見出し画像

更年期インタビュー   ゲスト 福井三賀子さん


今回は、看護師として働きながら「更年期探究家」として幅広く活動されている福井三賀子さんから更年期についてのお話をうかがいました。


更年期の症状はまったくなかった

谷)「更年期探求家」とは、どういう思いでそれを名乗っておられるのでしょうか?

福)更年期というのは、人生の真ん中だと思うんですよね。生まれてから50年、そして今の時代は人間100年、125年生きられると言われているので、更年期世代は日本の中心を生きるっていう風に思っているんですけど。常に私たちの在り方というのが次の世代につながるということで、とっても大事な時期だと思っているんですよ。そのために私たちは何をしたらいいかということを様々な視点から、例えば歴史であったりとか看護とかもそうなんですけど、生まれてから死ぬまでの捉え方というんですかね、自然科学とか、物理学とか量子力学とかそういうことが学んでいくうちに全部一緒だなって思ったんですね。 元々、勉強が嫌いだったんですけども、国語算数理科社会というのが全部一つなんだなっていうのが分かったんです。学ぶことが全部自分の宝物になるし。

谷)更年期に入られてから、いろんな方面について勉強されたということですか。

福)更年期になる前って、アトピーがあったんですよね。皮膚の症状がひどくって、なんで兄弟で私だけって。母の遺伝だなと思って。母がいろいろ頑張って民間療法とかいろんな情報を得てくるんですよね。例えば、病院に行って薬、ステロイドをもらっても良くならないし、対症療法だし。民間療法もやったけど、結局は自分の中の心の問題だな、ということが分かったのがアドラー心理学の本を読んでからなんですよ。その本に遺伝をどう生かすか、ということが書いてあって私はその言葉で、はって気づいて。もしかしたら、この体質が活かせることになるかも知れないと。哲学書を読むようになって、そこでは病気の人は誰もいないとかそういうことも書いてあるんですよね。病気は自分の中の問題だとかね。そうすると、どんどん広がっていって、心と体は一つなんだなっていうことに繋がっていったんです。

谷)学ばれたこととと体験されたことが合致したということですね。

福)そうですね。

谷)福井さんご自身はあまり更年期の症状はあまり強くなくて、気づかれたのが50歳だったということですが。周りの方がきつそうだったので気づかれたということでしょうか?

福)ある時にホットフラッシュになってる同世代の方がいて、そんなに暑くないのに何でこんなに汗かいてるんだろうなって思って。結構頑張る方なので、いろんなそういうことがつながってるのかなって、その方から感じられて。結構多かったですね、更年期症状の方っていうのは。軽い方もいれば、重い方でホルモン療法をしてるんだけど症状が辛いんですよね。腰が痛かったり、ちょっと息が苦しかったり、頭が痛かったりとか、療法をしてるのにこういう方はいらっしゃるんだなとは思いました。

谷)福井さんご自身は、心の変化とか体の変化というのはあまり感じられなかったということですか。

福)そうですね。まったくなかったですね。ほんとになかったですね。

谷)そのように更年期を過ごされるっていう方もいらっしゃるということですね。

福)そうですね、私はね、夢中になることが多くて、いろんなことを日々、探求心が大きくて、いろんなことに興味があって。これやりたいなとか、この本があったらこれを読みたいなって、それをするためにはどのように時間を使おうかなとなって。そういう風にならなかったのは、そういうことなのかなって思います。

谷)いろんな興味があって、それをどんどん進めていかれるという。

福)そうですね、元々、私がこういう皮膚の症状が起きたのは、心に原因があって、何のために起こったのかなって思った時に、これがもしかしたら誰かのために生かせたらいいかなと思ったんですよね。
話がそれるかも知れないですけど、女性って美しさというものを更年期とかになると目指すじゃないですか。実は表面的な美しさって、内面的なものが美しさに関係しているんではないかっていうことに気づいたんです。だから高い美容液とか使っても、そうではない人もいるし、そうではなくて、もしかしたら高額なものは使ってないけど綺麗だなっていう人もいるし、そういうことではないのかなっていう風には思ったんです。

谷)なるほど。そういうところっていうと、ご自分の内面を整えるというというか、自分が楽しくすることが外側に現れるというような?

福)削いでいくっていうと変なんですけど。私は皮膚の症状があったので、何を付けたらいいのかなとか、これをやったらいいのかなとか、することばかり、プラスする方向ばかりを考えていたんです。実はそういう風な心ではなくて。人に必要なものっていうのは、やはりミネラル、塩とかですよね。あとは、人のために使うこの体であったりとか、人のために行うことで体っていうのはきれいに磨かれていくんだなっていうことに気づきました。
 アトピーだから乾燥が肌に出るっていうことはやっぱり心もカラカラだったって。心の中に水がなかった。それは求めていたからだということで。人に与えることで自分に返ってくる、満たされるっていうことで循環ですよね。循環されていなかったんだなって思いました。だから体も冷たかったですよね。冷え性だったですよね。その頃は。

