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夏みかんとワークショップ

「夏みかん」という名前は誰が思いついたのだろうか。よく考えると面白い名前だと思う。そもそも、みかんは冬を代表する果物として私たちの暮らしのなかにある。例えば、みかんと言えばこたつを連想するし、みかんと鏡餅はワンセットだ。そんな冬の柑橘類であるみかんに、意外にも夏を重ねることで成り立っているのが「夏みかん」なのだ。

まあ平たく言うと「夏のみかん」となるわけだが、こうした組み合わせは、夏の焼きいも、夏のお雑煮、夏の雪景色のように大抵は季節外れで風情もない。夏のマフラーなんて想像するだけで暑苦しい。それなのに夏みかんだけは、春から初夏の果物としてすっかり暮らしのなかに馴染んでいる。夏とみかんのあいだには季節のひらきがあるはずなのに、少しもズレを感じさせないところがなんとも面白い。

本家のみかんのように季節を代表する主役級の売れっ子ではない。でも、夏みかんは、果物としてはもちろん、涼し気なデザートやジャムなど、甘酸っぱい味と香りで季節に彩りを添えてくれる。そんな初夏のフルーツならではの存在感が、みかんにはない夏みかんの魅力なのだと思う。

夏みかん的妄想が、ワークショップの役に立つ

私は日頃、ワークショップのファシリテーターをやっている。どうしたらビジネスパーソンやエンジニアなどのノンデザイナーがデザインを学び、上手く活用できるかというテーマに興味があって、デザイン思考を使ったワークショップを企画したりファシリテーターをすることが多い。

ワークショップをやっていると、一人では逆立ちしても思いつかないような発想が出てきたり、対立すると思い込んでいた意見と意見のあいだに思わぬ共通点が見つかったりする。すると、わっと視野が広がり場の空気が変わる。こうした場づくりに正解のようなハウツーがあるわけではない。ましてや付箋を使ってワークさえすれば新しい発見があるというのは、迷信やデマの類だと思った方がよい。ファシリテーターが十人いれば、十通りの工夫をしているものだし、アイデアを誘発させる問いかけの方法もそれぞれ違う。

私の場合は、前半に書いた「夏みかん」のように、興味のある対象について、その対象だけがもっている面白さや魅力を探しながら妄想するのが好きで、ワークショップで発想を切り替えるのに、案外それが役に立っている。

そんなスケッチのような妄想や、デザインのこと、ファシリテーションの話題などについて、ここに書いていきたいと思っています。

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