サバイバル日本語

今、大学の自分の授業では、「サバイバル日本語」を学ぶために作られた教科書を使っています。日本で暮らすための必要最低限の文、単語を勉強することができます。

これを済ませてから、そのあとで、文法について説明があり、練習問題も多い教科書に移ろうと思っています。

なぜ日本にいるわけでなく、すぐに日本に行くこともない学生に「サバイバル日本語」を教えているかというと、どの言語であっても、その言語が使われているリアルな状況をまず味わってみるべきだ、と私が考えているからです。その言語についてまったく何も知らない状態で文法を勉強し、学習者がまったくのゼロから文を作るのは、効率が悪いと思います。ひとまずはあまり文法を気にせずに、生の言語に触れ、そのあと文法を習っていくときに、「ああ、ああいう言い方があったな」と思い出しながら、学べるようにしたいのです。

また、去年の10月に日本語を教え始めた際、もう1年以上勉強しているはずの2年生が、まったく日本語を話そうとしないのが気になりました。あいさつすらもできない有様でした。それまで使っていたのは、いわゆる「文法積み上げ型」の日本語の教科書でした。

教科書の構成を見て驚いたのは、各課にテキスト(ダイアローグ)があるのですが、教科書どおりにやっていては、文法説明や練習問題を通して、最後に学習者がそのテキストを理解できるようになるということが、私にはとうてい果たせるように思えないことでした。

これまでいくつも外国語を勉強しましたが、どの言語の初歩の教科書でも、各課のテキストを続けて読んでいくと、そのテキストに含まれている文法事項や単語が徐々に学習していけるスタイルでしたので、そうでない教科書があるなんて、びっくりしました。

しかし2年生は教科書を途中で変えると混乱すると思いましたので、途中からは、その教科書の内容を自分なりに咀嚼したプリントを作り、それをもとに授業をしました。

そして、1年生のためには、日本に出張で行った知り合いに頼んで、「サバイバル日本語」の教科書を買ってきてもらいました。2種類買ってきてもらって、どちらを使うか、けっこう悩んだのですが、まずは「Nihongo Breakthrough」という教科書を使いました。おそらく良い選択だったと思います。

現在の状況で、学生に実際に会えていませんので、本当のところは分からないのですが、教科書を最後までやり切った学生が、今、東京に旅行に行ったら、地下鉄やバスには何とか乗れ、買い物したり、食事をしたりも、なんとかこなせるのではないかな、と思います。実際会ってみたら、まだそこまでは無理なのかもしれないですが、さらにもう少し続ければ、それくらいのレベルには達してくれるのではないかと思います。また、教師としては、そうなってくれるように、学生を導いていきたい(あるいは、自分が導かれるほうになるかもしれないですけど)と思います。

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