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【バンメトート】独創的な建築が目を引く「世界コーヒー博物館」

初訪 2022.05.01  更新 2022.09.28


ベトナム中部高原に位置する都市「バンメトート(Buon Ma Thuot)」。
コーヒーやカカオの特産地として知られるこの街へ行くときに、まず目的地の候補として上がるのは、ここかもしれません。

外観もユニーク

ベトナムの大手コーヒーチェーン「チュングエン(Trung Nguyen)」グループが手がける「世界コーヒー博物館(The World Coffee Museum/Bao Tang The Gioi Ca Phe)」

ベトナムで初めての、コーヒーをテーマにした博物館として、2018年にオープンした比較的新しい博物館です。



世界2位のコーヒー生産量を誇るベトナムの中で、ここダクラック省(省都バンメトート)は、国内生産量のおよそ4割を担う一大生産地。

チュングエンが1996年に創業した地でもあり、同グループはバンメトート市内でほかに、庭園カフェ「Trung Nguyen Coffee Village」やホテル「Trung Nguyen Coffee Resort」などいくつかの施設を手がけています。

その中でも新しいこの博物館は、一際目を引く個性的なデザインが印象的。これはバンメトートに暮らす少数民族「エデ(Ê đê)族」の長屋や、中部高原の共同住宅からインスピレーションを得て設計されたものだそう。5つの屋根が湾曲しながら連なる、ユニークな構造になっています。


チケット購入

まずはチケットを購入して、早速入ってみたいと思います。

チケット売り場

博物館の入館料は、大人1人15万vnd(約910円)、6〜12歳は4万vnd(約240円)、6歳未満は無料。

(クリックで拡大表示できます)

ベトナム語表記なので少し分かりにくいですが、チケット表を見てみると数種類のチケットがある模様。
どうやら博物館の鑑賞チケットのほかに、いくつかの体験をプラスするチケットもあるようです。

たとえば近くの日本庭園「ZEN GARDEN」でくつろげるドリンク付きのチケット「THIEN(ティエン)※水土日のみ」は、大人39万9000vnd(約2420円)。ショーを見るチケットは120万vnd(約7280円)と、さまざまなチケットがあるのですが、値段は全体的に高級な印象です。。


ということで今回は大人しく、博物館だけにしておきます。

大人2人で入館料30万vnd


館内へ

それではいよいよ館内へ。

なだらかな曲線がかわいいです

館内への入り口は、エントランスから右奥方向へ道を進むと見えてきます。ここでチケットを提示して、中へ。

この下には巨大な焙煎機などが展示されていました

入ってみると、天井が高く開放感のある空間が広がります。
天井部分からは自然光が差し込むエコな造り。
空間を遮る壁などもなく、展示品もゆったりと配置されています。

館内で展示されているのは主に、ドイツの博物館を買収して譲り受けたコーヒーに関わる資料1万点超。
そのほか、イタリアやトルコ、日本など世界各国から収集されたものや、中部高原に古くから伝わるコーヒー関連の道具なども展示されています。

中部高原の少数民族文化に根付いている銅鑼(Chieng)

こちらは、コーヒーに関わるものではありませんが、ここ中部高原地帯に暮らす少数民族にとっては切っても切り離せない存在の、銅鑼(ドラ)。すべての霊魂や神につながる神聖な音を出すとされ、生まれてから死ぬまであらゆる儀式で銅鑼が使われます。

銅鑼の重要性を表すこんなエピソードも。
ある記事では「もし豪邸と車があっても、銅鑼がなければエデ族にとってそれは金持ちではなく、ムノン族にとって銅鑼は昔、水牛7・8頭の価値があった」という記載もあり、少数民族にとってのその価値が伝わってきます。

Bao Anh Viet Nam

と、つい銅鑼の話になってしまいましたが…
民族に関する展示でいえば、少数民族の衣装に関する展示もありました。

手前は華やかな「モン族 (Hmong)」の衣装


コーヒーに関する展示も、興味深いものがあります。

展示品を吊るしているのはベトナムの鳥カゴ。
発想が面白いです

ただ一つ難点なのは、基本的に展示品には説明が添えられていないこと。一部にあるQRコードを読み取って説明ページに飛ぶ設計なので、少々内容を理解しづらいのが難点です。



ただし、建築としては見応えあり。
現地の伝統文化に着想を得つつ、モダンに解釈した印象的な建物は、建築好きな方も十分楽しめそうです。

格好良くも温かみのある空間
太陽光と緑の景色を取り入れた非常口


ちなみに、この建築の設計に関わったのは「a21studio」という建築集団。
ホーチミン市のデザインホテル「ザ・ミスト・ドンコイ(The Myst Dong Khoi)」やレストラン「スパイス・ビストロ(Spice Bistro)タオディエン店」など、個性的で素敵な建築物を手掛けています。

人気の撮影ポイント

地下フロアにはフォトスポットがいくつか用意されていて、写真好きなベトナム人で大盛況。一番奥にはこんな階段もありました。(ちなみに階段を上った先には…いまのところまだ何もありませんでした笑)


特典のコーヒーシャーベット

入場者には無料特典があるということで、地下フロアの専用カウンターへ。
チケットを提示すると、コーヒーシャーベットがもらえます。


そして、カウンターの近くにはこぢんまりとしたショップも。チュングエンのオリジナルグッズやコーヒーが購入できます。



さて、ひと通り館内を巡ったら地上に戻って、カフェで限定のドリンクを楽しむのもありです。

地上階のカフェカウンター


写真が少々見辛いですが、クリックで拡大できます

コーヒーメニューはこんな感じ。
メニュー名が「エナジーなんとか…」なので内容が分かりにくいですが笑 通常、チュングエンで売っているコーヒーの「Sang Tao 00(番号)」は数字が大きくなるほどアラビカ種の割合が増え、すっきりとした印象。価格も数字とともに上がります。

とりあえず真ん中の、5番(Sang Tao5)の練乳・氷入りにしてみました。

「Sang Tao5(Sua Da)」5万8000vnd(約350円) 

氷を溶かしながら飲む、濃厚なベトナムコーヒー。
おいしかったです。


バーチャルツアーも

博物館に行くのが待ちきれない人は、バーチャルツアーで館内の展示内容を一部見ることもできます。説明はベトナム語なのでGoogle翻訳が必須ですが、普段は触れることのできない展示品を、360°回転させられるのはバーチャルならでは。

イメージ画像 @Trung Nguyen

興味のある方はぜひ、覗いてみては → バーチャルツアー


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最後に余談ですが、
日本でもここ数年地方に注目が集まったように、ベトナムも近年避暑地としてここダクラック省の土地や物件を買う人が増加したそう。
この博物館周辺も、チュングエンが手掛ける新興住宅地 ”コーヒーシティー”の開発が進行中で、多くのショップハウスが建ち並ぶ予定です。

高級ブランドから小さなショップまでが並ぶ予定のカンタータエリア
コーヒーのロブスタ種にちなんだ「ロブスタ通り」も

すでに完成した建物も多くあり、コーヒーにちなんだ通り名の看板もありました。
少しづつ地方都市の風景も変わっていきそうですね。



The World Coffee Museum/世界コーヒー博物館
※ベトナム語(Bao Tang The Gioi Ca Phe /バオタン テゾーイ カフェ)

 Nguyen Dinh Chieu, Tan Loi, Buon Ma Thuot, Dak Lak
 8:00〜17:00
 0899・355・368
 大人15万vnd(約900円)、6〜12才4万vnd(約240円)、6歳未満無料
 なし(祝日は休みの場合有)
HP

[参考]
Thanh Nien
Trung Nguyen


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