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リカバリー・カバヒコ(青山美智子)を読んで

青山美智子さんの新刊「リカバリー・カバヒコ」を読みました。

公園の古びたカバの遊具、自分の怪我とか病気とか治してもらいたいところを触ると回復するという。

※以下若干ネタバレあります。

とあるマンションに住む人々で綴る5つの短編集。

中学のときは優秀だったが高校に入って成績不振に悩む高校生は「正直であること」の大切さに気づき、
ママ友たちとの人間関係に悩む元アパレル店員は関係づくりが大切なのではなく「大切なことははっきりと言葉にすること」と気づき、
ストレスで休職中の女性は、不安になることや被害妄想の恐怖で「本当のことに耳を塞いでいた」と気づき、
駅伝に出るのが嫌で怪我をしていると嘘をつく小学生は「嘘やズルは身体にも影響を及ぼす」と気づき、
母との関係がこじれたままの雑誌編集長は、「世の中は見方次第で見え方が違うこと」に気づく。

どんな人でも生きていると悩みは付き物。でも真面目に、真摯に生きている人こそ解決して抜け出そうとするのだと思います。
そんな懸命に生きる人たちがリカバリーしていく暖かい物語たちでした。
読みやすくて暖かい青山ワールドの作品でした。

ただ、従来の作品に比べて少し物足りなさを感じました。
もう少し主となるキャラクター(今回ならカバ)に個性や仕掛けが欲しかったと思うのは贅沢でしょうか。

今までに読んだ青山美智子さんの本
・お探し物は図書室まで
・猫のお告げは樹の下で
・木曜日にはココアを
・鎌倉うずまき案内所
・月の立つ林で
・赤と青のエスキース
・ただいま神様当番

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