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2021出雲駅伝の写真、見ないよね?なんで?来年はいっぱい見たいよね! ~地元目線で見守った出雲駅伝~

①元々撮られている写真の絶対数が少ない。
②主催者が用意した写真を使った記事や投稿がなかった。

この2つの要因が重なり合って、2021の出雲の写真が出回らなかったようですね。

また、新聞、WEB、雑誌で見かけたのは、スタートとフィニッシュだけ。
2~5区の選手の写真をweb上で探してみるとほとんど見かけない。なぜ、こんな事態になったのか、報道や公表資料を精査してみます。
そして来年以降は、全出場選手の写真を見ることができるよう、改善案を提案します。

1.元々撮られている写真の絶対数が少ない


沿道応援自粛と要請が出ていましたが、「撮影してた人沢山いたよ」と交通整理員をした家族や知人たちが目撃しています。

撮った人たちはSNSへの投稿を控えているみたいですね。
そして、報道陣に対しては、厳しい規制がありました。

大会取材要項に次の記述があります。

中継所及びコース沿線
今大会は、新型コロナウイルス感染症対策として、各中継所での取材及び撮影はお断りします。   スタート地点(出雲大社正面鳥居前)またはフィニッシュ地点(出雲ドーム)で行ってください。

だから、陸マガも月陸も、出雲駅伝の特集ページには「お断り」文あり。

「今大会は、新型コロナウイルス感染対策を目的とした主催者の申し入れにより、中継所および沿道での撮影取材は認められませんでした。ご了承ください。」(陸マガ)

「沿道、中継所での撮影が認められていないため、フィニッシュの写真を中心にお届けする。」(月陸)


2.主催者が用意した写真が使われなかった


マスコミやスポンサー企業、大学広報に対しては、「代表撮影」写真が提供されます。
代表撮影写真を使った社は2社確認しただけ。ごくごく少数でした。
これは、代表撮影について、取材要項に一切記載が無かったからと推察しています。

各大学の公式SNSは、選手の付き添いメンバーが撮影した写真を使っていました。スマホ撮影のものが多かったですね。

また代表撮影写真が、メディアや大学広報に使いづらい仕上がりだったことも要因かもしれません。(後述します)

4yearsさん、代表撮影を使っています。



3.主催者に足りなかった「認識」

大学の経営面で考えてみると「大学三大駅伝」出場は、大学名を広くしらしめてくれるので、三大駅伝で活躍する選手の写真はとても重要なアイテムになります。

選手、家族目線でいえば、「晴れ姿」「就活アピールアイテム」になったり、ファンは自分の視界において応援するアイテム、、、写真ってとても大事ですね。

他の駅伝における代表撮影
昨年の全日本(52回)、今年の箱根(97回)も取材に制限が入っていましたが、制限部分では代表撮影が行われ、メディアや大学側の要請に応じて提供されています。
撮影者はスポーツ新聞などの職業カメラマンです。ここから発信された写真は、届けられた人の下で大事に思われていますよね?

そして、1選手につき、襷をもらう、(走行)、襷を渡す、、、2~3シーンの写真があるはずです。

出雲(33回大会)の代表撮影
大会スポンサーである富士通JAPANのTwitterアカウント「出雲駅伝コンシェルジュ」を見る限り、主催者が提供した写真は次の6カ所です。(2021.11.2現在)

代表撮影ポイント
 ①スタート(出雲大社)
 ②第1中継所(1区→2区)
 ③2区一畑電車跨線橋下り坂
 ④3区西代橋北詰
 ⑤第5中継所(5区→6区)
 ⑥フィニッシュ(出雲ドーム)

これを表にしてみます。黄色い部分が撮影ポイント、白い部分が撮影無し。

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2か所写真があるのが、1区、2区、6区の選手
1か所写真があるのが、3区、5区の選手
4区の選手は1枚もありません!!!!!!!!


写真のクオリティ、撮ったのは誰?
主催者提供写真のクオリティは、商業ベースに乗せるレベルではありません。
ピントが甘い、手ブレ&動体ブレなど補正を掛けても救えないものが多い。(厳しい見方で申し訳ありません。)

あくまで憶測ですが、主催者は自治体広報誌で使用する「イベント紹介写真」をベースにしたカメラマン配置だったと思われます。

これに対し、取材申請したマスコミや大学広報が求めるのは「スポーツ写真」です。スポーツ写真のクオリティに達していなければ、記事や広報誌に使うことは難しいです。


「沿道での撮影を禁止する代わりに代表撮影します」と言い切るのなら、各媒体が使えるクオリティが必要です。結果として対応しきれませんでした。

「一定レベルのカメラマンを全区間に配置する必要がある」ことに、主催者が気づいていないのです。

代表撮影に求められる最低ライン
 ①全区間を撮影
 ②A4サイズ印刷に耐えうる画質、構図


4.取材要項の落とし穴


もう一点、主催者が気づかなかったことがあります。再度要項を確認してみましょう。

中継所及びコース沿線
今大会は、新型コロナウイルス感染症対策として、各中継所での取材及び撮影はお断りします。   スタート地点(出雲大社正面鳥居前)またはフィニッシュ地点(出雲ドーム)で行ってください。

