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島へ。

いつも海の向こうに見えている島がある。大きな島が2つ、その端と中間に小さな島が一つずつ並んだその島々は、朝になると港が朱色に染まり、夕にはその後ろに陽が沈んでゆく印象的な光景を構成している。

島へは一日3本のフェリーが出ているので、お昼の便に乗って島へと渡ってみることにした。


島に着くと、フェリーからさまざまな日用品や食料、出荷を終えた農作物用のコンテナなどが積み下されていた。フェリーは島の人々の重要な生命線でもあるのだ。

島には小さなレストランがあるが、観光客のグループはそれほど多くなかった。平日であるし、それほど観光地然としていないこともあるだろう。

ハマチの刺身はめちゃくちゃコリコリしていた。刺身の良し悪しはあまりわからないが、多分新鮮なのだと思う。


3つの島は橋でつながっていて、歩いて渡ることができる。4つ目の島への道は、潮が引いたときだけ現れるトンボロ現象によって一日におそらく二度現れる。今日は潮が満ちかけだったので渡ることはできなかった(が、ほぼ岩である)。

日頃海の近くにいるにも関わらず、あまり海を意識していなかった。浜辺が少ないからだろうか。あるいは内海で変化が少ないからか。


港のある島から端にある島の先端までは、歩いて50分。帰りの船まで時間があるので徒歩でも大丈夫だと思っていたが、道は単調で、休憩できる場所もほぼないのでしんどかった。現地の観光サイトにも「何もないのが魅力」と書かれているが、本当に何もない。海と山。そしてちょっとだけ人と野生動物の気配。


リアルな島暮らしとは

現在この島には200人前後の人々が暮らしているらしい。おそらく十数人の人とはすれ違ったが、他の人たちは一体どこにいるのだろう。最盛期には1200人もの島民がいたというが、今の景色からは想像できない。今は無人の山になっている場所にも、かつて誰かが住んでいたのだろうか?

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基本的には日記ですが、たまに深いことを書いたり書かなかったりします。分量で著者の疲労度が測れます。

少し遠くに行ってみよう。人生が変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。あるいは変わったとしても、気づかないかもしれない。だから、何か…

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昔々、あるところに読書ばかりしている若者がおりました。彼は自分の居場所の無さを嘆き、毎日のように家を出ては図書館に向かいます。そうして1日1日をやり過ごしているのです。 ある日、彼が座って読書している向かいに、一人の老人がやってきました。老人は彼の手にした本をチラッと見て、そのま