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手紙 一人芝居 戯曲

データ↑
あらすじ↓
手紙と美味しい話
本文↓

手紙

舞台の様子
机。椅子。机の上には箱と一通の手紙。三好はメモを見ながら電話している。

明点

「もしもし?たっくん?三好です。仕事中かな?電話に出れるようになったら、折り返しください。あの、机の上に置いてあった手紙、違うから。浮気とかじゃないから。事情を説明させて、ね。帰ってくるの待ってます」

三好は電話を切る
三好は椅子に座り手紙を読む
三好のスマホがなる(♪メールだよ)
三好は返信のメールを打つ
三好は電話をかける

「もしもし。何度もごめんね。メールで説明しようと思ったんだけど、うまく書けなくて。あのね、確かにあれはラブレター。でも、浮気相手とかじゃないし、未練があるとかじゃないんだ。元カレのではあるんだけど。あ、今は連絡は一切、連絡とってないよ。神に誓ってたっくんと付き合ってからは、一切、連絡とってないからさ。だから、ね。電話できるようになったらして欲しいなって。待ってます」

三好は電話を切る
三好は椅子に座り手紙を読む
三好のスマホがなる(♪メールだよ)
三好は返信のメールを打つ
三好は電話をかける

「もしもし。メールじゃ書けなくて。ごめんね、文章が下手で。確かに。結構な枚数かもしれないね。(箱から大量の手紙を出す)。でも、宝物にしていたからさ。本当は一緒に住むってなったら、捨てなきゃだよね。当たり前だよね。ごめんね。あの、それでも、さっき言ったのは本当だから信じて欲しいかな。浮気はしてないし、連絡は取ってないし。あと、一番好きなのはたっくんだよ。それだけだから。電話は難しいかな、家で待ってるから。ごめんね、留守電にこんなに長く話しちゃって。ばいばい」

三好は電話を切る
三好は椅子に座り手紙を読む
三好のスマホがなる(♪メールだよ)

「そうだよね」

三好は奥の部屋に行く
三好はいくつかの箱を持ってくる
三好は箱から手紙をたくさん出す

「捨てなきゃだよね」

三好は独り言を言いながら手紙を読む

??暗転
??明転

三好は手紙を呼んでいる
三好のスマホが鳴る(♪電話だよ)

「もしもし!たっくん?うん。ずっと家にいたよ。片付けしてた。え。どうしたの急に。謝らないでよ。うん。ううん。私も悪かった。捨てるよ。手紙。もう、たっくんと、こんな感じで喧嘩したくないし。うん。大丈夫。え。全然。モテてなんてないよ。物持ちが良かっただけ。全部が全部、付き合った人からの手紙じゃ無いし。小学生の頃は親戚の子達からよく貰ってて。あと、手紙が好きで雑誌とかで文通相手を探して文通してたり。中学生の頃は女子中だったから、女の子から結構もらってて。そうだよ、異性からだけじゃないよ。まあ、隣の敷地の男子中の子からも貰ってたりはしたけど。高校もそんな感じで。大学の時は、ほら、たっくんも知ってると思うけど、バイトで塾講師やってて、教え子から、冗談半分で、ね。元カレのもあるけど、そんなにないよ。うん。でも、全部捨てるから。帰ってくる前に。無理してないよ。たっくんが大切だから。うん。八時くらい?うん、わかった。片付けておくね。はーい」

三好は電話を切る

「捨てるって言っちゃった」

三好はゴミ袋を持ってくる
三好は一通の手紙を捨てようとする

ためらう

三好は手紙の一部を食べる
三好は手紙を捨てる
三好は食べて捨ててを繰り返す

暗転

END

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