てへぺろ街道~連載(6)パレードの夜~
滞在三日目の夜。
だいぶ落ち着いた頃。丑三つ時にあたる時刻、パレードが行くという。
穴ン・アリグハから四〇分程歩いたところ。
野外レストランになっていた。
小ぢんまりして、他に客は見えない。マスターが一人。
ピザが出る。美味。宿でも町の店でも出なかったのに。
砂漠に住む金色カタツムリを割った汁で作ったカクテルをつくってさしあげましょうか。とマスター。このカクテルはしょうしょう、キツイですよ。さあ……どうぞ。
その幾重に重なるコクと深みに、砂漠のまるで遥か下の下にある大きな地下の湖の深い青の青まで、泳いでいく気持ちになる。
ああ。
パレードは、その湖まで、歩いて旅をするんだ。どれだけ遠い旅だろう。それは、何のための巡礼なのだろう。誰かの祈りなのか。誰かの呪いなのか。パレードは、果てしない湖を目指す。
(続く)
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