見出し画像

監督が怒ってはいけない大会

元バレーボール選手の益子直美さんがが主催している『監督が怒ってはいけない大会』が称賛されている。
内容はその名の通りで、小学生を対象としてバレーボールの試合で監督が選手を怒っていけないというルールが課せられているのだ。怒ってしまった監督にはペナルティが与えられる。この大会は2015年から行われ、今年で8回目だという。
僕もこの試みを大称賛している。
僕はずっと、ずっと、ずっと疑問に思っていた。何で日本の運動部の監督ってあんなに怒るんだろう?と。
監督は『選手の為』というだろうが、はたしてそうだろうか?
僕は必要以上の叱りはかえってマイナスだと感じていました。選手のやる気を削ぐ事に繋がると思っている。選手は監督に怒られる事を避けて無難な試合運びをしているのではないのだろうか。
僕は以前、たまたま小学生のバレーボールチームの練習風景を見学する事が出来ました。60代後半と思しき指導者は、一人がミスをする毎に練習を止め、だらだらと説教をしていた。他の選手はそれをただただ黙って見ている。これって効率が悪いと思いませんか。
これは選手と監督という関係だけではなく、先輩と後輩の関係にもいえるだろう。
理不尽な指導、理不尽な上下関係に耐えられず辞めていった者も多いと想像する。その中には今後伸びていく逸材がいたのかも知れない。そう考えると実に勿体ない事をしている。
これはそのスポーツの為になっていないのだ。

僕は彼ら(辞めていった者)の気持ちが凄くわかる。
僕が住んでいた料理の世界も、暴力とも捉えられる威圧的指導と理不尽な上下関係で成り立っているからだ。
色々あったけど僕は料理が好きだ。料理人という生業に誇りを持っている。だけどそこに戻る事は嫌なのだ。
恐いのだ。
理不尽な叱り、暴力、古臭い師弟関係などなど、現代社会では理解しがたい意味不明な伝統に戻るのが怖いのだ。
実は僕自身も後輩を叱っていた。威圧感のある指導をしていたし暴力を振るう事もあった。
志を持ってこの世界に飛び込んで来た若者に『お前にはまだ早い』『まずは下働きをしろ!』『先輩の仕事を目で覚えて、独りで練習しろ!』と理不尽をぶつけ、その大切な志を削いでいた。
この世界しか知らない僕は、それが当たり前だと思っていたのだ。
でも一旦そこから離れ冷静に考えると、自分自身がしてきた事がどれだけ愚かな事であったか思い知る。一般の企業での教育方法などを知ると料理の世界がどれだけ遅れているか気づく事が出来たのだ。
仕事って叱らないでも教えられます。丁寧に教えれば相手が早く仕事を覚えるので、こちらも早く楽になります。仕事が楽しければ離職者も減ります。
あなた達のやっている事(僕もやっていた事)は非効率なのです。

正しくスポーツの世界もそうだ。
必要の無い叱りは、ただただ相手の気持ちを削ぐだけで意味のない行為だと思う。若い芽を摘んでいる、いや、踏みつけて殺しているのだ。
長い時間を割いてだらだら説教するなら、その時間を効率の良い練習に変えるべきなのだ。
日本の指導者はもっとその事に気付くべきです。

スポーツの世界も、料理の世界も、自分たちがそういう指導を受けて来たから、後輩にも同じやり方しか出来ないのでしょう。
『監督が怒ってはいけない大会』でも自分が必要外に叱っている事に気が付いていない指導者が多かった(テレビのインタビューで)。
もしかしたら、先輩や指導者にやられてきた事の辛さを、後輩たちにぶつけて発散しているのかも知れません。中にはそんな厳しい自分を格好いいと勘違いして自分自身に酔っている人もいると思います。
もう、そろそろそんな古臭い伝統を捨てましょうよ。

僕は益子直美さんのこの活動を応援します。
他のスポーツの指導者や料理界にもその想いが届くと期待しています。

※一応言っておきますが、必要な叱りもあります。僕が言っているのは相手を怖がらせてしまうほどの過剰な叱りや、非効率で理不尽な指導の事です。

こんな僕ですがサポートをして頂けると嬉しいです。想像を形にするために、より多くの方に僕の名前・創作力・作品を知って欲しいです。 宜しくお願いいたします。