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【自分がやりたいことはやっていいんだよ】


日曜日も夕方5時。そろそろ夕飯作りに重い腰を上げなければと思っていたところに、
「これからホットケーキ作って良い?」
と長男が声を掛けてきた。

いやいや、これから私は夜ご飯の準備だよという心の声が頭の中をこだましたが、長男が「お腹空いちゃってさ。甘いもんが食べたくて」ととびきりの笑顔で話しかけてくるので、反論する気がすっかり失せて、「自分で作って、片付けまでするなら良いわよ」と言ってしまった。

すると、次男が「オレも手伝う〜」と寄ってきてホットケーキ教室が始まった。というのは長男は初心者、次男は経験者なのだ。

「どうやって作るの?」と聞いてくる長男に、「袋に書いてあるとおり作れば良いのよ」というと、卵と牛乳が先なのか、とブツブツいいながら冷蔵庫を探り始めた。私は夕飯の筑前煮の準備に取りかかる。レンコンやゴボウのあく抜き、里芋のぬめり取りなど結構手間がかかる。ホットケーキに気を回せずにいたら、どうやら次男の指南により順調に進んでいた。

粉を泡立て器でぐるぐる回しながら混ぜていたのには言葉を失ったが、それも経験と、焼く準備に入った。「油はどれ使うの?」という長男に「バターだよ」と次男が答える。弱火にしたつもりが焼く時間をミスって焦げ加減になる。どうやってひっくり返すの? と手間取っているのを見ていたら、半分に折れてワッフルみたいになったのを一生懸命戻している。「もうホットケーキじゃないよ!」と笑いながら長男が言う。焼き上がったものを初号機、二号機……と呼んでいるのは男子ならではか? エヴァの見過ぎだ。

初めてにしては良く出来たホットケーキを二人で頬張る。味は確からしい。

そこでふと、ちょっと前に読んだ投稿を思い出した。それは、日本では「他人に迷惑を掛けなければ何をしても自由だ」と思っているこどもたちが少ないという話だ。なぜなら「やれと言われたことしかやってはいけない」と思っているからだそうだ。息子たちにその質問を投げかけると「自分のやりたいことはやっていいんだよ」と答える。そういえば、長男が小1の時、学童で作ってきた母の日のプレゼントに「好きなことをやらせてくれてありがとう」というメッセージが添えられていたことを思い出す。こどもたちの自己肯定感を育みたいと思って日々奮闘していることは、間違ってはいないかもしれない。少しホッとするとともに、嬉しさがこみ上げてきた。

食べた後、忘れずに片付けにやってきた。ボール、へら、おたまは生地でドロドロ、フライパンはバターと焦げでぐちゃぐちゃ。ブツブツ文句言いながら洗って拭いて元の位置に戻した。お玉が水切りに挿しっぱなしだったのはご愛敬。筑前煮の仕上がりがすっかり遅れてしまったが、こんな時間を持てるのもあと数年。大事にしたい。

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