世界を救うこんな勇者が居たらいいな#1

暗い暗い、世界の中でほんの少しの光があるだけで、人は希望を感じれる。

世界は今混沌の中、暗闇を進んでいる。ように思える。

実際は世界ではなく、自分の中だけの世界だったようだ。

また、今日も終電帰りだ。


私は、しがないサラリーマン。27歳。社会人になってちょうど5年目の年齢だ。

周りの友人は役職に就いたり、独立して社長になったり、プライベートでは素敵な奥さんを迎えて、家庭を築いたりしている。

まるで死語である「リア充」と呼ばれる人類だろう。

スマホでSNSを除いてみても、週末にいった旅行先や友人たちの飲み会だ。

いつからこんな差が生まれてしまったんだろうか。

そんな僕は今電車のホームに一歩足を踏み込もうとしていた。


時は遡り、大学時代。

私は、高校生活であんまり良い人間関係には恵まれていなかったということから大学では良い人間関係を作ろうと必死だった。

今まで好きだったサッカーを辞めて新しい人生を歩みだそうとしていた。

最初は人見知りな性格もあって、中々気さくに話しかけることが出来ない。

でも大丈夫だと自分の中でずっと言っていた。

そんな時、僕は見かけたんだ「君を」

私は特に大きな夢があるわけでもなく、一般的な性格でもあった。

陽キャラというわけでもないし、陰キャラというわけでもない。本当に中性的な男子と言われればそうだろう。

なので、過去に戻ってみても私に彼女なんていう存在は一人も居なかった。なので、女性自体が未知の生命という風に思っていた。というかなるべく関わりたくない存在でもあった。

という自己紹介は置いておいて、今は大学のカリキュラムの説明を一人で受けていた。

結局どこに行っても、僕は一人なんだなと落ち込みながらとにかくこの説明会が早く終わればいいのになと思い、空想にふける。

空想だけが僕が現実逃避をして、世界から救われる瞬間なのだ。説明会が終わった僕は、喫煙所に行き、たばこを吸っていた。喫煙所には既に新入生がグループを作り、ワイワイしているような状態だった。とてもそんな状況にいれるわけもなく、僕は脇道に入り、一人で路上喫煙をしていた。

こうやって4年間僕は過ごしていくのだろうかと思うと、ふっと暗闇が私の周りを包み込む。世界は真っ暗なのか。そう思う。

説明会もやっと終わり、クラス制がある学校だったので、私はクラスに向かうことにした。クラスに入っていくとどの学校にでもいるようなクラスのまとめ役というか元気役?とにかく周りを盛り上げたり、楽しませたりするのが生きがいみたいな人が早速クラスを盛り上げていた。

周りの人もあの人面白いよねという会話をしながら、小手先で馬鹿にしているようだった。自分の席が用意されていたので、その席に座る。嬉しいことにその盛り上げ役の人と席はだいぶ遠い。まだ隣の席の人も来ていない。僕はまた空想にふけようとしていた。

しばらく空想にふけっていると、隣の席の人であろう男性が座ってきた。

すると、「初めまして、倉内と言います。よろしく!」と声を掛けてきた。私は「初めまして、僕は田中って言います。よろしく!」と当り障りない会話をして終わった。学生あるあるでまずは席が隣になった人と仲良くなるというジンクスがあると思うが、倉内くんも至って中性的な方の人間だったと思う。僕は普通に倉内と会話をしながら授業を受けた。最初の授業は自己紹介で終わったので、特に何も気を遣わずに済んだ。

そこから倉内が「飯食いに行こうぜ」というもんだから私も「もちろん、行こう」と答え、学生食堂に向かった。

先輩から聞くにこの学生食堂のこれが上手いらしいんだよとか、サークルいっぱいあってどれに選ぶという他愛もない会話をしていた。確かに大学と言ったらそういう会話だよなと思いながら。

「田中はなんのサークル入るか決めてんの?」

「いや、なんも決めてないんだよね、なんか新しいことでもやってみようかなって。倉内は?」

「俺はサークル入らないかな。やりたいことがあってさ」

「そうだんだ、サークル入らないなんて珍しいね。やりたいことって何?」

「俺は大学で歴史に残すような人間になりたいんだよね、そしてその仲間が欲しいんだよね」

私は驚いた。中性的な人間だと思っていた、倉内が実は湾曲した人間なんだと。

「んでさ、田中も特にやりたいことがないならまずは、俺と色々やってみない?」

「色々ってなに?」

「それをこれから田中と2人で考えるんだろう」

「なるほど。。」

「とりあえずさ、なんか食堂だと人も多いし、学内散歩でもして色々作戦会議出来る場所を探そうぜ」

私は特にすることもなかったので、とりあえず「了解」とだけ言って付いていくことにした。

大学となるとやはりキャンパスがめちゃくちゃ広い。私たちは様々な場所を散策した。その都度色々な発見があり、そして色々な人がいて僕は目が痛かった。

そして学校にある5号館と6号館の間にふと入っていくと、大きな広間があった。人気があるような場所でもないか、人の声も遠く感じた。

私と倉内は一気にこの場所がお気に入りの場所になった。

「ここで俺らが歴史に残るための作戦会議をしていこう」

「ここなら確かにいい会議が出来そうだ」なぜか私は心からそう思った。

ここで急に倉内が「実際2人だとやれることも少ないし、まずは仲間探しだな。どうだ?ここに最初に来た人をまず仲間に入れないか?」

「出た、突然の決断。まぁ、だれも来ないと思うからいいけど」

そして田中と2人でどうでもいい世間話をしながら時間を潰していると後ろから「コツコツ」と靴の音が聞こえる。

男2人の会話が聞こえる。そしてその姿が少しずつ見えてきた。

「え、ちょっと待って誰かくるやん!こんなところにくるやついるんだ」

そしたら2人のうち1人が「え、ここ穴場だと思ったのにー」と。

こっちに向かってくる。「俺、倉内!ここ見つけたの俺らが最初なんだよね、おたくら名前は?」

「最初にここ見つけるとは相当の猛者と見た、俺の名前は武田と川村」

「あ、僕は田中って言います!」

これが僕ら4人、オバテクの伝説の出会いだった。

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