見出し画像

自分のコミュニケーションは大丈夫!と思っている人へ

こんにちは!

対人コミュニケーションについて研究・教育をしている大学教員の今井達也です。

簡単に私の経歴を書きますと、青山学院大学で英語の教員免許を取った後、アメリカの大学院で対人コミュニケーションについて学び、博士号を取得。その後、某私立大学で対人コミュニケーションの授業を担当しながら、海外のジャーナルを中心に対人コミュニケーションについての論文を出版してきました。
(私の業績や教育活動が分かるホームページはこちらをご覧ください。Twitterはこちら。)

この記事の中身に入る前に、まずは以下のYahoo!知恵袋の相談をご覧ください。

Yahoo!知恵袋の投稿

このような悩みの相談がオンライン掲示板には本当にたくさんあります。この悩みのポイントは、「人は無意識/無自覚に他者を傷つけていることがある」ということです。

自覚的・無自覚的なコミュニケーションの問題

ここで、読んでくださっている皆様に問いかけたいのは、『あなたは「自分のコミュニケーションは大丈夫!」と自信を持って言えますか?』ということです(ちなみに私は言えません笑)。次に、下の図をご覧ください。

この図を見ることで「自分の抱えるコミュニケーションの問題に自覚的でいられることが持つ意味」が分かるようになっています。

上の軸は「実際にコミュニケーションに問題を問題を抱えているかどうか」
左の軸は「自分にコミュニケーションに問題があると信じているかどうか」

を表しています。例えばAの箇所を見てみてください。Aは「実際にコミュニケーションに問題を抱えており(上軸)、その自分の問題に気づいている人(左軸)」を指しています。この要領で見ていくと、BとDは自分のコミュニケーションについての認識にズレがあったり・なかったりはするものの、人間関係で深く悩む確率は低いかも知れません。

一方、Aの人は自分の抱えている問題には気づいており、もし自分の問題にあった対処法を見つけることができれば、問題の影響を小さくすることは可能だと思われます。

問題はCのカテゴリーに含まれる人です。Cの人は「実際にコミュニケーションでは不具合を起こしているのに(上軸)、その自分の問題に気づけていない人(左軸)」ということになります。つまり、コミュニケーションの問題で怖いのは、自分では大丈夫と思っていても、実際には大丈夫ではないということが往々にしてあるということです。

この場合の「コミュニケーションの問題」「コミュニケーションの不具合」という言葉の指すところはどのような意味か、少し説明していきます。

コミュニケーションの問題とは?:他者加害型 / 自己抑圧(卑下)型

最初のYahoo!知恵袋の例を見ると、コミュニケーションの問題というのは、すなわり「他者を傷つけかねないコミュニケーション」と捉えられると思います。そういう状況は当然考えられ、以下のような例があり得るでしょう:

  • 「知らず知らずに」配偶者を追い込んでしまうコミュニケーション

  • 「知らず知らずに」会社の部下を怯えさせてしまうコミュニケーション

  • 「知らず知らずに」友達のパーソナルな領域に踏み込んでしまうコミュニケーション

  • 「知らず知らずに」子供の自己肯定感や創造性を壊してしまうコミュニケーション

上記のようなケースは「自分でも気づかないうちに、他者を傷つけてしまうコミュニケーション」と言えるでしょう。これをこの記事では「他者加害型」と呼びます。もし、自分のこのようなコミュニケーションのパターンに自覚的になれない人は、結果として配偶者に離婚を迫られたり、信頼されない上司になってしまったり、友達になぜか遊びに誘ってもらえなくなったり、子供に慕われない親になってしまう、といったことが起こることも考えられます。

Carrere and Gottman (1999)が行った研究では、新婚夫婦の夫婦喧嘩の様子を3分間観察し、そのコミュニケーションの特徴を捉えることで、その後6年間、そのカップルがどのような結婚生活を続けていくか(離婚など)が予測できることを示唆する結果を示しました。無自覚のコミュニケーションが、その後の関係性に影響を与えることを示唆した研究と言えるでしょう(画像をクリックすると論文のサイトに飛びます)。

実は「コミュニケーションの問題」にはもう一つ種類があり、それは「無自覚に自分を傷つけているコミュニケーション」です。これを「自己抑圧(卑下)型」とこの記事の中では呼んでみます。コミュニケーションとは、一般的に他者に向けて発信していくイメージで捉えられていることが多いですが、コミュニケーションはそれを発信する発信者自身に影響を及ぼすこともあります。

