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現実は奥深い

4月も2週目を過ぎた。どこから沸いてきたと思うような新潟大学まわりの大学生たちや、転職して一生懸命朝から働いてる友人たちを横目に、休日なんだか平日なんだか分からない日々を送る私。
最近一番困る質問は「今日は仕事?」です。いや、もちろん仕事はしているのだけど、フルリモートでやっている会社の仕事の他は「模索期間」と銘打って、ふらふらと人に会ったり調べものをしたりしているだけである。

それでも、毎日けっこう元気だ。なんだろう、6年分の書類を会社のデスクから片づけた3月後半くらいから、「自由」という二文字が私の真ん中にどしんとあって、さあこの空いた箱にこれからなにを入れよう?というわくわくがあって・・・とにかくなにかから解放された気がした。
別にすごくしんどい仕事だったわけでも、私に合っていないわけでもないと思う。だからこの感覚のふりかえりはまたもう少し先にしよう。

去年の後半からつくっていたZINE「あじさいvol.3」も完成した。今は印刷を待っている、宙ぶらりんな期間。なんだかまだ手放しで「終わったー!!」と喜べる感じでもないけれど、たしかに良いものをつくったはず、という気持ちが今回は特に強いので、きっと大丈夫と言い聞かせる。
あ、予約も受付始めています。好きな本屋たちにも置いてもらいたいな。

4月の頭に母が東京の実家から3日ほど来ていて、借りている古民家の掃除を手伝ってくれた。「あなたは新潟にいるんでしょう」と諦めたように、感情をこめずに言う母。私ももう、そこに後ろめたさや落ち込みを伴わずに返事ができている。思ったより東京は近く、この働き方であればたまに行き来できる。来月は1週間ほど東京に帰って、気になっていた出版もやっている本屋さんでインターンをさせてもらうことにした。そんなふうに気になっていることへの一歩も踏み出しやすくなった。

正社員としての仕事からの解放と、1人暮らしが板についてきた時期は同じころだろうか。全く寂しくない、とは言わないけれど、たしかに自分の時間と空間を楽しむ日々が積み重なっている。それがもしかしたら「自他の境界線」を引けてきたことにつながっているのだろうか。「私には私のやることやペースがある」と思えてきたのだろうか。だとしたら、やっぱりもっと早く一度1人暮らしをしておくべきだったなと思う。少し遅かったけれど、必要なステップを踏んだ気がした。

昨年秋から5キロやせた体は軽く、自分至上一番あごの肉がない。笑
好きな服が着れて、鏡に映る自分が少しシュッとしていることは、今までずっと体系に自信が全くなかった私にとって、「私はだいじょうぶだ」という気持ちに拍車をかけているのかもしれない。
実際にはまだ何も進んでいないし、何も大丈夫ではない。この先どこでどうやって、どんな仕事をつくって生きていけるのか皆目わからない。でも、一度精神が落ち切ってまた昇ってきたことで、こんな人生も悪くないなと思えている。

なんというか、ハラハラするものごとが起きるからこそ面白い映画のように、人生を見れている。別にそれを知らなくて済んだならそれでいいんだけど、知ったなら知ったで味わい深いというか。
夜学舎の太田さんという編集者さんがブログに書いていた「現実は理想よりずっと奥が深い」という言葉が残っている。いやー、ほんとにそうだ。
現実は、想像していたものよりずっと複雑で、複層的で。
今年、30歳になるけれど、年をとっていくことへの目線がだいぶ変わった。知りたい、体感したい「奥深い現実」がまだまだたくさんある。
それだけで、好奇心の星のもとに生まれた私はとても楽しみなのだ。

「1人の時間をとって境界線を引く」ことと同時に、矛盾しているようだけど、まぎれもなく周りの人との関係が私の今のこの元気を支えている。
こんな人たちと出会い、つながってきたことに関しては、過去の私を本当に褒めたたえたい。みんな、性別や年齢などの記号で人を判断しないし、とっても大人だ。もちろんそれぞれ意見は違ったり心の中は違ったりするかもしれないけれど、今この同じ場を共有する相手として素晴らしい人たちばかり。だからこそ、私は少し背伸びをして新しい挑戦もしてみることができる。

自分の足でまず立って、その上で他人と手をつなぐ。
「自分の足で立つ」のやり方は、たぶん本当にいろいろあって、人生とはそのやり方と塩梅を自分で見つけて行く作業なのだと思う。
言葉で先に「自立しましょう」「仕事はこうあるべき」と聞いていても、その「塩梅(あんばい)」や「度合い」までは言葉じゃわからないし、自分のそれは自分で見つけていくしかないんだなあと思う。

もしこの前向きさが、いつもより晴れが多いこの春のせいなのだとしたらまた冬が怖いなあ、と思いながら、でも体が季節に正常に反応しているのならそれはそれで良いことだ。料理へのやる気は相変わらず上がらないけれど、まわりを頼って今年もタケノコを食べた。春の気が体にみなぎった。

月曜日の昼からのんびりした日。出産間近の友達と、同じくフルリモートの友達。




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