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追記記事コメ:「ウイルス研究」と「次のパンデミック」の危険な関係

前回の記事で紹介した内容について、下記の記事でもう少し示唆に富んだ内容があったので補足・紹介しておこう。

以下の通り、記事によると、今回のエネルギー省の見解は研究所のデータそのものを解析した結果らしい。

武漢ウイルス研究所のデータベースには2万2000に上るウイルスの遺伝子データが保存されていたが、2019年9月に中国当局によってインターネットから遮断され、その後、外部からのアクセスが不可能となっていた。 膨大な情報を入手した米情報機関は、エネルギー省傘下の研究所にデータの解析を委ねたとされているが、複雑な遺伝子配列データを解釈できるスキルを有する「ローレンス・リバモア研究所」(前編で詳しく紹介)が中心的な役割を果たしたことは間違いないだろう。 真相究明への期待が高まったものの、これらの情報は中国の専門用語で書かれていたことから、検証作業には多くの時間を要した。 作業開始から1年以上が経ち、ようやく分析が終わった結果、ローレンス・リバモア研究所は改めて「武漢ウイルス研究所が機能獲得実験によって新型コロナウイルスを作成した」と判断し、「人為的に作成された新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所から誤って流出した」と結論づけたのだろう。

前回の記事で紹介したような具体的な配列のデータが研究所のサーバーに存在していたという事なのだろう。それであれば、かなり強い断定で記事の様な内容を公表した事は頷ける。もっとも証拠隠滅を徹底している様な報道があった記憶もあるので、その様なデータがそのまま残っていたという事にも違和感は覚えるのだが。

また、この記事ではウイルスに関する遺伝子組み換え実験の危険性にも触れている。

機能獲得実験の目的はパンデミック予防や治療薬の開発などと言われているが、実際に役立った例は皆無に等しい。 だが、機能獲得実験は半年以内に成果が得られるなど実績作りに都合が良いことから、多くの研究者たちがこれに手を染めているという。 リスクが大きい機能獲得実験を野放しにしたままでは、世界のどこかの研究室で誕生した危険なウイルスが流出し、再び新型コロナのようなパンデミックが起きてしまうのではないかとの不安が頭をよぎる。

記事にある機能獲得実験というのは、遺伝子組み換え技術を利用して元の生物に新たな機能を付与する事だ。今回のウイルスで言えば、感染受容体への結合能力の強化などがその例である。また神経系感染能力についてもその追加効果として獲得されている。成程、例えばその様な感染能力を持つウイルスを使って、より効果的な防疫方法や治療薬開発を進めるという言い訳は簡単だろう。しかし、記事にある通り、その様な例で実用化された手段や薬は例がないかも知れない。

また、実際問題として役に立っているかどうかはともかくとして、多くの研究が上記の様に、詭弁を弄して結果の出やすい実験に手を染めるという状況になっているのは事実である。そして、本当に意味・意義のある研究と、うわべだけの研究を見極める事は多くの人間にとって簡単ではない。この様な現状は、言うまでも無く科学研究費の配分方法や運用上の歪みが原因である。その様な縛りが無ければ誰もそんな意味のない・リスクのある研究をやりたいと思う訳が無いのだ。皮肉な事だが、科学的な真理というのは資本主義・民主主義とは極めて相性が悪い。何故なら多くの場合、それらは「科学的な正しさ」を必要としないからだ。それらにとって最も重要なのは「科学的に正しく感じさせる詭弁」なのである。それを見極められる能力が科学者として重要な資質であり、その様な人間を正しく評価できる社会でなければ、上記の様な間違った科学は常に何某かのリスクであろう。

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