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【断髪小説】ヘアフォールウィルス(1) 発生

「お〜い、ソウタ〜!パスパス〜!」
「あぁ!ショウタ〜!うっけとれ〜〜!」
「シューーーット!!!!!」

サッカーボールが鈴木 翔太(すずき しょうた)に渡り、激しいシュートとともに、ボールがゴールキーパーの目の前を横切って、ネットがふわっと揺れる。
よっしゃ〜〜〜!という掛け声と共に、ショウタと高橋 蒼太(たかはし そうた)はハイタッチをした。

今はサッカー部の1年生、2年生による新人戦の決勝戦。
ソウタとショウタは互いに力をあわせて見事に優勝を勝ち取った。

二人はBS高等学校の1年生。
高橋 蒼太(たかはし そうた)は落ち着いてて真面目、正義感が強く、どんなことでも前向きな性格。ショートヘアでサイドを少し刈り上げた爽やかなヘアスタイル。黒髪でいつもヘアワックスで整えられている。身長は169cmで体系は普通。

一方の鈴木 翔太(すずき しょうた)はお調子者でチャラい。引き締まったボディーに身長172cm。少し長めのショートで無造作ヘア。軽くブリーチした茶髪。

二人は仲が良く、周りからは、ショウタとソウタでウタコンビと呼ばれているほどだ。

「やったな〜ソウタ!これで俺達も一躍有名人だぜ!」
「そんなものには興味はないんだが、勝ててよかった」

「こ〜〜〜ら!」
ポコ、ポコっと二人の頭を小突いたのは生徒会に所属するTHE真面目の女子の伊藤 璃子(いとう りんこ)。
リンコは黒髪ロングヘアで、いつもストレートにしている。髪はいつも1つに束ねられている。
スレンダーな体系で、切れ長の目が印象的。知的でクールな雰囲気で、縁の無いメガネをいつもかけている。身長166cmと女子にしてはそこそこ高い。

「お前らなぁ〜、いつも調子乗りすぎなんだよ。
いつか痛い目にあうからな〜、引き締まっていけよ!」

「へいへい、次期生徒会長様ぁ〜」
ショウタがおちょくるようにリンコに言った。
「私はまだ1年生だ。そんな風に呼ぶな!生徒会長に失礼だろう!」
「分かったよ、リンコちゃん〜」
「お前なぁ〜・・・」

和やかな雰囲気で大会は終わり、その日の夜。

「ただいま」
「おかえりなさい、ソウタ。
ご飯できてるわよ。着替えたてから食べなさい」
「うん、着替えてくるわ」

ソウタは家に着き、着替えを済ませて食事に付く。
テレビが付いており、ニュースが流れている。

「海外で流行している、ヘアフォールウィルスが日本でも感染者が発見されており、今後感染拡大の可能性が専門家から指摘されています。
こちら、専門家の山田 和彦(やまだ かずひこ)さんです。
山田さん、この感染症について、そして、感染症が日本で流行るのかについてお聞かせ願いますか?」
ニュースキャスターがそう発言すると、続いて感染症の専門家の50代で細めの体格をした、白髪交じりの髪型で、高身長のおじさんが発言していた。

「えぇ〜、そうですね、まずこの感染症ですが、ヘアフォールウィルスという名前でして、この感染症に発症すると、1週間後に80%、2週間後に90%、3週間後に100%死に至る病(やまい)とされています。
致死率はかなり高くなっておりまして、かならず1週間以内に対策をする必要がある。そういったウィルスになってます」

「あらやだ、怖いウィルスが日本に入ってきちゃったのねぇ〜」
ソウタの母がニュースを見て呟く。

「このウィルスは、海外の例では男性、女性どちらとも同じ確率で感染が確認されており、特に若者に感染し易い傾向がございます。10代〜20代が一番割合が高く、その後30代、40代、50代とどんどん感染確率が下がっており、50代以降ではほとんどが感染例が見られないという、変わったウィルスになっております。
また、このウィルスは飛沫感染を起こす可能性が非常に高く、感染した人、感染が疑われる人は、絶対に家から出ないでください。
50代以上の方と住まわれている方に関しては、家庭内ではマスク着用の上、通常の生活をおくれますが、10代〜40代の複数人の家族に関しては、家庭内でも、決して部屋から出ないようにお願いいたします」