以下の実験の結果では、恋人や友人に対して感謝の言葉を伝えることで、その感謝の言葉を伝えた人自身が、その関係性をより良いものだと実感する、ということを示しました。つまり、自分が発したコミュニケーションが、自分自身の感情や考えに影響を及ぼすことを示唆しています(画像をクリックすると論文のサイトに飛びます)。

上記の実験では、コミュニケーションが自己に及ぼす良い影響について触れていますが、当然悪い影響についても考えることができます。

例としては

  • 「知らず知らずに」配偶者の意見を優先し、自分の主張を我慢し続けるコミュニケーション

  • 「知らず知らずに」職場の同僚の言う事だけに従い、自分の意見に蓋をし続けるコミュニケーション

  • 「知らず知らずに」恋愛のパートナーの希望だけを受け入れ続け、自分が嫌だと思う感情を押し殺すコミュニケーション

  • 「知らず知らずに」友達に嫌われることを恐れて、「自分なんて全然xxxだよ笑」と自己卑下するようなことを口にしてしまうコミュニケーション

これらに共通して言えるコミュニケーションの特徴は、「自分本来のありたい姿を抑圧している」「自分の長所を自分で否定する」という部分にあると思われます。私達は無意識に「嫌われたくない」「仲間はずれにされたくない」という意識が強くあり、その意識から「相手に嫌われるくらいなら自分が我慢すれば丸く収まる」と思いがちです。しかし、これは「非主張的自己表現」と呼ばれ、このコミュニケーションを続けることで、自分らしさに蓋をし、自分の精神衛生を不健康にしてしまう可能性があります。


ここまでの記事の内容をまとめます:

  • コミュニケーションの問題には大きく分けて2つあり 1.他者を傷つけてしまうコミュニケーション と 2.自分を傷つけてしまうコミュニケーション がある。

  • その問題に対して自覚的になれる人もいる一方、無自覚に問題のあるコミュニケーションを続けてしまう人もいる。

ではこれらの問題を抱える人には、どのような対処法が考えられるでしょうか。

コミュニケーションの問題への対処法

  1. 「自分にはコミュニケーションの問題がある」ということを客観的に観察できること(本当はそこそこコミュニケーションができているのに、「自分は全然駄目だ、、、」と思ってしまうことはまた別の問題だと考えられますし、実際にそういうケースもあります。)

  2. 自分の抱えるコミュニケーションの問題を分析する。例えば、その問題の原因となりそうな自分の背景心理などを知る。どのような状況で、自分の問題となる意識や行動が活発になってしまうのか自己観察する、など。

  3. その問題の原因に対して、効果的な方法を選び、実行することができる。

  4. その自分が選んだ解決方法に効果が出ているかどうかを、客観的に測定する。


このようなステップが考えられます。
※抱えている問題が、そもそもコミュニケーションの問題ではない可能性もあります。状況や状態によって医者やカウンセラーなどの専門家に相談にすることも当然勧められます。厚生労働省による電話相談窓口はこちら

みなさんすでにお気づきの通り、上記の4ステップを実行するのはかなり難しく大変な作業です。その理由として:

  • 自分の行動や思考の原因を客観的に捉えることは非常に難しい

  • 相手あってのことなので、自分だけでは問題が起きているかどうか、確認することが難しい

  • ひとつ上の項目と同じ理由で、自分のコミュニケーションが改善されていってるかを測定することも難しい

  • コミュニケーションは言語だけでなく、非言語でも表出され、その両方を改善することが困難である

これら以上に、コミュニケーションの問題の解決を阻んでいる原因としては、1-4のステップに必要な「信頼できる情報」を見つけ、取捨選択することは非常に困難だと言うことです。(「人間関係の悩み」「コミュニケーションの悩み」とインターネットで検索すると、様々な記事を見つけることができますが、専門家の目から見て信頼できるものは非常に少ないです。)

さて、そこで私の出番です! 続きは有料記事へ! 詳細はプロフィールへ! といきたいところですが笑、本当ににそこまで考えておらず、当分は無料で上記の中身を深掘りしていく記事を書いていこうと思っています。

気長にお付き合いいただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします!

ご質問・ご連絡などは、コメントにお書きください。

※著者自身が読み返し、改善を図るため、記事の中身は修正されることがあります。ご了承下さい。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?