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予想外の訪問者と過ごす、ドタバタな休日の午後

自宅のカギを忘れてしまうと焦りますよね。

私は息子からのドッキリを味わったことがあります。

マンションのオートロックをくぐり抜け、ポーチでじっと待っている中2の息子。

仕事から帰ってきた私は、息を潜めてうずくまっている息子を発見してびっくりしたのなんの。

私「カギ忘れたの?」
子「うん…」
私「何時から待ってた?」
子「4時ごろから」
私「あらー、忘れちゃダメだよ」
子「……」

そのとき、すでに19時を過ぎていた。3時間も待ってたんだ。

待ち疲れたのか、私に叱られると思っているのか大人しくしてる。

そんな息子の顔を見たら叱れない。そりゃ、忘れたくて忘れる人なんていないよね。

同じような経験をしたことがある子どもはもちろん、大人もいることでしょう。
今回は、”カギを忘れた”ことにまつわる話を書きたいと思います。

少し前の日曜日。
一人暮らしをしている娘が泊まりにきていた。

家族で夜遅くまで話し込んだので、スロースタートだった。

私はすっぴんでアメコミのキャプテン・アメリカのTシャツにスウェットパンツ。
他の家族も「部屋着」と称するTシャツとショートパンツでソファでゴロゴロしていた。

お昼過ぎのこと。

ピンポーン!とインターフォンが鳴った。
見ると、小さな子と思しき顔の目から上が写っていた。応答する前に画面が切れたので、間違ったのかな?と思っていた。

数分後、またインターフォンが鳴った。カメラにはまた小さな子が写ってる。
私は「はいー!」と、いつもより声を高くして応答する。

「カギを忘れちゃって、家族もいないの…」

いまにも泣きそうな声。よく見たら、お隣さんの女の子だった。

「あらー、そうなの?!それじゃ開けるね」

私はロック解除ボタンを押した。

少し経って、エレベーターホールを見ると女の子が号泣して立っていた。

オートロックは解除されたけど、自宅には誰もいないから部屋には入れない。どうしよう……と、涙をこらえきれなかったんじゃないかな。

「あらー!それじゃ、うちに入ってお母さんたち帰ってくるの待ってようね!」

私が言うとうなずき、大きく肩を震わせて泣きながら部屋に入った。

どうやら小学校のミニバスの練習に行っていた様子。大きなリュックにバスケットボール、水筒を持っていた。

「お昼ご飯は食べた?」

「まだ、食べてない。」

うちには小さな子が食べるような食材がなかった。そこで、コンビニでオレンジジュースやサンドウィッチを調達する任務を夫に任せた。

夫は突然言われたので面喰ってたけど、すっ飛ぶように玄関から出て行った。

リビングでくつろいでた娘と息子は、ビックリしていた。それでも、瞬時に状況を把握して、

娘「何年生?」
子「小学3年生」
娘「今日もミニバスの練習だったの?」
子「うん」
娘「えらいなぁ~」

などと会話をして、女の子の気持ちをしずめようとしてくれた。

息子はNetflixでアニメを見せようと、なにが好きかと聞いてみた。でも、男の人を敬遠しているようだった。
察知した息子は「クレヨンしんちゃん」を流してリビングを出て行った。

息子は子どもが好きだけど、子どもからしてみたら23歳の息子は立派な”おじさん”。ちょっとショックだったのかもしれない。

うちもお隣さんもマンションができた当初から住んでいるけど、付き合いがあるわけじゃない。会ったら挨拶や一言二言話すぐらいだ。

ここ数年リモートワークだから、お隣さんと合う機会が極端に減った。そのため、女の子の名前も学年も知らなかった。

しばらくすると、夫はエコバックがパンパンにるほどの食材を買って帰ってきた。
オレンジジュース、リンゴジュース、パウチタイプのリンゴジュース、ドーナツ、ポテチ、プリンなどなど。

全部お菓子だった。でも夫を責められない。一生懸命にお菓子を選ぶ夫の姿が目に浮かんだから。

お昼ご飯がスナック菓子になってしまった……。

リンゴジュースを出すと、ゴクゴク飲んだ。きっと、喉が渇いてたんだろう。お皿にポテチやドーナツを取り分けると、遠慮がちに食べ始めた。

ホッとした。

1時間ほど経つと、リンゴジュースとポテチはほとんどなくなっていた。

「おうちの人帰ってきたかもしれないから、おうち行ってこようか?」

と、私が言うと

「練習がもう始まるから…」

と言う。

夫も私も目が点になった。

「え?これからまた練習なの?
しっかりごはん食べてないけど練習できる?」

「うん」

と言って、そそくさと身支度をして玄関へ向かった。

「気を付けていってらっしゃーい」

夫と私はエレベーターに乗る女の子を見送った。小3の女子に操られてるかのように。

エレベーターが動き出した瞬間、ドッと疲れがでた。

部屋に戻り、ソファに腰掛けるなり夫が

「嵐みたいだったね!」

と言った。娘と息子も大きく頷いた。あの時間はなんだったんだろう……と、しばらく言葉を失ってしまった。

ただ言えるのは、わが家に小さな女の子が突然やってきて、家族4人が翻弄された1時間だったということ。
まるでキツネにつままれた気分だった。

でも、久しぶりに小さい子と触れ合って家族みんなほっこりした気分になった。

ちなみに、相手のお母さんには内緒にしてる。バレて怒られたら可哀想だから。

これは、私たち家族とあの子だけの秘密。

思いがけない訪問者に、
ほっこりヒヤヒヤ忘られない時間を過ごすことができました。

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