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【本感想】サーキット・スイッチャー: 安野 貴博

著者は都知事選に出馬したことで話題になった、安野貴博氏。

AIによる自動運転が進んだ近未来社会で
いつの時代も変わらぬ人間模様、
それによって生じうる問題点を描く
スピード感あふれるSF小説でした。

ストーリー展開が、各登場人物の目線で並行されつつ、整理されて描かれているので全体的に読みやすい印象で、特に後半になるにつれ、ますますストーリーに引き込まれました。

また読みながら、ラッダイト運動など、産業革命が生じた際の反乱の歴史と照らし合わせていたり、AIエンジニアとしての筆者の豊富な技術的知識も反映された、緻密に計算された内容に学ぶものが多かった。

読んでいるとわかるが、個人的には、
人間らしさ、官僚制の問題についてとても感じる部分があった。

選挙選でもよくわかるように、大規模な組織にありがちであるが、官僚組織内部での立場しか人間は気にしなくなっていき、それが社会に及ぼす悪影響が、如実に描かれている感じがした。

官僚制は、今後益々、技術進歩や、各人の生きるにあたって壁になるに違いない。

その壁を受け入れて、寄りかかりながら諦めるか、
それとも、その壁を避けて新たな道を探る、新たな未来を作るのか、
そんな転換点、まさにスイッチに各々が立たされる時代になるに違いない。

今後の近未来に、重要になる知識や、各々がそれに付随する哲学的問題に向き合う機会を本書は与えてくれると思う。
ぜひ、一度手に取ってみることをお勧めしたい。

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