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インクきっかけで考えるのは羚羊のこと

文具好きの子育て日記です。


近所の博物館へ

先日、子どもたちと近所の博物館に行ってみました。地域の里山に住まう動物のはくせい(剥製)がいるぞ!という事前情報もありつつ、ほぼ思いつきの暇つぶしで。

郷土博物館というか地域資料の保存館というか、小学校で行ったことがあるような面白くなさそうなアレです。
子どもたちも日本語が通じる年齢になってきたし、こういうのはためになるよ〜ありがたいよ〜という雰囲気を醸し出すことはせずに、近所の公園に行くようにさりげなく行くのがよかろう……という配慮のもと、本当に思いつきで行ってみました。

けれどこれが意外にも面白かったのです。生まれが違う地域のことだから新鮮なのか、はたまた大人になったからか……。地域のお祭りのこととか昔の暮らしの道具のこととか、暮らしの息遣いのような部分がしっかり展示されていて結構見入ってしまうのです。子どもたちも意外としっかりと見ていました。結構予想外の展開に少々驚き。

そしてはくせい。地域の里山に住まう動物のはくせいがずらりと並んでいます。

そこで私はカモシカに釘付けになるのでした……。
カモシカってヤギなのかシカなのか、いまいち捉えどころがない気がしていたのだけど、正確には牛科ヤギ亜科カモシカ属。そう聞くと途端にツノから耳にかけては牛っぽいな……なんて思ってしまいます。ヤギだけどヤギとは違うこの佇まい。そんなイマイチ捉えどころがないところがまた素敵ではないか!と思ってみたり。目の下の黒い穴から甘酸っぱい液体を出してマーキングをするそうな。なにも目の下でなくてもよかっただろうに不思議……と思ってみたり。

推しのインク、羚羊のこと

羚羊というインクが好きです。
羚羊と書いてカモシカと読みます。セーラーが出している四季織シリーズのひとつ。そういえばインクの試し書き写真を掲載している(内容はほぼない)、前に書いた記事がありました。

メーカーによる「羚羊」の商品説明はこんな感じ。

寡黙な森の哲学者。
気品に満ちた冬毛をまとい、
雪上に凛とたたずむ。

セーラーSHIKIORI-四季織-のページ「羚羊」

インクやら万年筆界隈の文言っていちいち洒落ていて、おそらく沼化する原因のひとつもこの辺にある気がします。

カモシカが冬の哲学者であるかどうかはさておき、クールだけど温かみのあるこの色合いが気に入っているのは確か。文字にもイラストにも非常に使いやすい色味。かなりの使用頻度なのでガラスペンではなくて羚羊専用の万年筆が欲しいな……なんて思い始めてしまいます。この辺の妄想もいちいち楽しいのがインク界隈の醍醐味でしょうか。

さて、茶色系インクを探し求めた結果がこの羚羊インクなのだけど、それまでカモシカという動物に特段着目したことはありませんでした。
でも、インク熱のせいかカモシカまで気になってしまうのです。だって冬の哲学者ですよ?どんなこと考えているんでしょうね。

長野県といえば!の動物はカモシカです

そういえば長野県にまつわるデザインでは、よく雷鳥とカモシカが使われてるよな……。そういえば私もハイキングの時にカモシカに出会ったことがあるし。な〜んて思って軽くネット検索すると、「長野県のシンボルの動物はカモシカ」と出てきました。言われてみればしっくりくるけれど、県民歴10年ほど、迂闊にも意識したことがありませんでした……。

羚羊でカモシカを……。

別にだから何と言われればそれまでなのですが、意外なところで共通点を見つけて愛着を持ったり、興味が深まっていく……なんてことはよくある話です。インクをただの名前として「カモシカ」と発音していただけなのに、一気に、ああ「羚羊、カモシカね、かもしかだよね!!!!」って羚羊全般のことが一気に自分の中に迫ってくる感じがなんとも楽しいのです。そして羚羊がより一層好きになってしまうのでした。


羚羊のインクでカモシカを描いてみる。目がちょっと滲みました。

点と点は意外なところで線になる

体験とも呼べないなにものか。何事もどこで興味を持つか、持てるかなんてわからないし、そのときは素通りしてしまうことのほうが多いのかもしれない。けれど、時間が経ってふと思い出す瞬間が訪れるかもしれない。好奇心の入り口のようなポイントを沢山拾うことができれば、いつかそれが線になるのかもしれない。その線は他の人には理解できないものかもしれないし、共感を呼ぶこともあるのかもしれない。次の道が開ける場合もあるかもしれない。無駄になることは決してないはず。

子育てしていて思うのは、子どもたちにはこういうとるに足らない楽しさのようなものをできるだけたくさん掴めるようになってほしいなぁということ。与えるのとはちょっと違っていて、本当にちょっとしたきっかけのようなものをできるだけ多くばら撒きながら暮らしていくというイメージ。1つひとつに意味があるものばかりではないけれど、とりあえず拾ってみる、拾いに行ってみることをまずは身体で覚えてほしいもの。そのうちに、点と点を繋げるようになればなお良し!ということで。

近所の小さな郷土博物館を訪れて考えたのはそんなことでした。羚羊のインクもおすすめです。カモシカを描いてみるのもまたおすすめです。


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