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お金は課題を解決しない

田内学氏の『お金のむこうに人がいる』を読んだ。
とても分かりやすい言葉で、難解とされるマクロ経済・通貨の仕組みを解き明かしている本で、とても面白かった。

全体として非常に共感する内容であったが、特に最後の問いかけが素晴らしい。
「僕たちの抱える老後の不安を解消する方法はどれか。」
個人の金融資産を貯めるのか。日本全体で外貨を貯めるのか。子供を育てるのか。

「お金」とは何かを解き明かしていくうちに、行き着く問は「僕たち」とは誰かというものである。
家族なのか。コミュニティなのか。日本なのか。アジアなのか。地球全体なのか。
その課題を解決する人は誰なのか。
その労働のために資源をまわす仕組みはどんなかたちで作られているのか。

政治と経済の根本は資源の配分にある。
そして、お金の問いかけの行き着く先は、結局、誰のためにどう生きたいかという人間の本質的な問いである。
その答えは人それぞれであり、正解はない。
ただ、その問いかけに至らず、目の前のお金や経済の上辺に騙されていると、人に踊らされて人生は終わってしまう。

経済が分かるだけでなく、自分の人生について考えさせられる本だった。

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