谷)物心ついた時からというか、お若い頃からずーっとそういう形だったのが、更年期にそこの気づきがあったっていうことなんですね。

福)そうですね。結婚してからいろんな学びがありました。喧嘩から学んだりとかね。相手が悪いと思うんだけど何も解決しないし、だったら私に原因があるのかなって思ったら、すぐ解決しちゃいましたね。ごめん、って本当に心から思いました。

意識して削いでいく

谷)先程のお話「削いでいく」というところなのですが、様々な物が減っていったというところで、それは自然と減っていったのか、それとも削いでいこうという意識の元に行われていったのか、そこをお聞きしたいです。

福)そうですね、意識はしました。これいらないなっていうのをどんどん捨てていって減らしていって。最後に残ったのは、今活動している仲間であったり、大切な本、自分のこだわりのものとか。そうするとね、変な思考をしなくなるんですよ。無駄なことを考えなくなるし、それに囚われなくなるし、食べるものもそんなに食べなくなってくるし、そんな感じですかね。捨てるとすっきりして、逆に本当に必要な物が入ってくるっていうかな。向こうからやってくるっていうか。

谷)減っていったことについて、例えば子どもさんが離れるとか、年代的なところがあると思うんですけど、寂しさというところよりも、もっと違う感じ方が出てきたんでしょうか。

福)子供が巣立つ、ていうことは皆さん寂しいとおっしゃたりとか、結構心配だったりして電話をしたりするじゃないですか。それって私は全然しなくって。何故かというと私は母親にすごい心配をされたし、ああしろ、こうしろとか、母親の支配の中で育ってきたので、自分で好きなことが出来なかったんですよね。なので私は結婚した時に、子供にはそういうことはしないって思ったんです。子供が悪い点取っても全く叱らなかったっていうか、ほっといたんですよね。そしたら、私が子供の頃はテストは隠したんですけど、子供は悪い点数ていうか、30点のテストをピロンと置いてたんですよね。私が「ここまでがんばったんだね」と言うと、次はすごいがんばったりして。そういうことも大事なのかなって思ったし。そういう風に育てた子供は100%信じているので、絶対大丈夫っていう信頼があるので干渉はしないです、向こうがくるまでは。

谷)この間のウエルネスナースの講義で、女性がより自分らしく生きる時期、自分のために人生を生きる時期に入るんだ、ということをおっしゃっていたと思うんですが、そういうところなのでしょうか?

福)これまで子どものこととか家のことだったりとか、結婚したのが旧家でしたので、近所付き合いとかもあったりして、本当に付き合いが大変だったんですよ。子どもが巣立つとお母さんたちとのつき合いがなくなったり、すっきりしてて。結構人の噂話とかが多いじゃないですか。それが嫌で仕方なくつきあってたというのもあって、それから抜け出せたっていうのがすごい嬉しかったです。なので、これからはそういう方たちも含めて、女性が自分らしく生きるっていうことが組織のためだったり、社会のために繋がっていくと思っているので、今、辛い思いをしている、症状で苦しい思いをしている人たちを何とか楽にしてあげたいという気持ちはあります。

谷)武道とか呼吸法をされているということですが、更年期に入ってから始められたんですか。

福)合気道なんですけど1年半位前に始めました。それはなんでかっていうと、心と体、更年期世代というのを探求しているんですけど。やっぱり人は鏡だっていうことがよく言われて頭とかでは感じるんですけど、それは体で感じるとどういうことなんだろう、と思ったんですよね。たまたま近くに武道場ができたので行ったらはまったっていう。最初の1時間は呼吸法なんですよね。呼吸法とか、鍛錬、訓練のようなものをするんですけど、それをすると本当に心地よくて、心が洗われるというか、いくら疲れていてそれは行くようにしていますね。帰ってくると疲れた体はほんと洗い流されています。厳しいですけどね。寒いです最初は。裸足なので。

谷)体を使い、心を整え、みたいなところで。

福)そうですね、血液が循環されるのが分かります。呼吸法をすると心臓がドキドキするのが分かるんですよね。一回息を止めるので。自分が生きてるんだなって感じられるんですよね。なんかああ有り難いなって思います。

谷)自分がやっているのではなく、全身を巡っているということを感じられるというか。バタバタと過ごしているとそういうところには気づけないですよね。

福)全く気づけないですよね。

自分を見つめることが一番大事

谷)更年期を振り返って今思うこととして、アンケートで「更年期は自律するとき」とありますが「自らを律するという自律」というのは?

福)元々、結婚制度っていうのは、国が決めたことであって、お金の管理とか人の管理をしたりっていうところの制度かなって思うんですよ。だけど女性っていうのは、元々周りのために生きる、それが自分のためになっていくというところだと思うんです。自律というのは自分でお金を作って、お金を貯めて、生むってことですよね。
お金を生んで、それを周りのために使って周りをしあわせにするということで自分に返ってくるっていう、そういうシステムがあるかと思うんです。それが循環とバランスという女性が持っている性質だと思うんですよね。そういう性質をバランスが悪くてうまく活かせていない女性が病気とかにも繋がっているのかなって思うので。お金であったりとか、あとは仕事、家族であったりとか、健康、趣味とかライフサイクルとか、それをバランス良く整えることが自律かなと思います。だから更年期に離婚される方も多いと思うんですけど、それも自分の成長のためだったら全然構わないと思うし、それがひとつの自分のプラスになるのであれば私は反対ではなくて、むしろ賛成かと思っています。

谷)そこの循環とバランスっていうところ?

