見出し画像

パーソナル・ヨガで、自分が1つ→3つに進化した

はじめて「パーソナル・ヨガ」を体験した。インストラクターに合わせてみんなで同じことをするヨガではなく、1対1で、私の心と体に合わせて組み立ててもらう贅沢で濃厚なプログラム。実際には、ヨガだけではなく、整体や心理カウンセリングやクラニオセイクラル・セラピー(頭蓋仙骨療法)を組み合わせて、多角的なまなざしで今の私を見てもらう。

グループとパーソナルの違い

グループとパーソナルとの大きな違いに、変化の量と速さがあると思う。

グループのヨガでも、毎回、自分の中に小さな変化は起きる。その微かな変化に気づき、意識を向けていくと、少しずつ太くなっていって、やがてひと塊の「変化」となって表れる時がくる。そこに行き着くには、地道な積み重ねが必要で、何より自分で気づいて、自分で育てていかなければいけない。それはそれで素敵な道のりではあるけれど。

パーソナルでは、セッション中にも「あ、変わった」と感じる瞬間が何度か訪れる。切断していたシナプスがぴっと繋ぎ直されて、そこに電気が通り抜ける。切断に、自分が気づいていなかった場合もあるし、気づいてはいたけど繋ぎ方が分からなかった場合もある。そして何本かのシナプスが繋ぎ直されると、終わる頃にはそこそこ大きな「変化」が立ち現れる。


「自分」が1つ→3つになった

私の場合、最後に現れた変化は、「自分が1つから3つになった」という感覚だった。

1つとは「頭」のこと。これまで、自分は「頭」だけで何とかしようとしていたのだと気づいた。頭で悩み、頭で考え、頭で判断し、頭で進む。あたかも、相談相手のいない孤独な経営者のように。「頭」は独りさびしく自分を運営していた。

パーソナル・ヨガを終えたとき、そこに「体」と「心」が加わった。「体(身体感覚)がここにある」、「心(感情)がここにある」という確かな感覚が生まれた。

それはセッション中の様々なアプローチの総体として生まれたものなので、具体的にどうやって、と説明するのは難しいのだけれど、たとえばヨガでは、ポーズの外形だけではなく、その奥にあるもの、体の中で起きていることを見て、体を中心(丹田)で支えるという感覚や、心(胸)を開くという感覚を得るスイッチを見つけてもらう。最小にして的確な介入によって、ひとたびシナプスが繋がると、すっと電気が通り始め、回路が再生する。そしてはじめて、自分が失っていた感覚に気づく。

その変化は、自分で感じるものであると同時に、外からでも(見る人が見ればわかる)変化でもある。

私の場合、セッション前は「歩き方がふわふわしている」と言われ、自分でもそう感じていた。立っているとき、歩いているとき、上に引っ張られる力と、下に引っ張られる力がバランスしていない。上が強くて、ちょっと浮いたような感覚がある。それを人は「地に足が着いていない」とか「浮ついている」などと言うのかもしれない。地を踏みしめたくても、力の入れ方が分からなかった。

それがセッション後には、確実に変わった。私の中に「お腹(体の中心)」が台頭して、そこから下に向かう力が生まれた。その新しい感覚に、立つのも歩くのも、ちょっと楽しくなった。もしかしたら、地に足の着いた生き方にだって、少し近づけるかもしれない。

そして、「頭」と「体」の真ん中には、「心」がしっかりと存在している。

3つの自分が、ほぼ等間隔に、自分の中に並ぶ。その感覚は、自分を少し頼もしく感じさせてくれた。これからは3つで相談し合い、助け合って、自分を運営していける。頭ひとつで頑張らなくていい。(とはいえ、長年の癖はそう簡単には立ち去らないので、しばらくはメンテナンスも必要かもしれない。)


1つ→3つは、進化の証?(余談)

自分の中に3つの存在を感じるようになって数日後、世界的ベストセラー『ティール組織』(フレデリック・ラルー著)の中に、「ヒトの脳は1つから3つになった」という話を発見した。

「ティール(進化型)組織」とは(なんて説明できるほど理解していないのですが)、組織モデルの発展を5段階で表したときの5番目(最後)のかたちで、組織を一つの生命体と捉えるところに特徴がある。中心に権力を集めるのではなく、個々人の自由意思に任せることで、組織が目的に向かって進化していく組織。

本の中では、従来のマネジメントの常識を覆す「ティール組織」の誕生を、「脳は1つではなく3つだった」という医学の常識の転換になぞらえて語っている(と解釈した)。

<該当箇所(p10-11)を抜粋して要約>
・ヒトには3つの脳がある。1つ目は頭部にある大きな脳。2つ目は胸の中、3つ目は腸の中。2つ目と3つ目は比較的小さいものの、完全に自律的な神経システム。これらが発見されたのは、つい最近のこと。
・実は、腸の中の脳は、1860年代に発見されていた。しかし、なぜだか医学界はそれを忘れ去り、一世紀の時を経て1990年代に再発見された。
・なぜそんな事態が起きたのか。それは、この間の階層的な世界観が、マネジメントの世界では「組織のトップは一人」であるのと同様に、医学界では「身体の指揮をつかさどる脳は一つ」という”常識”をつくっていたからではないか。
・やがて、インターネットの普及などで、知性が分散化した世界観が認められはじめると、「複数の脳が知性を共有して一緒に働く」という発想が受け入れられるようになり、再発見に至ったと考えらえる。

いつのまにか脳は、1つではなく3つになっていた。この大きな世界のパラダイムシフトに、図々しくも小さな自分の変化を重ね合わせて、これは進化の証なのではと都合よく解釈してみる。

さらに余談として、5段階の組織モデルには、それぞれ色がある。

レッド(衝動型)組織 → アンバー(順応型)組織 → オレンジ(達成型)組織 → グリーン(多元型)組織 → ティール(進化型)組織

この色が、ヨガでも重要とされる「チャクラ」と少なからずシンクロしているのは偶然なのだろうか。


変化こそパーソナル

パーソナル・ヨガで、どんな変化が起こるのか。それは、実際に体験してみるまで、わからないかもしれない。

もちろん「腰痛を治したい」のような明確な目的をもって臨むこともできる。その場合、「腰痛が治る」という変化が起きるのが望ましく思える。でも、もしかすると、腰痛の原因が分かること、それを作り出している自分の癖(心の癖や体の癖)が分かること、腰痛が本当の問題ではないと分かること、という出口に出るかもしれないし、それは「腰痛が治る」ことより大切だったりするかもしれない。

はたまた、「自分が3つなった」「ふわふわ歩かなくなった」みたいな、人が聞けば「?」と思うような、予想もしていなかった変化に辿り着くかもしれない。そしてそれは、自分の根本に関わる大事なものかもしれない。


ガイドブックを見て、旅に出る。ガイドブックで見た景色が、目の前に広がる。見たかったものを見る。それも旅の楽しみではあるけれど、自分が旅先で何を見て、何を感じるのか。そこで何が起きるのか。行ってみなければわからない。わからないから行ってみる。それも旅の楽しみであると思う。

パーソナル・ヨガは、そんな旅に似ているかもしれない。次は、どんな出会いがあるのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?