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人生で大事なことは、すべて小さな畑が教えてくれた

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リモートワークの傍ら、自宅近くに小さな畑を借りて、無農薬・有機栽培の野菜づくりを始めた。その学びの記録です。
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#有機農業

畑の時間、人の時間

3ヵ月ほど前から、自宅近くで小さな畑を借りて、無農薬の野菜づくりをしている。 「来週の土曜日、畑に行ったら何が採れる?」そう聞かれて、はたと答えに窮した。畑ビギナーなこともあるけれど、正直、1週間後の野菜の成長具合なんて予測がつかない。毎回、行ってみて「へー」という感じである。あまりの成長の早さに驚くこともあれば、枯れかかっていることに心配したり不安になったり、虫に食べられてしまったことに同情したり落胆したり。同じ日に撒いた種も、違う日に芽を出す。とにかく、そこに行って初め

畑には「間引菜」という秘密の収穫物がある

都内の小さな畑で野菜はじめて、「収穫はまだまだ先だな」と思っていたら、そんなことはなかった。 種から育てる場合、1か所に4粒くらい撒いて、育つにしたがって徐々に間引き、最後は1粒分まで減らしていく。最初から1粒しか撒かないと、それが発芽しなかったり、ちゃんと育たないともうアウトなので、そのリスクを避けるための方法でもある。 大根ゾーン。まだ間引き中。 そして、この間引菜だけでも結構な量になる。全部間引いても消費しけれないので控えめに間引いていると(でも間引くタイミングが

小さな命の生きようとする力を信じる~今にも消えそうな苗が、見違えるほどの成長を見せるまでの1ヵ月

都内の小さな畑で無農薬・有機の野菜づくりを始めて、最初に植えたのは、キャベツと茎ブロッコリーだった。どちらも日照りの中で苗を植えた。 植えてから、なぜか苗はどんどん元気をなくして、今にも消えてしまいそうな、弱弱しい姿になっていった。約1週間が経ち、本当なら成長しているはずのそれは、最初の時より小さくなってしまった。 (左:キャベツ、右:茎ブロッコリー) でも、できることと言えば、多少の水をあげることと、励ますことくらい。ほとんど何もできないに等しいことに無力感を覚えた。

無農薬・有機栽培だからって、自然に優しいだけではないかもしれない

都内の自宅から、歩いて10分少しのところに小さな畑を借りて野菜づくりを始めた。無農薬・有機栽培ということで「自然と共生している」気分でいたけれど、必ずしもそうではないのかもしれないと、始まってすぐに思うことがあった。 畑を始めたのは8月終わりで、そこから土を作って、秋冬野菜のキャベツやブロッコリー、大根、ハクサイ、ナバナなどを植え付けた。植え付けが終わるとすぐに、防虫ネットを張らなければならない。 なぜかというと、これらアブラナ科の植物は、アオムシなどの虫の餌になるから。

リモートワークしながら、都内の畑で野菜づくりを始めた

今年の夏、都内から都内へ引越しをした。仕事は、完全リモートに移行して数ヵ月が経っていた。 コロナ禍で在宅勤務メインの働き方になったことは、利点も多いけれど、欠点もある。その一つが「外出が減ること」。外に出なくなると、季節の移ろいを感じにくくなる。風の重さや光の質感、雲の厚さや速さ、草花の色や香り、虫の声や街の音。そうしたものが日々の生活から遠のいて、やがて五感を鈍化させていく。人間らしさを失っていく。そんなことを感じ始めていた。 そんな感覚を持ったままの引越から数日後、ポ