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フォーだけど、フォーじゃない。ザライ省の名物麺店 「Pho Kho Gia Lai HONG」

初訪 2022.08  更新 2022.09.27

南北に長いベトナムは、各地方にそれぞれの見どころがあります。特に外国人に人気なのは、南北の都市とダナンやフーコックなどのビーチリゾート。

ということであまり注目を浴びにくいのが、カンボジアやラオスと国境を接する内陸部。ですが、多くの少数民族が暮らし、独自の伝統文化を育む内陸部は、海辺の街とはまた一味違った趣きと魅力があります。

赤い部分がザライ省 ©wikipedia

今回スポットを当てるのは、そんな内陸部の中部高原地帯(タイグエン)にあたる「ザライ(Gia Lai)省」の名物料理。

 "フォーコーザライ(Pho Kho Gia Lai)" です。

味噌ダレを絡めて食べる汁なし麺


せっかく味わうなら肌寒い高原の空気を感じながら現地で!といきたいとことですが、実際に行くのは正直なかなか大変。ということで今回は、ここホーチミン市内で味わえるザライ省生まれの有名店をご紹介します。



アクセス

お店の場所は、市中心部の市民劇場(Nha Hat Thanh Pho)から車で約15分、タンディン市場(Cho Tan Dinh)からは車で5分ほどの「ファンシックロン(Phan Xich Long)通り」。

お店があるのは、この通りの中でも静かなエリア

この通りは周辺に、ローカルチェーンのカフェから、バインクオンやブンチャー、おこわなどの小さな食堂まで。数多くの飲食店がひしめきあう "グルメな通り" 。たとえば徒歩5分の場所にハノイ発のカフェチェーン「コンカフェ(MAP)」などもあり、食後にそのままカフェ休憩へとなだれ込むのもありです。

ホーチミン市のサンフランシスコ?
この通りには別名があり、ベトナム人の若者の一部からは「サンフランシスコ」と呼ばれているそう。その理由はというと、言葉がどことなく似ているから。ファンシックロン…フランシックロン…ンフランシ…少々遠いです笑
実際の通りにはサンフランシスコ感は全くないですが、集合する場所や住んでるエリアがオシャレに聞こえるって、大事です。
(この話が好きで、通りの名前が出る度に書いてしまいました笑)

お店に話を戻して、、

黄色い看板が目印

こちらが今回のお店
「Pho Kho Gia Lai HONG(フォーコー ザライ ホン)」です。

「ザライ風 汁なしフォー」の生みの親で、ザライ省で初めてこの料理を売り始めたグエンタンミー(Nguyen Thanh My)さんという方がいるのですが、そのミーさんの娘が後を継ぎ、店名を「HONG(ホン)」に変更。
このお店は、そのホーチミン支店になります。

いまでもザライ省にある "本店" は、名物麺を取り上げる記事に必ずといっていいほど名前が上がる有名店。ということで、ホーチミン支店でも現地と変わらぬ、元祖ともいえる店の味が楽しめます。

ローカル店ですが清潔感あり

お店は、扉のないオープンな造り。
10区からこちらに移転してまだあまり経っていないので、ローカル店の中では比較的きれいです。


フォーコーザライとは

今回の料理「Pho Kho Gia Lai」は、日本語に訳すと「ザライ風 汁なしフォー」…と、なるのですが、麺は皆さまご存知のあの柔らかなフォーではありません。

料理名はそれぞれ
Pho(フォー) = 米麺のフォー
Kho (コー)= ドライ、汁なし
の意味で、やっぱり訳すと「汁なしフォー」なのですが、
見た目は、フォーよりも明らかに細麺で、強いコシがあります。

見た目はフォーというよりフーティウ

料理名はフォーなのに、フォーじゃないってどういうこと?
と気になり、お店の方に聞いてみました。
すると返事は「この麺はフーティウだよ。料理名はフォーだけど、麺はフーティウと同じ。」とのこと。…ということで、フーティウでした笑

なぜ「フーティウなのにフォーと呼ぶのか」も気になるところですが、自分の言語力が限界を迎えたため不明。。いつかは聞いてみたいと思います。

フーティウと、それに勝るコシ?
フォー(Pho)とフーティウ(Hu Tieu)は、どちらも同じ米麺で、米を水に浸してすり潰し、薄く伸ばすまでの工程は同じ。ですが、フーティウはその後天日干しすることで、麺にコシを出しているのが特徴です。

今回のザライ省の汁なしフォーも、食べた印象は完全にフーティウ。ただザライ省の記事では”フーティウ”とは書かれていないので、厳密には違う場合や、お店ではただ入手しやすいからフーティウを使っているだけの可能性もありますが、天日干しの工程で歯応えを出している点はどちらも同じ。
人によっては "フーティウよりも細麺"、”フーティウよりもコシが強い”という意見もあります。