この記述の解釈が二通りあって、マスコミの対応が分かれました。

①スタートとフィニッシュしか撮影できない。
②撮影禁止が明記されているのは、中継所のみ。コース沿線の禁止記述が無いから撮影する。

主催者の書き方が、①②どっちでも取れるから、取材に来る方は迷うのです。
今回は、①の対応をした社が大多数で、②は3社、2大学、見かけました。

主催者の意図したところは、①②どちらだったのか?気になるところですが、①だったようです。

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取材された記者さんの投稿(「~従った」以降は次項に関連するので割愛)

5.「性善説」の自治体 VS 「性悪説」も辞さないマスコミ


出雲人の気質は、「相手をおもんぱかる。」
というと聞こえはいいですが、はっきり言って「本音を言わない。」「察しろ。」です。

そして大会の主催者が、自治体(出雲市)です。
自治体が作る文章は基本が「性善説」なんですね。平たく言うと

市民(お客様)が悪意を持って市役所に来ると思わないので、市民へのお願い文は「〇〇してください。」「〇〇しないでください。」との柔らかい表現になります。
「禁止します。」のように強い言葉使わなくても、要請に従ってくれると考えています。

この目線と出雲人気質で、大会取材要項が作られているように感じます。

他方、「〇〇してください。」「〇〇しないでください。」はあくまで要請であって、強制力は無いと解釈する人もあります。数々の取材経験を持つ報道陣であれば、「はっきり禁止しない主催者が悪い」と断言する場合もあるでしょう。

取材申請した報道機関は営利企業ですから、法に触れなければOK。

今回は、出雲の気質と、自治体の性善説により強い言葉を使わなかったがために、取材規制に隙間を作ってしまいました。

主催者に問い合わせてくれた社は、自社の利益より感染対策を優先してくれたと言えますが、主催者が沿道撮影を黙認した形になっている現状では、メディア間に不公平が生じています。何とも後味が悪いものです。

全国から人々が集まってくるイベントの時には、「出雲目線」ではなく「全国目線」の取材要項を準備していただきたいと切に願います。

6.沿道撮影をしたメディアへの批判


沿道での撮影を行い、大会翌々日までにweb上に掲載したメディアが3媒体ありました。5区のコース上から撮られた写真が掲載されているので、目にした方もたくさんあるかと思います。
しかし、web投稿直後から、大会取材要項の禁止事項を知っていた複数ユーザーの指摘投稿が相次ぎました。
それ以降、3媒体が発表した記事(投稿)には、沿道で撮影した写真の使用は控えられています。

こうした経過から、2021出雲駅伝の写真が出回らなくなったのです。

批判投稿した人のせいで、写真が見られなくなった!

と悔しがる人もあるでしょうが、そうではないと思います。

出場大学の監督の言葉を伝え、主催者の状況も斟酌した文章に感銘を受けました。

来年以降、少なくとも全選手が走る姿を写真に残すために、どうしたら良いのか。
自分なりに考えてみました。

★取材要項で禁止事項の明確化を!

取材要項が、今年と同じ(上記)だったら、各社とも中継所以外の沿道には、自社カメラマンを手配するはずです。それは避けたいはず。

そこで取材要項の改正を下記のように行うのはどうでしょう?

要項改正(案)
中継所及びコース沿線
今大会は、感染症対策として、 スタート地点(出雲大社正面鳥居前)、フィニッシュ地点(出雲ドーム)以外での取材及び撮影は禁止します。
中継所及び沿道は代表撮影を行います。代表撮影は●●に委嘱します。
なお、許可区域以外での取材及び撮影を行った社(者)は、次回以降の取材申請はお受けいたしません。

感染症対策の必要が無くなれば、取材禁止エリアや代表撮影の部分は削除すればOKですし、違反者に対するペナルティがあれば、違反の抑止力になります。

★代表撮影は大学スポーツ新聞に委嘱!

代表撮影は、地元でカメラマンが手配出来ないのなら、各大学スポーツ新聞のカメラマンに委嘱し、スタート、各区沿道1か所、中継所5か所、フィニッシュの全13か所に配置することを提案します。

2か所はしごは可能ですから、全部で6~7班つくればよい。出場校から1名派遣してもらえば、立派な代表撮影班が出来上がります。

選手たちが試合の機会を奪われたように、大学スポーツ新聞記者たちも現場取材をする機会を奪われています。誰もそのことに言及しないのは、おかしくないですか??

第32回大会はボランティア不足で中止に追い込まれました。その解決策として、第33回大会は、中四国学連加盟大学の学生たちがボランティアとして加わってくれました。ボランティアの層が一気に厚くなりました。

同じ視点で、代表撮影にも積極的に取り組んでみて欲しいです。

将来のメディアを背負うであろう大学生に取材の機会を与えるのも、主催者(日本学生陸上競技連合)の大事な役目だと考えます。

★終わりに

「たかが写真」と言われるかもしれませんが、出場選手や家族、大学には絶対に必要なものです。

主催者には、耳の痛いことを沢山書いてきましたが、ちょっとの工夫で改善できそうに考えます。

日本学生陸上競技連合、出雲市の担当の方に読んでいただければ幸いです。


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