすごい力で私を部屋まで誘導する。舐めていたが、カミールが男だと少し怖くなった。

しかし私はまだどこかまだ大丈夫だと甘い考えがあった。なぜならカミールにはルームメイトがいる。同じ学校で、下のクラスにいるカミールと同じリビア人だ。以前、アラビア料理をカミールがごちそうしてくれたことがあり、その時に家に入ったことがある(もちろん他のクラスメイトもいた)。その時にルームメイトが帰ってきたので、あいさつしたことがあるのだ。いざとなったら、叫んでルームメイトに助けてもらおう…と、すごい力で誘導されながらぼーっとした頭で考えていた。

家に入ると、とりあえずリビングで座り込みぐったりした。ここだと変なことなどできるまい。ってゆうか吐きそう。しかしカミールは焦って

「ここはまずいよ。他の奴らに女の人連れ込んだとばれたら、色々やばいんだ。イスラム教は厳しいんだよ」

と言ってきた。

え、そうなの??と驚く。それならクラブとか行っていいのか…とツッコミたくなったが、なんか私のせいであとで色々大問題にされたらいやだな…てゆうかカミールが本当に親切で家に入れてくれたのであれば申し訳ないし…と、気が小さい私は納得してしまい、カミールの部屋に入ってしまった…。

入った部屋は、なんだか怪しい光を放っている。この部屋には昼間にしか来たことないから、雰囲気が違いすぎてちょっと萎縮してしまう。


とりあえず部屋についているシャワールームへ入り、吐けなかったが吐いたふりをした。吐いた女に変なことはしまいという勝手な想像をして…。


吐いたふりをして、シャワールームを後にした。カミールが心配そうに「大丈夫?」と聞いてきたので、「うん…なんとか」と返す。実際は吐いてないのでスッキリもしてないし大丈夫でもない。

そんな私にカミールは、なんと水を持ってきてくれたのだ。そして、

「ちょっと休んだらきっと良くなるよ。今日はもう遅いし、タクシーつかまらないよ。明日明るくなったら帰ったらいいよ」

と、優しい言葉をかけてくれたのだ。

あれ…本当に心配してくれてるだけかもしれない。私勘違いババアだったのか?なんか下手な抵抗ばっかりして少し恥ずかしい。なんだ、カミールはやっぱりいいやつだったのか…

カミールはさらに、

「今日はそのベッドで寝て。僕はリビングで寝るから。」

と言ってリビングへ去ってくれたのだ。

それで私はすっかり油断した。カミールまじでいいやつ…と頭をガンガンさせながらお言葉に甘えて寝ることにした。今度カミールにお礼をしないと…

お酒が入って、頭の痛かった私は、すぐに夢の世界に行ってしまったのだ。


多分1時間くらい経ったときだろうか。ふと目が覚めたとき、気配を感じた。

なんと、カミールが横で寝ていたのだ!

え、どうして?と混乱していると、カミールも起きた。

「あの、なんで横に…」

と混乱していると、カミールが抱き着いてきた。

「ちょっ!ちょっと…!」

と抵抗するが、カミールは

「大丈夫…大丈夫…何も問題ない」

ともうすでに興奮モードである。

なにが問題ないか!大問題だわ!

やっぱりカミールはそういう目的だったのか…一瞬でも信じた自分がバカである。

興奮モードのカミールは、止まることなく乗りかかってくる。脚をじたばたさせ抵抗したが、19歳男子の力にはかなわない。

そうしていると、なんとキスされてしまったのだ。避けても避けてもキスされてしまう。ちょ待ってや!!(思わず地の関西弁)

婚約者ペペと私の中で取り決めがあった。前どこからが浮気かという議論をしたとき、キスしたら浮気ということで2人の意見が一致したのだ。

私は今自分の意志と関係なく浮気してしまったのだ!

ぺぺ、ごめん!と心の中で謝りながらキスされ続けてしまった…だってものすごくしつこい。無駄な抵抗だが、口は決して開けなかったので舌は入れられていない。

ヤバすぎる。これは助けを呼ぶしかない!私は扉に向かって

「助け!」

と叫んだ。ルームメイトに助けてもらおうと思ったのだ。しかしなぜ「助け」なのかというと「て」を言う前に口をふさがれたのだ。

興奮したカミールに口をふさがれ、もう恐怖の絶頂だ。きれいな目だと思っていたカミールの目が、今は目力が強すぎて怖いと感じる。

「はふけ!はふけ!」

他に方法がないので、口をふさがれたまま叫び続ける。

カミールはさすがに焦ったのか、

「落ち着いて!僕の目を見て!」

「とりあえず僕を見て!」

と何とか落ち着かせようとしてきた。

落ち着いてなんかいられるかあ!!!と睨む。

「僕は君が好きだ。君も僕のことが好きだろ?なら何も問題ないじゃないか!」

ちなみにこのときの好きは「Like」だ。お前、お互いLikeだったらそいつら全員とセックスするんか?!

何を言われてもカミールとはセックスなどできない。てゆうか私には婚約者がいるっつってるのに!!なぜかカミールはその存在を忘れる。

もう強硬突破しかないと入り口に向かう。しかし案の上腕を引っ張られる。ここまでしたから意地でもやりたいらしい。

腕を引っ張られても何度も入り口に向かう。するとカミールが衝撃の行動に出た。

まさかの、自分の勃起したイチモツを見せてきたのだ。

一瞬、固まってしまった。で、でか…

しかしすぐ正気に戻って、腕をつかむ力が弱くなったところで振りほどいてやっと部屋から出ることができた。とんだ変態野郎である!

「待って。これじゃ僕が変態じゃないか」

玄関を開けていると、イチモツをしまって慌ててカミールが追いかけてきた。、なんだ、自覚してるんじゃないか。

「ドア開けて。」

と怒りを抑えきれない声で言う。ドアがなぜか開かなかったのだ。

「僕たち大丈夫だよね。友達だよね?」

とドアを開けながらカミールが聞いてきた。

「I、DON'T、KNOW!!!!!!!!!」(原文ママ)

と渾身のアイドンノウを吐き捨てて、私はカミールの家を後にした。

鼻息荒く帰る私を見るカミールの目は、さっきのギラギラはなくなり、眉下をハの字にさせ、なんだか悲しそうだった。(知るか)

時は夜中の3時だった。タクシーなど通っていない。

仕方なく、私は歩いて自分の家まで帰ったのだ。多分40分くらいかかったと思う。トラブルなく帰れてよかった…

そして家に帰ると、婚約者ぺぺが真っ暗な部屋で「私が不良になった」と泣いていた…。(当時27歳)

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