注文してみました

とりあえず2品、頼んでみました。

「Pho Kho Ga Tai」55000vnd(約330円)

こちらは、よく注文されている「汁なしフォー(鶏+牛半生肉)」の組み合わせ。裂いた茹で鶏は麺の上に、牛の半生肉はスープの中に入っています。
※半生肉といっても、このお店は火が通った状態に近いです
※唐辛子の量は食べる前に調節が◎です

コシのある細麺とニンニクや揚げエシャロットの香ばしい香り、後味さっぱりのモヤシで「やさしい一杯」な仕上がり。朝ごはんにもよさそうです。
途中で甘みのある牛骨スープを飲みながら、最後まで楽しめそう。

「Pho Kho Vien」55000vnd(約330円)

こちらは、「汁なしフォー(牛肉団子)」。

ザライ風汁なしフォーは、特大スープが付いてくるのも特徴の一つで、テーブルにどんぶり2杯が並ぶことから、別名「2杯のフォー(Pho hai to)」とも呼ばれているそう。牛肉団子はスープの方に入っています。

食べ方

実はこの料理、出てきた状態ではまだ未完成です。
味がほとんど付いていないので、必須なのが卓上調味料。

このほかに唐辛子やライムもお好みで

写真左から、
ベトナム醤油(Nuoc Tuong)
甘味噌(Tuong Den)
チリソース(Tuong Ot)
ヌックマム(Nuoc Mam)
の内容。

中でもこの料理に欠かせないのが、左から2番目の甘味噌。
「トゥーンデン(Tuong Den)」です。

味噌を絡めて完成

この料理の "魂" とも表現されるこの甘味噌。
フォーなどに使われる黒い甘味噌よりも、日本の味噌に通じるような発酵系の豊かな風味が特徴的で、高地で育った大豆を使い作られているそう。

この店でも、ザライ省で作られた自家製の甘味噌をホーチミン市のお店まで運んでいるそうです。

この甘味噌をまず回しかけ、あとはチリソースやベトナム醤油で好みの味に調節するのが、現地の人の食べ方。コシのある細麺に味噌ダレが絡み、ニンニクの香りも食欲をそそります。

さらに、卓上のレタスやハーブ(オリエンタルバジルとノコギリコリアンダー)を追加して、香りの変化を楽しむのもあり。麺に入れても、スープに入れてもOKです。


注意点

そして、食べるときにもう一つ注意点が。
そのまま食べようと箸を入れると、麺がかたまりで持ち上がってしまうほどのくっつき具合で困惑するのが、この料理のお決まりのシーン。

解決策はネットに書いてありました。
まずは、スプーンでスープをかけて、

さらに味噌も絡めて、ほぐしながらいただきます。


汁ありも可能

「Pho Tai Nuoc」55000vnd(約330円)

メニューにはありませんが、汁ありを頼むことも可能。
ということで「牛半生肉のせフォー(汁あり)」を頼んでみました。
※「Nuoc(ヌォック)」= 汁あり の意味。

一般的なフーティウとも違う、牛骨スープとコシのある麺、そして味噌ダレの組み合わせは面白くもありますが、個人的にオススメなのはやっぱり看板メニューの汁なし。味噌の風味も汁なしの方がより楽しめます。

メニュー

最後にメニューの内容を。

メニューは、ベトナム語表記のみですが、
Google Map にある写真や、この記事の写真から、食べたいものを指差ししても注文も可能です。

ベトナム語のメニュー名は一見難しそうに見えますが、食材の単語を組み合わせただけなので、よく見ると案外解読可能。

「汁なしフォー」を意味する「Pho Kho(フォーコー)」の後に、下の好きな具材をくっ付けてオーダーするだけで注文できます。

Tai(タイ/牛半生肉)
Vien(ヴィエン/牛肉団子)
Gau(ガウ/牛肩バラ肉)
Xuong(スオン/牛骨)
Ga(ガー/鶏肉)

Dac Biet(ダックビエッ/スペシャル)

たとえば、鶏肉(Ga)と半生肉(Tai)を注文したいときは、
「Pho Kho Tai Ga(フォーコー タイガー)」となります。



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ベトナム全国の味が気軽に楽しめるのも、大都市であるホーチミン市ならではの魅力。今回は、日本語ではおそらくほぼ紹介されていないマニアックな料理でしたが、ユニークなご当地料理に挑戦すれば、ベトナム料理の奥深さにさらに触れられるかもしれません。



Pho Kho Gia Lai/フォーコー ザライ
  92 Phan Xich Long, Q.Binh Thanh, HCMC
  7:00〜14:00、17:00〜22:00
  098・1798・183 
  なし
FB 

[参考]
Tinh Gia Lai
Tap Chi Du Lich


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