福)そうですね。女性は、人は誰も1人では生きていけないし、出来ないところを助けて、って言えるのも自律だと思うんですよね。なので皆で仲間で助け合って、目的があったらそれを達成できると思うんですよね。そういう能力が女性にはあると思うので。男性をいかに持ち上げるか、っていうのもそうですよね。私は旦那さんにはそうしてます。自分で出来ないことは、旦那さんを持ち上げてしてもらうようにがんばってコネコネしてます。

谷)そこもうまく女性性を使いながら、(男性を)包み込みながらということなんでしょうか?

福)そうですね、さりげなく。逆に旦那さんが弱っている時とかは、私の男性性を発揮して、グイグイと引っ張っていくというか。夫婦ってそういうものだと思っているので。お互いがバランスよく行けばいいかなって思います。学びですよね、夫婦も。

谷)そうですねー。
福井さんのお話を伺っていると、常にご自分を俯瞰していらっしゃるというか、気づきっていうものを大事にされているように感じるんですけど。

福)そうですね、私の学んだ認知科学っていうのは、やっぱり自分を俯瞰して観るっていうことが基本なので、自然とそういう目がついていきますよね。何かあると、ふっと何か体から自分が抜けていくというイメージですよね。そこに自分がいる、そこから自分が見えるっていうか。じゃあそこから自分がどう動けばいいかって、こういう時はこう言ってあげたらいいのかなとか、あ、今は言うべきじゃないとかね。そういうところが何となく見えてくるので、今は言うべきじゃないというものが観えてきたら、サッと退散したりというのもあります。

谷)気づきというところ、自分を俯瞰することができる、そこが基本というか。

福)そうですね。自分を見つめるということが一番大事かな。そこがないと先に進めないので。苦しかったけど、そこがないと進めないと。

谷)そこは敢えて時間を取っていらっしゃるんですか、例えば1日の終わりにとか。

福)私は1日のはじめにですね。瞑想もするんですけど、祓い言葉を唱えたりとか、いろんなイメージをするというのもありますし。1日のイメージを、今日はこんな感じでいこうとか。あんまり時間はないですけど限られた時間で。食べ物もすごい大事なので、これを食べようと思ったらそれを食べます。

谷)更年期の自分に言葉をかけるとしたらというところで、「出来事は全て自分ごと」というところは?

福)自分と相手は一緒と思って、いつも接するようにはしてます。相手の嫌がることはしないっていうのは基本なんですけど、相手の喜ぶことは自分の喜ぶようなことと思って。お金の使い方も変わってきましたね。高いとか安いとかではなくて、これを身に着けることで嬉しいんだったら、高いものでも買いますし。

不安や恐怖があるから進める

谷)更年期に入る人たちへのメッセージは?

福)不安だったり、恐怖だったりという感情があるのかなと思うんですけど、恐怖や不安がないとすすめない。不安や恐怖があるから進めるというのが原理原則なので、それでいいんですよ。それに気付くことが分かれ道ですので。気づいたらそれが何故かということを自分で探求してもらいたいと思います。

世の中に良いも悪いもないので。自分の中に問題がある思うと前に進めるヒントになるのかなって。更年期というのは、精神的にそこに気づける年代になると思うので。気づくか気づけないかっていうのは、我欲というところになってくるので。そこを違う欲求に向けたら、自分じゃなく外に向けたら、良くなっていくんじゃないかなって。

谷)ご自分の中にあるものを見つめて、さらにこの先50年という人生を考えるという時期というか?

福)そうですね。自分以外の人の為に体を使うっていうことです。
私、この「體」っていう字が好きで。人の体っていうのは人を豊かにするためにあると思うんですよね。そのために骨があって、女性は豆を食べて。腰が曲がるまで元気に、腰が曲がらないようにっていうのもあると思うんですけど、体をどう使うのかっていうのは更年期世代の課題かなって思います。いろいろ自分の事ばっかり考えるとどうしても循環も悪くなって、骨も弱くなるし、食べたものが栄養にならないし。だけど、人のために体を使うってそれだけ楽しいじゃないですか。そうすると食べたものが循環して、血液に流れて代謝して、そういう循環かなって思うんですよね。ですので、世のため人のために体を使ってほしいです。

福)私、55歳なんですけど、その後ろには母親も父親もいるし、おばあちゃんおじいちゃんとか、沢山の先祖の方たちがいらっしゃって、戦争と飢餓とか乗り越えて来なければ、私はいなかったっていう、奇跡的なこと、これは偶然ではなく、本当に必然だったかなって思います。私がじゃあ次の世代に何ができるかなって言ったら、こういう事を繋げていくことかなって思います。これからいろいろなことを創っていこうと思っているので。

谷)ありがとうございました。


~~~~~~~~~~~~~

更年期との向き合い方から、自分をどう見つめるかということなど、いろいろな示唆に富んだお話を聞かせて頂き心より感謝致します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?