「50代以上の感染率は低いみたいだから、私達家族は大丈夫ね。家で大人しくしていれば助かりそうね」
「あぁ」
ソウタと母親がウィルスに関して会話をしている。

「繰り返しますが、非常に感染力の高いウィルスになってますので、くれぐれも注意するようにお願いします!
また、現在自身が感染しているかを確認するためのアプリ、マルメナをこれからアプリストアで配布しますので、必ずマルメナを利用して自身が感染しているか図ってください。
学校、会社、その他人が集まる機関に関しましては、マルメナで感染の疑いがなしとなったものだけは、通常の学校、会社生活を行えます。
このウィルスの特徴は非常に殺傷力がありますが、感染したかどうかについても100%図ることが出来ます。
ですので、毎日マルメナで感染を確認して、学校、会社、その他機関に伝えてください。
学校、会社、その他機関の関係者にお伝えします。
感染の疑いがある人に関しては、どんな理由があっても、絶対に入れてはいけません。即時帰宅するように伝えてください」

ソウタはマルメナをアプリストアからダウンロードして、感染の計測をした。

ピッ・・・

・・・結果は陽性(感染している)です。

「え!」

「まさか、あんた。陽性・・・だったの?」

「うん・・・。俺は・・・感染している」

ソウタの母親が激しく動揺している。ソウタは動揺しているが、母親に動揺を隠すために冷静を装っているが、不安な表情を浮かべている。

鈴木 翔太(すずき しょうた)の自宅にて
「ま・・・まじか。俺も感染してるのかよ・・・。」

伊藤 璃子(いとう りんこ)の自宅にて
「う・・・。感染・・・している。大丈夫。対策をする必要がある。そう言ってたわ。だから、裏を返せば何かしらの対策は用意されているってことだわ」

BS高等学校の他の生徒達の自宅にて
「ぎゃぁ〜〜〜〜〜!か・・・かかか・・・感染してる・・・」
ナチャラルな黒髪のショートカットで癖はなく、サラサラショートカットの女子が自宅で感染を確認した。

別のBS高等学校の生徒宅にて
「う・・・うぅ・・・私・・・私死ぬの?まだ・・・まだ彼氏出来たことないのにぃ〜〜〜」
少し茶髪かかったセミロングヘアで、前髪は一直線に綺麗に整っている女子の自宅でも感染を確認した。

専門家が続けてヘアフォールウィルスについて解説している。
「皆さん、感染を確認された方は驚いていると思いますが、落ち着いてください。そして安心してください。
このウィルスには対策がございます。
感染を確認された方々は、再びマルメナをご覧ください。そこには数字がのっていると思われます。
その数値は、感染してから経過した日数です。
1が感染開始から1日目を指します。
先ほども申し上げました通り、1週間後で80%の致死率がございます。
なので、その数字が7になるまでに、是非この対策をおこなってください」

「1だ。サッカーの試合で感染したのか・・・」
ソウタが感染化開始日を確認した。

「ってことは、もしショウタも感染しているとしたら、同じ1日目ってことになる。その場合、あの場にいた伊藤さんも1日目か」

「その感染対策とは・・・。
髪の毛を・・・丸める事です!!!
そうです、坊主頭になれば、感染症の効力は失われて、マルメナの数値も0に戻ります!
繰り返します。
ヘアフォールウィルスの感染対策は、坊主頭になることです!
男女問わず、感染者は速やかに坊主頭にしてください!
マルメナで感染が確認された方には、翌日に政府から美容ハサミとバリカンの支給がございます。
こちら綺麗に消毒されたものですので、こちらを利用して丸坊主になってください!
日本を、地球を守るためです!私からは以上です!」

「え!?」
テレビの向こう側の感染者から一斉に発せられた声だろう。

不安と恐怖の中、主人公たちはどうやってこのウィルスに立ち向かっていくのか!?

つづく・・・。



あとがき

「授業中に断髪」の番外編。スピンオフ企画のヘアフォールウィルスです!
この物語は、授業中に断髪を執筆中に思いついた内容です。
授業中に断髪で、主人公の近くの席に座っているはずだった人達(休んでいた人達)を描いた作品になります。
もし、まだ授業中に断髪を読んでいない方は、まずは下記から読んでもらうと、色々とリンクしてる部分も出てくると思いますので、より世界観が伝わるのではないかなと思います。

今回も授業中に断髪を同じくらいの長さ?になるかなと思ってます。予定は未定ですが、そんな感じでプロットを書くつもりです。(まだ1話分しかプロットがない状態で面白そうな話になるな〜って思いながら、書いちゃってますw)

と、いうのと、今後執筆していく中で、結構この授業中に断髪は重要な作品になっていくと思います。
ここから派生させた世界での物語をいくつも作っていく予定でいます。
それとは別に全く関係のない話も作っていく予定です。
kindleでも執筆してたりもするのですが、Noteの方が反応がいいので、しばらくはNoteに注力して週に最低1本(大体金曜日)、多ければ2本くらい書いていけたらと思ってます。


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